『歴史とは何か』を語る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
イブン・ハルドゥーンが記した現代の歴史家への警告
『歴史とは何か』を語る(4)歴史学者は平凡な職業か
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
唯物史観をはじめとする歴史の「一元的解釈」や「善悪二元論」などは、疑問に思うべきだ。歴史について語れば、誰でも歴史家になれるわけではない。世の中にまかり通る見方を山内昌之氏が斬っていく。『歴史とは何か』を語るシリーズ・第4回。
時間:16分25秒
収録日:2014年10月21日
追加日:2015年7月20日
≪全文≫

●歴史学は果たして凡人の領域なのか


 皆さん、こんにちは。歴史について、皆さんも私たちも、実は内心ひそかに考えていることがあります。歴史学者は、格別の才能や天分がなくても務まる平凡な職業ではないか、歴史学は凡人の領域ではないかということです。歴史学者や歴史学はそのように人に思い込ませるところがあります。しかし、果たしてそうでしょうか。

 その原因の一端は、歴史学が法学や経済学のように、社会科学としての原理と応用の関係に認知された共通の基準や知識を必要とせず、実地の結果や成果によって社会の審判を受けることも少ないからでしょう。

 私は、政治学や社会学の友人から、「自分は歴史をやっている」と言われたことがあります。つまり、自分たちは政治学や社会学の専門家である一方、歴史学の徒でもあるという理解があるのです。自分たちの方法は歴史学的だと思っているのだろうと思います。歴史学はそれほど気楽な学問だと思われているのかと驚きました。


●多くの人は歴史を虚勢の道具としてしか使わない


 私たち歴史家は、自戒を込めて、自分たちの学問を考えるべきだと思います。私が学生時代に感銘を受けた半世紀ほど前の東洋史・アジア史の研究者に、増井経夫さんがいます。増井さんは、『アジアの歴史と歴史家』という書物の中でこのようなことを言っています。すなわち、「学界が社会の装飾になり終ると、花鳥風月を心とする人も実践に情熱を傾ける人も、所詮は才も学も識も虚勢の道具としてしか使わなくなった」という警世の言であります。

 つまり、才能と学問があり、見識を持っている人も、歴史を虚勢の道具としてしか使わないということです。結果的に今、日本の歴史の針路、日本の未来について、文明論的な洞察と過去とのバランスが取れた対話を歴史学者に期待する市民は、どれほどいるでしょうか。

 最近顕著な現象があります。私たちが歴史的実証、あるいは歴史的な作業と呼ぶ非常に地味な学問的手法、つまり地道に史料を読む努力をしなければならないのが本来の歴史学です。しかし、このような作業を経ていない歴史学以外の学者、はたまた創作を事にする作家や、社会についてあれこれ語る評論家たちも、左右を問わず、自分は歴史を勉強している、歴史に対して自分は真摯に向かい合っていると語り、戦争責任や植民地支配といった問題に関わる論争のあたかも主役...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(32)鎌田東二先生の法華経講義解説-1
【10min名作探訪】鎌田東二先生の『法華経』講義の核心ビジョン
テンミニッツ・アカデミー編集部
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(7)英雄と武器と喪失と家族
英雄たちの「特別な武器」と「喪失」…悲劇かハッピーエンドか、そのメッセージの秘密
松村一男
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(1)1923年生まれの3人の作家
司馬遼太郎と日本人…まず遠藤周作、池波正太郎との比較で考える
片山杜秀
戦国武将の経済学(3)豊臣秀吉の経済政策
豊臣秀吉の驚愕の国内貿易…莫大な財力を生んだ経済政策
小和田哲男