人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「見える化」による行動の理解と変容が行動分析学の核
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(6)見える化
島宗理(法政大学文学部心理学科教授)
行動分析学では、行動と環境の関係性から「見える化」を非常に重視する。それによって行動への理解を深め、行動変容の手続きを見つけやすくする。人間の行動は主に3つのパターンで分類できるが、そのうち最も大事なのは「螺旋型」だ。これは、少しずつ着実な変化を生み改善をしていくというパターンで、そのための仕組みづくりがポイントとなる。(全7話中第6話)
時間:9分15秒
収録日:2019年2月21日
追加日:2019年9月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●「自分実験」と「視考術」


 ここまでお話ししてきた行動分析学の例として、「自分実験」という話をしてきました。もちろん、行動分析学という研究が全て自分実験をしているということではありません。心理学の専門家、また行動分析学の専門家でなくても、ある程度勉強すれば、自分で自分の行動について調べることができるし、かつ、自分が達成したいと思っているような目標や夢をかなえるための行動につなげることができます。こういうことをお伝えしたくて、私は本に書いてあるのです。

 実際に自分の大学での授業や研修会でもこれをテーマにして、受講生の方々に興味のあるテーマで実験をしてもらい、自分の行動を変えてみるということをやっていただいています。そのことを『使える行動分析学』(筑摩書房)という新書にまとめてありますので、そちらを読んでいただければと思います。

 また、今日お話しをしているABC分析についてですが、私は「視考術」と呼んでいます。視考術とはどういうことかというと、次のようなことです。ABC分析の先行事象、行動、後続事象にしても、行動と環境の関係性は、行動を少し観察したり、あるいは頭の中で思い浮かべたりしているだけではなかなか見えてこないものです。ですから、行動と環境がどういう関係性にあるのか、あるいは環境のどこをどのように変えたら行動との関係がどう変わるのかということを、目で見て分かるように図に描いてみる、ということを「視考術」と呼んでいます。これは『人はなぜ約束の時間に遅れるのか』(光文社)という新書で解説していますので、よろしければ読んでみてください。


●行動分析学の核となる「見える化」


 ということで、行動分析学の中ではこのようにして行動と環境の関係性を目で見えるようにするというのが1つ挙げられます。それから、実際に行動がどのようにして変わっていくかということを、第2話でお見せしたようなグラフにするということです。具体的には、ベースラインを測定して図や折れ線グラフを描き、その後で解決策となるであろう「介入」を導入して、それによって行動がどう変わったのかを図や折れ線グラフにしていきます。その2つを比べることによって、介入によって本当に行動が変わったのかどうかを確認する実験をしていきます。よく世間では「見える化」といっていますが、自分の行動を見えるようにしていく手法の1...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏