『貞観政要』を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
明君と暗君の違いは、「兼聴」と「偏信」
『貞観政要』を読む(4)明君の条件
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏による『貞観政要』の読解講座第4弾。優れたリーダーは、部下のさまざまな意見を聞き、国や組織の運営に活かしていける柔軟性を持つと『貞観政要』は教える。さらに優れたリーダーは、常に「失敗」の研究も怠らない。かつての敵すら研究の対象にしてしまう徹底した態度が、自らの成功につながるのだ。(全15話中第4話)
時間:11分25秒
収録日:2016年7月25日
追加日:2016年11月21日
≪全文≫

●明君と暗君の違い


 それでは、第二章へ参りたいと思います。「貞觀二年、太宗、魏徴に問いて曰く、何をか謂いて明君・暗君と爲す」。暗君、平凡で凡庸な君主と、明君、実に素晴らしい君主は、どうして差が出るのか。その差はどこにあるのだ。太宗が魏徴に聞きます。

 「徴對へて曰く、君の明かなる所以の者は」。明君と言われた人を徹底的に解明していくと、皆、共通して持っている一点がある。「それは何なのだ」と聞くと「兼聽(けんちょう)すればなり」。これは「兼ね聴く」ということです。どういうことかというと「兼ね聴く」ですから、セカンド・オピニオンということです。一人の意見を聞いて、それで満足してしまわず、反対の立場に立つ人にも、「君の意見はどうだ」ときちんと聞くということです。セカンド・オピニオンをどんどん繰り返していくと、いろいろな人に意見を聞くことになる。これが、兼聴の非常に重要なところです。

 反対に「暗き所以」、暗君というものはどこが暗いのかと言えば、「偏信」、偏って信ずるということです。一人の人間の言うことしか信じないのが偏信です。魏徴は、詩経にこういうくだりがあると言います。「先人言へる有り、芻蕘(すうぜい)に詢(と)ふ」。詩経の中にも、トップになったならば芻蕘に問うということが重要だとある。芻蕘とは何かというと、草刈りや木こりのことで、非常に卑しい人の象徴です。身分が非常に低い人のことです。その身分の低い人でも、例えば山の状態は彼らが一番よく知っていますし、草木の状態も一番よく知っています。そういう人にも、きちんと意見を求めることが重要なのです。(身分が低いからといって)馬鹿にしないということです。


●中国古典で繰り返し指摘されてきた「よく聞くこと」の重要性


 論語にも、そういう例がたくさんあります。まず「学びて敏」。学ぶことは敏速にしなさい。「(漢字は)どうやって書いたかな」「あの漢字はどういう風に書いたのか」と疑問に思っても、「そのうち調べましょう」と言っていては駄目です。すぐに辞書を引く。全部疑問を一つ一つ解決して、先へ行けという意味です。似たような意味で、「下問(かぶん)を恥じず」という言葉も、論語にはあります。下の者に聞くのも恥ずかしくない、厭わないということですが、「芻蕘に詢ふ」とは同じ意味です。

 「昔、堯舜の治は」。堯と舜は明君です。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
企業改革の核心は何か(1)組織の危機をいかに克服するか
V字回復のためには社員に「個人の痛み」を迫る覚悟を持て
三枝匡
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
いま夏目漱石の前期三部作を読む(8)『門』の世界観と日本の近代化
伊藤博文暗殺…日本近代化で本当にいいことがあったのか
與那覇潤
「江戸のメディア王」蔦屋重三郎の生涯(8)大首絵の成功と蔦重の最期
謎の絵師・東洲斎写楽を「役者絵」で起用した蔦重の思惑
堀口茉純
『タテ社会の人間関係』と文明論(8)タテ社会の構造改革を議論する
ヒントは幕末期の処士横議!?…タテ社会の構造改革に向けて
與那覇潤
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二