『歴史とは何か』を語る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
現代の歴史家が磨くべきは洞察力と思考力
『歴史とは何か』を語る(6)歴史家は何を追求するのか
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学は、その実証性ゆえに「凡人の領域」と誤解されやすい。しかし、その批判、または、揶揄は的外れだと、山内昌之氏は言う。なぜなら、歴史学は、哲学や文学とは異なる世界を見ているからだ。歴史学が目指す地平とは? 山内氏が著書『歴史とは何か』について語るシリーズ第6回。
時間:11分28秒
収録日:2014年10月21日
追加日:2015年7月27日
≪全文≫

●歴史学は凡人の領域だという誤解を嘆いたイブン・ハルドゥーン


 私はその専門家ですから特に思うのですが、歴史という学問は、実は素晴らしい学問です。ところが、歴史学や歴史が、あたかも凡人の領域、あるいは、誰でもできると思われるのは、いささか口惜しいところがあります。

 ただ、誤解しないでほしいのですが、これが口惜しいと言ったのは、私が最初ではなく、チュニジア生まれの歴史家、イブン・ハルドゥーンでした。

 繰り返しになりますが、今の日本においては、特に、歴史という学問には、“誰でも参入できる”と思わせるところがあることは事実です。


●『エセー』におけるモンテーニュの辛辣な歴史揶揄


 16世紀に活躍したフランスのエッセイスト、思想家であるモンテーニュという人物がいます。モンテーニュは『エセー』(随想録)の著者ですが、彼はその『エセー』の中で、歴史について、私たちにとって、ある意味では実に小面憎い、しかし、“なかなかいいところを突いているな”と思わせる名言をいくつか語っています。私は、大好きなのでモンテーニュをよく読みますが、いつも、“お主、なかなか言うな”というところと、“何を言っていやがる”というところが交錯するところがあります。

 モンテーニュは、「語り口が上手であれば歴史家という仕事は誰でもつとまる面がある」と言っています。なかなか辛辣です。「つとまる」とは言わず、「つとまる面もある」と言っているのですね。

 モンテーニュによれば、彼ら歴史家は、「たいていは、ふつうの人々のなかから選ばれてくる」人たちであり、「まるで歴史書で文法を習うみたいなもの」だと揶揄しているのです。

 これは、誰でもでき、文法に沿って歴史を解釈していくような、それ自体平凡な学問であり、歴史家は平凡な人たちだと、モンテーニュは言いたいのでしょう。

 それにしても、モンテーニュから、歴史家とは「美辞麗句をふんだんに使って、街角で集めてきたうわさを、みごとな織物に仕立てるといった具合」なのだと言われますと、モンテーニュが好きな私でさえ、少しモンテーニュをからかってみたい、あるいは、少し文句を言ってみたくなります。


●過去の正確な認識は不可能だと主張した現代主義の歴史家たち


 しかし、これは後でまた触れますが、こういう見方はモンテーニュに限ったことではなく、「万人はそれぞれが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一

人気の講義ランキングTOP10
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(7)AI活用の落とし穴
AIへの不安と懸念…だからこそ「教養」が必要になる
渡辺宣彦
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
片山杜秀
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎