李登輝に学ぶリーダーの神髄
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「私は私でない私」李登輝は神の目で台湾統治を考えた
李登輝に学ぶリーダーの神髄(3)「我是不是我的我」
政治と経済
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
妻の影響で敬虔なクリスチャンだった李登輝。台湾統治も「イエス・キリストならどう考えるか」と神の目線で考えた。そんな李登輝は日本に対しても、「アメリカに依存している」などと厳しい目で見ていた。そこには青春時代を日本人として過ごし、さらにアメリカに渡り、クリスチャンになったというスケール感も影響していると思われる。(全10話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:9分57秒
収録日:2020年8月24日
追加日:2020年11月11日
≪全文≫

●イエス・キリストならどう考えるか


江口 2000年に12年間務めた台湾総統を辞めますが、そのときから「自分はどうやって台湾を統治してきたか」を自分自身で振り返るのです。そこから出てきた言葉が「私は私でない私(我是不是我的我)」なのです。

 2008年には後半の「私でない私」だけで、「私は私でない私」という言葉は2010年以降です。振り返って、「自分はどのような心持ちで政治をやってきたのか」「総統の役割を果たしてきたのか」を考えてみると、やはり信仰が非常に大きかったと。

 李登輝さんは26歳で結婚して、奥さんがクリスチャンだったからクリスチャンになっていきます。プロテスタントで、本当に敬虔なクリスチャンでした。だから「困ったときは聖書をパッと開く」と。どこと決めて探すのではなく、パッと広げて指をさすそうです。指さしたところに書かれている内容について、「これは何を意味しているか」「このように解釈して政治を行えということではないか」と考える。そんなことをしきりに言っていました。

―― なるほど。それはすごい人ですね。

江口 そうなってくると「周囲からの脱却」ではなく、「私からの脱却」になるのです。「私でない私」とは、「周囲に甘えてはいけない」という意味での脱却です。自立していくのです。

 ところが統治する際には、自分に甘えず、自分を超えた観点でやってきた。そのように台湾を統治してきたと振り返って思うわけです。それで「私は私でない私」という言葉が出てきた。結局は、自分からの脱却なんです。周囲からの脱却ではなく。

 自分からの脱却となると、その先にあるのはゴッドであり、イエス・キリストです。「私の体の中にイエス・キリストが生きている」。それは「自分はイエス・キリストの化身である」といった傲慢なものではなく、「イエス・キリストならどう考えるか」「ゴッドならどう考えるか」。要するに、最初は周囲からの脱却があり、そして最高指導者になって自分からも脱却するのです。

―― そこにゴッドがいるわけですね。

江口 自分からの脱却とは、言わば「私に囚われない」「李登輝個人に囚われない」。神の目から「台湾はいかにあるべきか」「どう治めるか」を考えていったのだと思います。李登輝さんに確かめたわけではないですが、最高指導者になったときに「自分からの脱却もした」というのが私の仮説です。それ...

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