李登輝に学ぶリーダーの神髄
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
李登輝に影響を与えた「メメント・モリ」の意味
第2話へ進む
台湾は台湾だから…李登輝著『台湾の主張』発刊への道程
李登輝に学ぶリーダーの神髄(1)『台湾の主張』の衝撃
政治と経済
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
李登輝が1996年の国民投票で総統に選ばれ、中国統一派と台湾独立派の2派のなかで悩んでいた頃、江口は「台湾は台湾」と書いた提言書を持っていった。すると李登輝は、「自分と同じ考えだ」と大いに喜んだ。そこから2人のつきあいは深まっていく。江口が率いていたPHP研究所から1999年に発刊された李登輝著の『台湾の主張』は、ベストセラーとなって大反響を呼び、以後、さまざまな日本の出版社から李登輝著の本が企画されるようになってゆく。(全10話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:7分52秒
収録日:2020年8月24日
追加日:2020年10月28日
≪全文≫

●もう既に独立しているのだから「台湾は台湾」だ


―― 李登輝総統との出会いがすごいですね。最初1986年に会われて、次に会ったときに提言書を持っていかれた。

江口 96年に民選が行われ、国民投票で総統選を戦うことにしたのです。その後、(李登輝さんは)国民から託されたということで、いろいろ悩むのです。悩んでいるところに私が「船中八策」(に託した提案書)を持って行ったから大変喜ばれた。そのときに私は、「『台湾の独立』と言わなくてもいいのではないですか」と言ったのです。

―― 台湾の独立を言わなくてもいいと。

江口 当時、「中国と統一する」「台湾は独立しなきゃいけない」という2派があったのです。台湾独立派と中国統一派が。

―― 国民党ですから、そうでしょうね。大変ですよね。

江口 そのときに「台湾は、台湾だから」と言ったら、「その考え方は自分の考え方と同じだ」というようなことで非常に喜ばれた。それで私の提案を全部、台湾語に翻訳して総統府の主な幹部の人たちすべてに渡したらしいです。

―― そのときに同志になったわけですね。その意味で李登輝総統も、自分の考えを分かってくれる人と出会ったわけですね。

江口 思考のベクトルが、私と李登輝さんで合っていたこともあると思います。それは「自主自立」です。私自身も「自主自立」という考え方が強いですから。

―― まさか江口さんから「船中八策」が出てくるとは思っていなかったでしょうね。

江口 そうそう。

―― 自分の一番苦しんでいるときですからね。

江口 自分自身としても「台中統一派」「台湾独立派」とどうしようかと。でも台湾は台湾として、そんなことを考える必要はないのではないかと思っているところへ、私が「もう既に台湾は独立しているのだから」と言ったので、「いやあ、そうだ」と思ってくれたのでしょう。

―― ものすごい腹落ち感があったのでしょうね、江口さんの話に。


●中国大使館から抗議めいた電話がかかってきた


江口 その後、1999年に(PHP研究所から)『台湾の主張』という本を出して。それまで日本のマスコミは新聞社だけでなく、「李登輝著」という本を出すことをみんな怖がっていたんです。それで出さなかったのですが、「李登輝著」という本をなんとか出したいと思って、そのときに李登輝さんに言ったら、「江口さん、大丈夫か?」と李登輝さんから言...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
編集部ラジオ2025(19)堀口茉純先生の「講義録」発刊!
著者が語る!『『江戸名所図会』と浮世絵で歩く東京』
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
日本のエネルギー政策大転換は可能か?(1)原発最大限活用の根拠と可能性
第7次エネルギー基本計画とは?原発活用方針の是非を問う
鈴木達治郎