『歴史とは何か』を語る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
古来より歴史書に人物や事実を記録する基準はとても難しい
『歴史とは何か』を語る(8)智者と愚者の混淆
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
いったい歴史家は何をどう記録すべきなのか。イブン・ハルドゥーン、ブハーリー、吉田松陰、劉知幾。古今東西の歴史家の言動を対比し、歴史が向かうべき事実と真実を考える。歴史学者・山内昌之氏が著書『歴史とは何か』を語る。シリーズ第8回。
時間:22分54秒
収録日:2014年11月26日
追加日:2015年8月3日
≪全文≫

●全てを知り尽くすことはできないとしても


 皆さん、こんにちは。

 しばらくご無沙汰していましたが、また『歴史とは何か』について考える連載のシリーズに戻りたいと思います。ここでは“連載”とは申さず、おそらく、連続講演、あるいは、連続したお話ということになるのでしょう。ご理解ください。

 この間も私は、中東4か国に出掛けてまいりました。(2014年)11月初旬の7日から17日まで10日間です。訪問先は、ドバイ、オマーン、ヨルダン、エジプトでしたが、私はいずれの地の講演においても、チュニジアの生んだアラブの歴史家イブン・ハルドゥーンのことを、最初の所説として、あるいは、私の結論の一部として、しばしば引き合いに出しました。

 イブン・ハルドゥーンの歴史に関する指摘、ひいては、歴史家に関する指摘は、大変多くのエジプト人やオマーン人、他のアラブの人たちにとっても、関心のあるものでした。それは、「イブン・ハルドゥーンの指摘は、ややバランスを失するほど歴史家に厳しいのではないか」という感想です。

 そもそも、あらゆる事件、あらゆる出来事の原因について知り尽くすことは、いかなる人々、すなわち、どのような優れた歴史家をもってしても不可能です。さらに、どんなに優れた歴史家たちの共同作業、営みをもってしても不可能であることは間違いありません。ですから、イブン・ハルドゥーンの歴史家に対する批判や資格の厳しい追及は、本来なかなか難しい注文をつけている面があります。

 そもそも歴史家とは、自分なりに理解する歴史の基本的な原則や拠り所、あるいは、事実そのものと情報を対比させて、事実であるかどうかを検証し、そして、さらにその中の研ぎ澄まされた真実とは何かについて確定する努力を払ってきたものです。


●ムハンマドの伝承をつぶさに収集したブハーリーの労作


 9世紀に活躍したブハーリーという人物がいます。

 ブハーリーは、自分の生涯を尽くす仕事として歴史を選びました。その仕事において、当時の人々はもとより、後世の人々にも、高く評価されました。なぜならば、ブハーリーは、ムハンマドが何を語り、どのように行動したかという伝承を、あらゆるところから、飽きることなく、丹念に収集した人物であるからです。

 その労作は『サヒーフ』と言います。サヒーフとは、“紛うかたなく正しいこと”という意味...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之

人気の講義ランキングTOP10
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
インフレの行方…歴史から将来を予測する(5)トルコ化の可能性と円安の要因
年率80%を超えるインフレ!…日本は「トルコ化」するか?
養田功一郎
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(4)ベントの死闘とプロの責任感
「これからベントをやる。メンバーを決める!」…決死の現場
門田隆将
編集部ラジオ2026(3)高市政権の行方と「明治維新」
高市政権の今後は「明治維新」の歴史から見えてくる!?
テンミニッツ・アカデミー編集部
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
こどもと学ぶ戦争と平和(4)人間はなぜ戦争をするのか
人間はなぜ戦争をするのか?2つの要因から問う平和の条件
小原雅博
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
鎌田東二
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史