ニッポンの食文化が危ない
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本の商業捕鯨はなぜダメなのか?捕鯨禁止と食文化
ニッポンの食文化が危ない(3)クジラと日本人
小泉武夫(農学博士/食文化評論者/東京農業大学名誉教授)
食文化論者で農学博士の小泉武夫氏が、捕鯨問題を食文化の観点から論じる。商業捕鯨を厳しく禁止されている日本だが、捕鯨の世界では新たな問題が発生し、また理不尽な事実も横行している。もはや、クジラは政治の道具に使われていると憂える小泉氏による、クジラと日本の食文化を守るための熱血講義。(全3話中第3話目)
時間:9分59秒
収録日:2015年8月31日
追加日:2015年10月15日
≪全文≫

●今、世界でクジラはどんどん増えている


 皆さん、こんにちは。小泉武夫です。食文化論、発酵学をやっています。

 私は、小さい時からクジラの肉が大好きで、よく食べました。いっぱい食べましたよ。そこで私は、クジラというものをどうして今、こんなに食べられなくなったかということをお話したい。

 私は、「クジラ食文化を守る会」の会長です。「クジラを捕って食べるべきです。クジラは日本人を救います」という概念で今、動いています。クジラはなぜ捕ってはいけないのか。実は、国際捕鯨委員会(IWC:International Whaling Commission)というものがあり、そこに科学委員会があります。その科学委員会で、世界のクジラの数を調べる調査捕鯨をやっているわけですが、今、地球上にものすごくクジラが増えているのです。

 これは、私の書いた『鯨は国を助く』(小学館)という本なのですが、これに「IWC科学委員会が推定した鯨類の資源量」が書いてあるのですね。見ますと、今、ミンククジラは南半球で76万1000頭とあります。後はグリーンランドなどで10万頭以上おり、合わせると80万頭以上いるのです。それから、ナガスクジラ3万頭。コククジラ2万6000頭などで、とにかくものすごいのです。ゴンドウクジラだと78万頭います。


●商業捕鯨禁止で人間の食べる魚が減っている


 実は今、大きな問題があり、そのクジラが人間の食べる分の魚をものすごく食べているのです。驚くべき量を食べているわけです。例えば、この写真を見られると、皆さんびっくりすると思いますけれど、調査捕鯨で捕ったクジラのお腹の中の写真なのです。これを見ると、クジラのお腹の中に入っているのは、われわれが食べている魚ばかりということになります。この写真がそうです。これらがクジラのお腹の中にあった魚で、スルメイカ、サンマ、スケトウダラ、カタクチイワシです。

 大体1頭のクジラにドラム缶4本から5本の魚が全部入っているわけです。ですから、最近、アジが捕れないとかサンマが捕れないとか言っているけれど、それは商業捕鯨が禁止されて、クジラを捕っては駄目なため、どんどんどんどんとクジラが増えているからなのです。

 どのぐらいだと思いますか。実は、地球上の人間が食べる1年間の魚の量の4.7倍をクジラが食べていると言われています...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
安井裕雄

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦