人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「行動コスト」に注目することで、行動は変えられる
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(5)行動コスト
島宗理(法政大学文学部心理学科教授)
目標を立ててもなかなか実行できないという問題に対して、行動分析学ではどのような方法が考えられるのか。その一例として行動したことを記録に残すのもよいのだが、島宗氏は少し環境を変えるという簡単な方法で、行動は変えられるという。そこでポイントとなるのが「行動コスト」と呼ばれるもので、自身が行ったウクレレの練習を例に説明する。(全7話中第5話)
時間:7分38秒
収録日:2019年2月21日
追加日:2019年9月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●問題解決の基本は「逆をいく」


 そこで、前回お話しした、人間でも難しい「ちりも積もれば山となる型」そして、「天災は忘れた頃にやってくる型」の問題に、どうやったら挑めるかということになりますが、こういう問題に対してもいろいろな解決策、介入の方法を編み出しているのが行動分析学です。

 実は答えを言ってしまうと割と簡単です。どちらの問題も行動と環境の関係性が累積的だと難しいし、あるいは確率が低いと難しいわけですから、逆をいけばいいのです。行動と環境の関係性が1対1で対応していて、1回1回の行動をするとこういう結果があるということがはっきり分かるような随伴性だと、行動は制御されやすいということです。また、1回の行動に対して、必ずこの結果が生じるというように確率を上げてやれば、行動は変わりやすいのです。


●行動を記録し、行動強化のポイントを把握する


 ですから、どういうことをするかというと、一例としては行動したことを記録に残すということです。記録に残すということは、記録自体、必ず生じるということですから、低確率の問題はそこでパスすることができます。それでも効果がなければ、記録をした上でそれに何か自分の行動を強化するような後続事象を追加してやるようなこともできます。

 よく私の担当の学生さんが自分実験で使うのは、自分で自分にごほうびをやるということです。例えば、ゲームが好きな学生さんは英会話の勉強をするとき、勉強を30分したらゲームが10分できるということを、自分で決めて課したりします。

 そうすると何が起こるかというと、介入をする前は、英会話の勉強をするとちょっとは学べるけれども、すぐに大きな変化は起こりません。それが短期的な行動随伴性です。けれども、1週間、1カ月、1年間と積み重ねるとTOEICの点数が上がったり、英語の検定が通ったりするなど、就職に有利になるということに学生さんは価値を置きますから、その点で行動の強化があります。それをいかにして短期的な結果に持ってくるかというのが重要になってくるのです。ただ、それは意志の力だけではうまくいかないので、30分英語の勉強をしたら10分間ゲームをするという、短期的な結果を追加することによって行動を変える、ということをしたりします。

 もちろん、これがうまくいくかどうかというのは、やってみないと分かりません。行動分析学の場合...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(1)悩みの99%は他者との関係性
「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい
田村潤
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗