『貞観政要』を読む
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四維―「礼・義・廉・恥」こそが国家を維持する要素
『貞観政要』を読む(8)トップが持つべき四つの徳
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏による『貞観政要』の読解講座第8弾。隋が滅んだ理由は、民と国を顧みない君主の身勝手な政治にあった。では現在の唐はそれを免れているか。諫言を担当する魏徴は、皇帝である太宗にこう問いかける。わが身を顧みよ。隋が滅んだ理由を一日も忘れてはならない。魏徴の迫力ある言葉が、『貞観政要』から蘇ってくるようだ。(全15話中第8話)
時間:12分48秒
収録日:2016年8月1日
追加日:2017年1月16日
≪全文≫

●国家を存続させる四つの要素


 「聖哲、機に乘じ」。聖哲とは、高祖と太宗のことです。魏徴が面と向かっているのが、太宗で、その太宗のお父さんである李淵は高祖と呼ばれます。その高祖と彼の次男である李世民、すなわち太宗の2人が、わが唐の聖哲です。

 「機に乘じ、其の危溺(きでき)を拯(すく)ひ」。聖哲は、国民が危険に瀕し、溺れ死にするような状態になっているのを救い、「八柱を傾きて復た正しく」した。八柱とは、天を支えている8本の柱です。天は8本の柱によって支えられている。政治の一番重要な仕事は、この柱をしゃんとさせて維持することで、柱が傾いてしまっていたのを、聖哲はまた正しくした。

 次に「四維」とありますが、これは古代より中国で言われている「国家を維持する四つの要素」で、非常に重視されているものです。まずは礼儀の「礼」、それから仁義の「義」です。礼と義です。それから「廉」、これは無欲という意味です。それから「恥」です。「礼義廉恥(れいぎれんち)」と言い、これこそが国家を運営する要点です。こういう言い伝えがあり、それを「四維」、維持するための四つのものだと言っています。

 よく考えてみれば、礼とは秩序を形成する最大の要素です。秩序が崩壊していることを、無礼や非礼と言います。国家や組織がつつがなく維持されるためには、礼がしっかりしてなければいけない。このため、真っ先に「礼」が来ます。

 次が、「義」です。何のために組織をつくっているのか。何のために国家があるのか。これがよく分からないというのでは困ります。したがって道義が明確でないといけない。これを「義」と言います。秩序が正しく維持され、その秩序の中で、国家の目的、組織の目的が遂行されていく。

 さらにそのとき、全てがシンプルでなければいけません。組織はごてごてしてしまうものですが、組織は非常にシンプル、簡素でなければいけない。そういう意味で「廉」という言葉があります。欲がないという意味です。華美にするような欲を持ってはいけない。

 そして最後に「恥」という概念があります。中国古典のいろいろな書物、例えば論語にも、弟子が孔子に向かって「先生、立派な人物とはどういう人ですか」と問うと、「己を行うて恥あり」と答えたとあります。恥がある人が、立派な人だと言っています。

 自分の行いに満足して「どんなもんだ」と...

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