『貞観政要』を読む
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隋が滅亡した原因とは…煬帝の失敗から学ぶべきこと
『貞観政要』を読む(7)なぜ隋は滅んだのか
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏による『貞観政要』の読解講座第7弾。唐の皇帝・太宗に対し、部下の魏徴は、自分たちが滅ぼした隋と皇帝煬帝を反面教師とせよと訴えた。なぜ、あれだけの栄華を誇った隋は自分たちに滅ぼされたのか。それは、富国強兵と栄耀栄華の追求のために民を犠牲にし、国土を崩壊させたからだという。歴史に学ぶ重要性を再認識できる講義。(全15話中第7話)
時間:12分08秒
収録日:2016年8月1日
追加日:2017年1月2日
≪全文≫

●強大な兵力と栄華を誇った隋は、あっけなく滅亡した


 「昔在、有隋、寰宇(かんう)を統一し」。隋が天下、「寰宇を統一し、甲兵彊盛(こうへいきょうせい)」、非常に優秀な兵力と強い国家を率いた。「三十餘年、風」。これは威風でしょう。威風、「萬里に行はれ」。隋の威風がずっと引き続き、威力や権威が「殊俗を動かす」。殊俗とは、いろいろな俗のことですから、すなわち外国という意味です。隋の威風は外国すらも動かした。

 「一旦挙げて之を棄て、盡(ことごと)く他人の有」。そこまでは、栄耀栄華を誇っていた。その栄耀栄華を見るにつけ、隋はほとんど永久不変に続いていくだろうと、皆が思った。しかしその隋も、あっけなく「一旦挙げて之を棄て」。全てが放棄されたかのように「盡く他人の有」、全部が他人の持ち物になってしまった。

 歴史という事実はすごいですね。栄耀栄華を振るった、これは滅びることはないのではないかとされたようなものも、全てぶちまけてしまったかのように、あっけなく、そしてことごとく散乱してしまう。そういった滅亡の仕方をするのだということです。

 その時、「彼の煬帝は豈(あ)に天下の治安を惡(にく)み」。その時のトップリーダーであった煬帝はどういう人だったかと言えば、「治安を惡み」、非常に安定的に推移をしているものを、ついうっかり軽視してしまった。彼は「社稷の長久を欲せず」。社稷の長久、すなわち国家が長く続くことを望まなかった。天下の平安なものを憎み、それから社稷(国家)の長く続くことを欲せず、「故らに桀虐(けつぎゃく)を行ひ、以て滅亡に就かんや」。自分を殊更、滅亡に向けて全て滅んだ方が良いとしたのかと言えば、そんなことはない、と言います。

 端から見ていると、何か自暴自棄で、自分の運営している国家など今すぐ滅んだ方がいいと言わんばかりに、滅びの体制にずっと行っている。賢者から見れば、このように見える。しかし本人は、そんなことは少しも思っていない。長久に続いてくれと言っているが、どの滅んだ国家も、倒産した企業なども皆そうである。そういう意味で、こういう失敗の研究、あるいは前の時代の研究が非常に重要だと言っています。


●富国強兵政策が、民を疲弊させていった


 「其の富強を恃(たの)み」。隋の煬帝も、自分の国家の富める状態、非常に強い状態をいつも頼みにした。しかし、...

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