『貞観政要』を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
上司の過ちを諌めてこそ部下の部下たる本質がある
『貞観政要』を読む(14)諫言してこそ真の部下
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏による『貞観政要』の読解講座第14弾。王に対する諫言を続けてきた部下に対し、皇帝である太宗がコメントをする。ここで語られるのは、理想的な上司と部下の関係だ。上司の過ちを正してこそ、部下の本旨はある。「話の分からない上司だ」と愚痴をこぼす輩ほど、不忠な者はいないという。(全15話中第14話)
時間:11分55秒
収録日:2016年8月1日
追加日:2017年4月10日
≪全文≫

●部下の諫言に向き合う皇帝・太宗


 「太宗、手詔(しゅしょう)して答へて曰く」。魏徴の諫言に対して、ずっと手ずから書をしたためて、それで「答へて曰く」。「頻りに表を抗ぐるを省するに」。何度もこうやって自分に対して意見書を挙げて、省みてくれと言っている。「誠、忠款(ちゅうかん)を竭(つく)し」。本当に真心を尽くしてくれた。魏徴が吐いている「言」は「切至を窮む」。懇切周到を極めている。

 「披覽(ひらん)して倦むを忘れ」。私はあなたの諫言書を見て開いて、飽きることもなく読みふけり「毎(つね)に宵分(そうぶん)に達す」、いつも夜半に達してしまう。「公が」、あなたが「國を體する情深く」、あなたの国に対する思いは実に深い。「匪躬の義重きに非ずんば」。「匪躬」とは、一身の利害を思わず、ひたすら君主に尽くすということを言います。この重さということです。

 「豈に能く示すに良圖を以てし、其の及ばざるを匡さんや」。あなたが非常に明確な、良い行いの仕方を示してくれている。これが良圖(りょうと)です。良圖を示してくれていることをもってしても、自分には及ばないところがたくさんあるので、そこを正そうと思う。太宗はそのように答えます。


●上司を見限るのは「先見の明」なのか


 太宗は、もう一つのエピソードを言います。「朕聞く」。私(太宗)はこのように聞いている。「晉の武帝」、これは西晋の司馬炎のことです。司馬炎が呉という国を平定して以来、「務め驕奢(きょうしゃ)」になる。それまでは非常に優秀なトップであった司馬炎も、呉という念願の強敵を討ち負かしてからは、驕奢になった。驕慢、安逸のトップになってしまった。「復た心を治政に留(とど)めず」。彼は「もう政治はいい」などと言い出した。その側近中の側近、ナンバー2である「何會、朝より退き」。何會が朝廷から退いてきて、自分の実の子である劭にこう言った。

 私(何會)が、「主上に見ゆる毎に」、王様に謁見するごとに、王様は「經國の遠圖(えんと)を論ぜず」。国家の将来を言うなんてことを全くしなくなってしまった。「但だ平生の常語を説く」。取るに足らない普通の会話で終わってしまっている。「此れ厥の子孫を貽す者に非ざるなり」。これは、子孫のことをよく考えようとしている人のなすべきことではない。「非ざるなり」。

 「爾が身は猶ほ以て免る可し」。お...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
不便益システムデザインの魅力と可能性(1)「便利・不便」「益・害」の関係
便利を求めるだけのいいの?…「不便益」で発見できる新たな魅力
川上浩司
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(33)鎌田東二先生の法華経講義解説-2
【10min名作探訪】大丈夫だよと励ましてくれる『法華経』…鎌田東二先生の講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(9)ライトノベルへの影響と物語の重要性
現代のライトノベルやゲームにもオデュッセイアの影響…神話は「創作活動」の重要な根源
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
ギリシア悲劇への誘い(1)ギリシア悲劇を観る
二千年の時を超えて読めるギリシア「三大悲劇詩人」の作品
納富信留
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博