98歳の医師が明かす「生物学的教育論」
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子離れ、親離れで大事なのは、「心を離さない」ということ
98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(5)10歳からの子育て
井口潔(九州大学名誉教授/日本外科学会名誉会長/医学博士・理学博士)
子どもは10歳になると、大脳が発達し始め自立して行動するようになる。この段階ではこれまでの我慢のしつけを抑えて、子どもが意欲的に物事に取り組むことを後押しするように切り替える必要があるという。そこで重要となるのが子離れ、親離れである。(全9話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:6分38秒
収録日:2020年1月11日
追加日:2020年7月23日
≪全文≫

●感性脳と知性脳


井口 10歳を越すと、そうしたしつけはやってはいけないよと。

―― 10歳を境に局面が変わるわけですね。

井口 要するに、青年期に入ると新しい脳が動き出すんです。

 新しい脳というのは、自分で判断して、自分で意欲を出せという脳なのです。

―― これは脳の仕組みでいうと、まず基本のところが変わると。

井口 だから、10歳までにチンパンジーと同じようなおよそ500ミリリットルの脳が人間化するのですよ。その後、その脳の周りにおよそ1000ミリリットルの脳が追加されるわけです。

―― そこは、うまく動くようになっているんですね。

井口 それが大脳新皮質系というもので、知性の脳です。10歳ぐらいまでに人間化した脳は、感性脳になるわけです。だから、感性と知性です。

―― 10歳くらいで、感性脳はだいたい完成すると考えればよろしいわけですか。

井口 はい、10歳までにだいたい感性脳はできてくる。その大きさもだいたいチンパンジーと同じくらいですが、内容は違います。


●10歳を越えたらしつけは抑えて、自立させたほうが良い


井口 そして、思春期になってから、その周りの知性脳が動き出すんですね。15歳くらいになれば、脳は「自分の判断でやれ。その代わり意欲を出せ」という。つまり、まず古い脳が感性脳で「自分を抑えろ」という。今度は新しい脳が「自分で前に出ろ」という。

 まず10歳までに感性脳はできる。その次はそれを基礎として、知性脳として意欲的に物事に取り組むようになる。新しい脳が本来自発的に取り組もうとするときに、親が口出しすると子どもは混乱するわけです。

 思春期を過ぎると、脳そのものが自分で取り組もうとしているわけです。それに対して、親が良い・悪いと口出しすると混乱する。よって、しつけは10歳までに全部済ませておいて、それが済んだらかえってしつけを抑える必要があるのです。例えば、「うん、お父さんも意見はあるけどね、学校に行って、おまえ、友だちに聞いてみぃ」という。あるいは「先生は何というかな」とか、「おまえ自身はなんと考えるのか」と返すわけです。「結論が出たら、俺のところに言ってこい。お父さんは黙っとるけんな」という具合に、切り替えなければいけません。それも目からウロコのことです。

―― なるほど。話を整理させていただくと、小さい頃はまさに我慢や抑制を教えることが...

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