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健康障害は後戻りできない…予防タイミングは今が一番!

生活習慣病予防に~健診結果の正しい読み方(2)予防のためのデータ分析

野口緑
大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 特任准教授
概要・テキスト
健康障害は一度そうなってしまえば元に戻すことはできない。だからこそ健診結果をつぶさに確認し、予防的に対処していくことが重要になる。血圧や尿酸の値と内臓脂肪の関係を例に取り、健康障害の根本原因をいかに見極めるかを解説する。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12:58
収録日:2025/01/10
追加日:2025/08/04
≪全文≫

●血圧は上下の数値をしっかり確認する


―― この私の非常に拙い結果を踏まえつつ、その危なさはどういうところに注目すればよろしいのですか。

野口 内臓脂肪の次の段階が、お話しさせていただいたような血圧とか、血糖、それから尿酸(値)です。それらが内臓脂肪に関連するリスクファクターです。単独のリスクファクターがLDLコレステロールです。この数が重なれば重なるほど、確実に次の血管変化のところに行ってしまうのです。

 まず血圧、血糖、尿酸、LDLコレステロール、これらがいくつ引っかかっているかの点検がすごく要ります。これの引っかかっている数が多ければ多いほど、次のステップに行きやすい。いよいよ血管が変化しだしてきて、健康障害に近づいていくということになりますので、まずそれは点検してほしいと思います。

 川上さんの場合でいくと、去年と今年、その3キロが何をもたらしたかという観点で見ると、私がすごく気になるのは血圧なのです。(逆に)川上さんはLDL(コレステロール)は悪くないのですよ。だけれど、この内臓脂肪に関係する3つのリスクの中で…(気になるのは血圧。でも)素晴らしいですね、予備力がある。

―― 予備力?

野口 血液の中に糖が余っていないのですよ。つまり、糖を余らせずに全部アブラに変えて、すごく身体が蓄えようとするのが得意な身体なのです。

―― うれしいのか、悲しいのか。

野口 だから全部、3キロ分蓄えているのですね。

―― なるほど。

野口 それで、内臓脂肪がたまったことによって何を起こしているのかということです。

―― ちなみに、どこでそれが分かったのですか。

野口 ヘモグロビンA1cや空腹時血糖は悪くないので…。

―― なるほど。そのあたりを見るとそういうことが分かるのですね。

野口 はい。つまり糖代謝は悪くないので、インスリンもすごく出ておられると思うし、とてもいい状態なのですけれど、結局、血圧のほうはそういうわけにはいかないのです。

―― なるほど。

野口 だから、川上さんの弱点は血圧のほうです。特に拡張期の下の血圧が上がってきているのですね。

 拡張期の血圧が高いということは、心臓がゆるんでいるのに戻れない。大動脈が簡単にシュッと戻れないのです。ということは、中に血液がたくさんある(ということ。例えば)ホースの蛇口をいっぱい開いて、水をいっぱい流して...
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