『貞観政要』を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
四維―「礼・義・廉・恥」こそが国家を維持する要素
『貞観政要』を読む(8)トップが持つべき四つの徳
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏による『貞観政要』の読解講座第8弾。隋が滅んだ理由は、民と国を顧みない君主の身勝手な政治にあった。では現在の唐はそれを免れているか。諫言を担当する魏徴は、皇帝である太宗にこう問いかける。わが身を顧みよ。隋が滅んだ理由を一日も忘れてはならない。魏徴の迫力ある言葉が、『貞観政要』から蘇ってくるようだ。(全15話中第8話)
時間:12分48秒
収録日:2016年8月1日
追加日:2017年1月16日
≪全文≫

●国家を存続させる四つの要素


 「聖哲、機に乘じ」。聖哲とは、高祖と太宗のことです。魏徴が面と向かっているのが、太宗で、その太宗のお父さんである李淵は高祖と呼ばれます。その高祖と彼の次男である李世民、すなわち太宗の2人が、わが唐の聖哲です。

 「機に乘じ、其の危溺(きでき)を拯(すく)ひ」。聖哲は、国民が危険に瀕し、溺れ死にするような状態になっているのを救い、「八柱を傾きて復た正しく」した。八柱とは、天を支えている8本の柱です。天は8本の柱によって支えられている。政治の一番重要な仕事は、この柱をしゃんとさせて維持することで、柱が傾いてしまっていたのを、聖哲はまた正しくした。

 次に「四維」とありますが、これは古代より中国で言われている「国家を維持する四つの要素」で、非常に重視されているものです。まずは礼儀の「礼」、それから仁義の「義」です。礼と義です。それから「廉」、これは無欲という意味です。それから「恥」です。「礼義廉恥(れいぎれんち)」と言い、これこそが国家を運営する要点です。こういう言い伝えがあり、それを「四維」、維持するための四つのものだと言っています。

 よく考えてみれば、礼とは秩序を形成する最大の要素です。秩序が崩壊していることを、無礼や非礼と言います。国家や組織がつつがなく維持されるためには、礼がしっかりしてなければいけない。このため、真っ先に「礼」が来ます。

 次が、「義」です。何のために組織をつくっているのか。何のために国家があるのか。これがよく分からないというのでは困ります。したがって道義が明確でないといけない。これを「義」と言います。秩序が正しく維持され、その秩序の中で、国家の目的、組織の目的が遂行されていく。

 さらにそのとき、全てがシンプルでなければいけません。組織はごてごてしてしまうものですが、組織は非常にシンプル、簡素でなければいけない。そういう意味で「廉」という言葉があります。欲がないという意味です。華美にするような欲を持ってはいけない。

 そして最後に「恥」という概念があります。中国古典のいろいろな書物、例えば論語にも、弟子が孔子に向かって「先生、立派な人物とはどういう人ですか」と問うと、「己を行うて恥あり」と答えたとあります。恥がある人が、立派な人だと言っています。

 自分の行いに満足して「どんなもんだ」と...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔

人気の講義ランキングTOP10
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(6)秀吉との信頼関係と秀長の軍事能力
文武両道の名将…秀吉に怒られなかったのは秀長と家康だけ
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
津崎良典
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
日本の特性とは何か~「日本的」の本質(5)鋭い感性と深い精神性
本居宣長が説く「神信仰」…神道の本当の姿に迫る
田口佳史
平和の追求~哲学者たちの構想(2)世界市民と国家連合
「コスモポリタニズム」の理想と「国家連合」というプラン
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治