98歳の医師が明かす「生物学的教育論」
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他者操作は道徳的に禁止しなければならない
98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(8)道徳と自己抑制
井口潔(九州大学名誉教授/日本外科学会名誉会長/医学博士・理学博士)
子どもの健全な成長にとって道徳教育は非常に大事だが、特に自己を抑制するという意識を持つことが重要と、井口潔氏は指摘する。幼年期に必要なのは自己抑制で、そのために道徳がある。しかし、青年期になって道徳を身につけようとすると、その道徳を自分の都合の良いようにねじ曲げてしまうという。それはどういうことなのか。(全9話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分04秒
収録日:2020年1月11日
追加日:2020年8月13日
≪全文≫

●悪い意識を止めるために道徳を置く


―― もう一つ先生にお聞きしたいのが、いわゆる道徳教育です。道徳をいかに教えるかという点も、非常に大事だと思います。日本では先ほど江戸時代の例が挙がりましたが、道徳教育はどのように進めていけば良いでしょうか。

井口 これにはいろいろな考え方があると思います。私自身は、次のような考え方で一つまとめています。先ほどいったように、“ヒト”を人間に変えていくというとき、それをするには何が必要かというと、教育だといいましたね。教育がそれをするというその内容を分かりやすくいうと、自意識を持つ、つまり自分で意識すること。「自意識」というのは、分かったような、分からないような、非常に通俗的な言葉ですよね。

 その通俗的な言葉をここで用いるのには、大きな意味があるのです。人間を含めた動物は全て、環境とよく調和する必要がある。調和しなければ、絶滅するわけです。絶滅するというのは大きなことですよ。要するに、環境と調和するのは、ものすごく大きなことです。

 人間の場合に、環境と調和するとはどういうことか。ある強い意識を持てば、突起が出てニューロン化するわけです。それで、ニューロン回路ができます。だから、ある意識を出すと、それに対応してニューロン回路、すなわち脳ができますね。

 ところが意識には、良い意識と悪い意識があります。善悪の意識ですね。一番はっきりするのは、わがままな意識ですね。人をだまそうとする意識。これも意識のうちです。それらは環境と調和をしないわけです。だから、環境と調和をするような意識だけにしておかないといけません。ということは、自己を抑制すると。

 どの宗教も、自己抑制を道徳の根底においているわけで、自分を抑制するという意識を持って、道徳を守れということです。だから、自分の自覚で悪い意識を止めること、抑制をかけることで道徳を守るということを条件にして意識をすると、悪い意識が入りませんから、良い意識だけでニューロン回路ができます。良い心ができる。それが心的エネルギーを発生します。

―― 心的エネルギー、つまり心のエネルギーですね。

井口 だから、道徳の生物学はそこなんですよ。悪い意識を止めるために、道徳というものをそこに置くと。


●他者操作は一番悪い意識、道徳的に禁止しなければならない


―― 逆に、人間の場合は、悪い...

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