『貞観政要』を読む
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏による『貞観政要』の読解講座第2弾。『貞観政要』に登場するのは、唐の礎を築いた君主・李世民と四人の優れた側近たちだ。李世民の治世で重要なのは、腕力に頼っていたそれまでの武断政治を刷新し、知と徳で治める文治政治への大転換を図ったところにある。そのすごさが『貞観政要』を支えている。(全15話中第2話)
時間:19分25秒
収録日:2016年7月25日
追加日:2016年11月7日
≪全文≫

●『貞観政要』の主人公・李世民(太宗)


 『貞観政要』の登場人物を少し解説しておきましょう。まず太宗、李世民です。李世民は次男で、兄には李建成という人がいました。どちらかというと、次男である李世民は非常に武術に優れていたため、若い頃から一軍を率いて、成敗をしに辺境に向かっていきました。長男である李建成という人は、タイプとしてそういう人ではありませんでした。そのためいつも、次男にしてやられてしまうところがありました。そういう意味で、長じてくればくるほど、長男から見て次男はだんだん「目の上のたんこぶ」として見えてきます。

 その結果どうなったのか。626年6月に玄武門の変という事件がありました。これは長男(李建成)が次男を討とうとした事件です。長男、それから三男、四男が一緒になり次男を討つという計画でしたが、これを太宗の部下たちがそういう動きがあることを目ざとく察知し、事前に防いだために次男の方が勝ちました。それで、次男が政権に就いたのです。

 『貞観政要』を読んで私がまず感心するのは、武闘派であった次男が政権に就くやいなや、武断政治から文治政治へがらりと変えたことです。文治政治に変えるということは、基本的に、トップの人柄や人格、徳のあり様が問われるということです。およそそういうこととは縁遠いところで活躍してきた自分は、武断政治であれば得意中の得意なのですが、いつも自分の徳のなさや文治政治におけるリーダーシップのなさを自覚し、自問自答している。こういうところがすごいと思います。

 その最大の原因は何か。自分の兄や弟と戦わざるを得ない状況になり、彼らを成敗せざるを得なかった。身内を討たなければいけなかった無念さが、どこかにあります。そういう無念さの反動として、彼は立派なリーダーにならなければいけないということを、しょっちゅう思っていたところがありました。


●李世民に使えた四人の部下たち


 また、太宗(李世民)だけで貞観の世ができたわけではありません。ここに四人の非常に俊逸で優秀な部下がいました。私は、この四人がまず注目しなければいけないポイントがあると思います。家康も、これをまねて四天王という存在をつくりましたが、ではなぜ四つでなければいけないのか。真ん中に太宗が入ると、5本足の椅子、あるいは机になりますね。五つの脚があるということは、ものすごく安定感が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓