『貞観政要』を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
リーダーは創業の困難を忘れずに常に「謙虚」たれ
『貞観政要』を読む(9)リーダーの本質は謙虚にあり
経営ビジネス
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏による『貞観政要』の読解講座第9弾。リーダーの本質は何か。それは謙虚であると、魏徴は言う。謙虚とは、創業の時の苦労を忘れないことだ。天は常に味方してくれるわけではないし、謙虚さを失えば民の心は離れる。多少のぜいたくはするだろう。しかしその自覚を失ったところに、優れたリーダーは生まれないのだ。(全15話中第9話)
時間:11分50秒
収録日:2016年8月1日
追加日:2017年1月30日
≪全文≫

●ぜいたくな暮らしは、民の苦労と犠牲の上に成り立っている


 「若し成功をば毀たず、即ち其の舊(きゅう)に仍(よ)り」。どういうものであれ、成功した時につくった身分不相応なもの、そういうものを「毀たず」ぶち壊さないで、それで「即ち舊に」旧来にいて、それで「其の不急を除き」。不要不急に、必要なもの以外のものを大切にしてしまう。

 「之を損じて又損じ」。そういう華美でぜいたくなものを減らして減らしていく。それで「茅茨(ぼうし)」。これはかやぶき屋根の家という意味で、粗末なものを表します。「桂棟に雜(まじ)へ、玉砌(ぎょくせい)を土堦(どかい)に參(まじ)へ」。一見、非常に粗末な建物に住んでいるようだけれど、実はその中で非常に価値のある桂棟、香木を柱として使っている。小さなものけれども高価なものを柱として使う。これが「茅茨を桂棟」です。上辺は茅葺きだけれども、中に入ると柱が皆、香木でできている、そういうものです。外側は非常に粗末だけれども、本当はすごくぜいたくであるということです。

 「玉砌を土堦に參へ」、すごく中国ならではの言い方で、「玉」すなわち宝石を、「土堦に」土壁の中に入れて、「悦びて以て人を使ひ」。それで「其の力を竭(つく)さず」。民に力を尽くさない。「常に、之に居る者は逸し」。宮殿にいる者だけは、非常に安逸な生活をしている。

 「之を作る者は勞するを念はば」。そういう暮らしができているのも、影で一生懸命それを支えている民がいるからである。そういうことを「念はば、億兆悦びて以て子のごとく來り」。そういうことを考えられれば、国民は皆、懐いてくる。「群生仰ぎて性を遂げん」。皆がそれぞれの人生をある程度満足して遂げていける国になる。これが「徳の次」だと言っています。


●大八車で納品した創業期のソニー


 次です。「若し、惟れ聖も念ふ罔(な)く」。「あなたは聖人ですね」と言われている人でも、本当の本質がどこにあるかを思わなければ、危ういものです。これが「惟れ聖も念ふ罔く」。これは、書経に出てくる名フレーズです。

 「厥(そ)の終を愼まず」。終わりまで慎重にならず、「締構(ていこう)の艱難(かんなん)を忘れ」。締構とは、言ってみれば創業の艱難を忘れないということです。私はよく企業へ行って、ここのところ非常に順調に推移している企業のトップに対しては、「...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(1)膠着する日本経済の深層
日本経済の行き詰まりをもたらした2つの大きな理由とは
西山圭太
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦

人気の講義ランキングTOP10
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー
国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?
垂秀夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大