●「バラバラ事件」で健診結果を見ない
―― ざっとこういうものを見ていて、これ(健診結果)は私のものでございますけれど、気をつけるべきポイントというか、何か気になるポイントというのはございますか。
野口 川上さんの場合は、ものすごくありがたいことに、先ほどのチャートでいうと、心電図と眼底検査の2つとも、まだ異常が出ていないのです。所見が出ていないのです。
―― 脳の血管の眼底も重要とおっしゃいましたね。
野口 脳の血管の状態を見ます。それから、腎機能も悪くなっていないのです。
―― 腎機能はどこに反応するということでしょうか。今回の先生の講義の中で、腎機能が良し悪しというのは、何の反映ということになるのですか。
クレアチニンから推測できる「eGFR」というものがあるのです。これは、インターネットでもご自身のクレアチニンと性別、年齢さえあれば調べることができるので、ご自身でクレアチニンのデータさえあれば調べられたらいいと思うのです。
eGFRというのは「1分間糸球体濾過量」といって、どれぐらい1分間におしっこを作ることができるかという力なのです。おしっこを作っているのは「糸球体」という(ところで)、0.005ミリの細い血管が糸の球のようになっているものの中に血液を流して、要らないものを濾過しているのです。その血管が傷んでくると、eGFRが下がってくるのです。だいたい15よりも下回ってくるとかなり腎臓の機能が落ちてきて、透析も視野に入れていきましょうという範囲になるのです。だから、これが下がってきていないかどうかも見ていくポイントになるのです。
―― これ(eGFR)が悪化するのは、どういう要因からですか。
野口 同じです。先ほどのチャートでいうと血圧、血糖、尿酸です。
―― なるほど。
野口 そういう生活習慣病のリスクファクター、動脈硬化のリスクファクターで、要は血管なので、腎臓もです。
だから、それこそたくさん血液を流しすぎるのももちろん負担にもなりますし、血圧が高いと腎臓の中の糸球体というところに圧をかけすぎるのです。濾し出すために通常の血管以上にここの血管は圧力がかかっているのですけれど、それ以上に圧をかけてしまうと血管が破綻するのです。
そういうこともありますし、血糖が高いといっても、この糸球体そのものを傷め...