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吾妻鏡

吾妻鏡
吾妻鏡』は鎌倉時代に成立した全52巻に及ぶ歴史書の大著。編纂統括者は北条貞顕とする説が有力だが、著者は不詳である。鎌倉幕府の正史ではないが、編年形式をとった日本初の本格的将軍年代記として意味を持ち、後世にもさまざまな影響を与えた。前半は源氏三代、後半は北条得宗家の歴史を記述しており、その内容は「源氏に厳しく北条に甘い」という特徴を持つ。「10MTVオピニオン」では、歴史家であり無類の読書家でもある山内昌之氏が、『吾妻鏡』の魅力をあますところなく紹介。源氏と北条に対する記述の相違点については、北条家が野心ではなく、より良い治世のために政権交代に乗り出したという正当性を訴えようとする意図があったからだと分析している。山内氏は本書が後世に与えた影響として、特に徳川家康への影響が大きかったと述べている。将軍補佐役の「御門葉」は「御三家」に、官職を二人制にして牽制し合う制度は、「町奉行」や「公事・勝手方」にと、家康が江戸幕府の制度と機能を維持する知恵を『吾妻鏡』から得たことは想像に難くない。本書には、鎌倉から江戸へと脈々と受け継がれた日本の政治的リーダーシップを考える貴重な手がかりがある。

源実朝の悲劇で誕生した尼将軍と東国武士による幕府政権

鎌倉殿と北条氏(7)源実朝から北条政子・義時の時代へ
3代将軍・源実朝は『金塊和歌集』を編んだ天才歌人として名高いなど文化的イメージが強いだけに「北条氏の傀儡だろう」という説が唱えられたが、事実はそうではなかった。実朝は「将軍親裁」を実行し、それを支え...
収録日:2021/11/08
追加日:2022/02/20
坂井孝一
創価大学文学部教授

2代将軍・源頼家と「比企の乱」…政子の苦渋の決断とは

鎌倉殿と北条氏(6)源頼家と母・北条政子の関係と悲運
『吾妻鏡』によると、北条政子は息子である2代将軍・源頼家に対して冷酷な母だったとされるが、はたしてそうなのか。また近年、「鎌倉殿の13人」による合議制は頼家の将軍権力を補佐する制度だと考えられるように...
収録日:2021/11/08
追加日:2022/02/13
坂井孝一
創価大学文学部教授

「阿波局」が二人いる…八重に秘められた謎に迫る

鎌倉殿と北条氏(3)流人の恋と貴種流離譚〈中〉
源頼朝と別れた後の八重の運命は不詳だが、再嫁した八重がその後、頼朝を通じて北条義時に嫁いだのではないかと考えられている。そうであれば、御成敗式目を制定した北条泰時は、八重の産んだ子である可能性が高...
収録日:2021/11/08
追加日:2022/01/23
坂井孝一
創価大学文学部教授

源頼朝の死因?北条時頼の廻国?…『吾妻鏡』の謎と魅力

吾妻鏡とリーダーの要諦(4)事実と虚構のはざまから
「いざ鎌倉」で知られる謡曲『鉢木』の佐野源左衛門と、水戸黄門の諸国漫遊はルーツを同じくした? 理想化された「武家の世界」伝承が、事実と虚構のはざまを一人歩きするにいたるプロセスを、山内昌之氏が追い...
収録日:2014/02/26
追加日:2014/04/24
山内昌之
東京大学名誉教授

「吾妻鏡」が徳川家康に与えた影響とは?

吾妻鏡とリーダーの要諦(3)徳川家康への影響と効果
『吾妻鏡』は、後世にいろいろな効果を及ぼしていく。第一に数えられるのは徳川家康への影響だ。将軍頼朝を補佐した「御門葉」は、徳川では「御三家」に姿を変え、官職では「二人制」の知恵が引き継がれる。シリ...
収録日:2014/02/26
追加日:2014/04/24
山内昌之
東京大学名誉教授

『吾妻鏡』は鎌倉幕府の何を描くための歴史書だったか?

吾妻鏡とリーダーの要諦(2)その執筆の意図を探る
『吾妻鏡』は鎌倉幕府の正史ではなく、編年体で書かれた将軍年代記であり、「源氏に厳しく北条に甘い」という特徴を持つ。そこに込められた書き手の意図と、必然とも言える『吾妻鏡』終止符の意味を解き明かす。...
収録日:2014/02/26
追加日:2014/04/17
山内昌之
東京大学名誉教授

吾妻鏡―中世を掌握した鎌倉武家政権の一大年代記

吾妻鏡とリーダーの要諦(1)魅力と謎に満ちた書物
鎌倉時代の武家政権の歴史を扱った書として知られる『吾妻鏡』。実は現代の政治家にこそ読んでほしいと、山内昌之氏がその魅力と謎に迫る。シリーズ「日本の歴史書に学ぶ」第一弾。(1/4)
収録日:2014/02/26
追加日:2014/04/17
山内昌之
東京大学名誉教授