『歴史とは何か』を語る
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史とは何か」を歴史学者・山内昌之が書いた3つの目的
『歴史とは何か』を語る(2)歴史と人間、歴史と叙述、歴史と現実
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
山内昌之氏は最近、『歴史とは何か』という本を書いたが、その目的は三つあるという。一体何が山内氏を動機づけしたのか。シリーズ第2回。
時間:11分19秒
収録日:2014年10月8日
追加日:2014年12月4日
≪全文≫

●歴史の本質は、時間にある


 しかし、人は誰もが正確に過去の事実を知りたい、多少でも将来を予測したい、現在知られている事実を後世の人に伝えたいという気持ちを持つものだと思います。ですから、ある日本人の歴史家の「歴史とは人間の本能に根差した学問である」という発言には、もっともな点があります。

 こうした観点から、最近私は1冊の本を書きました。ここに掲げている『歴史とは何か』というタイトルの本です。PHP研究所という出版社から出しましたが、この本を書いた目的は三つあります。

 第一の目的は、歴史を決定する時間の流れと人間の営みの関係を考えたいということです。歴史の本質は、時間にあります。歴史は、一にも二にも時間が大きな要素を持つ学問です。同時に、その時間の流れの中で、人間がどのような行動をしたか、どのような考え方をしたかを考えることも大事であります。

 つくづく思うのですが、どの世界のどの地域、日本でも中国でも、ヨーロッパ、イスラム世界でも、歴史の中では、人間世界の運命は単純には流れません。私たちは、人間の社会に、どうしても正義や公正、平等などの価値観を求めがちです。しかし、実際の歴史で起きている事件は、公正や正義とは関係ありません。むしろその逆方向に歴史が動くことが多いという事実があります。この点を私は考えてみました。


●天が指し示す道は、果たして正義か不正義か


 皆さんもご存知の司馬遷という人がいます。中国の前漢の時代、紀元前2世紀頃に生まれ育った人で、『史記』という本を書きました。私たち歴史を学ぶ者にとってはほとんどバイブルに近い書物の一つですが、その中で、司馬遷は「天道、是か非か」という有名な言葉を書いています。天が指し示す道は果たして正義か、あるいは不正義かという問いかけであります。歴史において、しばしば不合理な結果、不条理な結末が導かれるのは皆さんもご承知の通りです。

 もともと中国の道とは人間がつくるものとみなされているようですが、天が指し示す道である天道は少々違います。宇宙論的・コスモス的な規模の大きな流れの筋のことであります。天道は、しばしば人間個人が考える善と悪、正義と不正義といった価値観とは関わりのないものになることがありました。そこに表れるのは、人間の一般的な倫理の基準では推し量ることのできない世界の現実なのです。

 ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓