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講孟余話

講孟余話
講孟余話』とは、江戸時代末期、吉田松陰儒教の経書の一つである『孟子』を読み、その注釈や所感、意見等をまとめたもの。松陰の獄中、あるいは出獄後の幽閉期間の講義をまとめてある。音読、さらには筆記を重ねて孟子の思想に迫った松陰は、本書の序文で孟子におもねることを戒めている。この点からも本書が単なる経書の注釈書ではなく、孟子を通して松陰の思想を語ったものであることがよく分かる。「10MTVオピニオン」では、東洋哲学に造詣の深い東京大学東洋文化研究所教授・中島隆博氏が、『講孟余話』から読み取れる松陰の思想の中核たるものを解説。松陰の思想は、人々を平等に扱うものであり、その点で孟子の民本思想とつながり、初期の思索においては孟子的な革命観に準じていたのだが、やがて松陰は孟子的部分を突破して近代的な革命観に近づいていったと中島氏は語る。また、松陰が性善説を道徳倫理ではなく、政治の問題として読もうとしたこと、「独と同」すなわち各国の「特殊と普遍」を手がかりに、他国とのつきあいを重要視したことから、松陰の思想の現代性を見出している。松陰の思想は中島氏いわく、他国との関係を築いていくうえで日本という原理を常に念頭に置いた「現在進行形の思想」なのだ。

天下は一人の天下―普遍に到達する「道」の模索

吉田松陰の思想(下)松陰の思想の中核(5)現在進行形の思想
吉田松陰と長州藩老中・山縣太華との「原理」をめぐる応酬、これこそが「現在進行形の思想家」松陰をつくり上げた。今日の私たちも、再び彼らの営為を継承しなくてはならない。東京大学東洋文化研究所教授・中島...
収録日:2015/02/26
追加日:2015/08/13
中島隆博
東京大学東洋文化研究所長・教授

「天道と国体」の関係は「普遍と特殊」

吉田松陰の思想(下)松陰の思想の中核(4)同と独の調停
東京大学東洋文化研究所教授・中島隆博氏は、吉田松陰の思想の内には、現在の世界情勢に通じる側面があると分析する。各国が持つ特殊性を尊重しながらも、そこからどうやって万国共通の普遍性を見出していくか。...
収録日:2015/02/26
追加日:2015/08/10
中島隆博
東京大学東洋文化研究所長・教授

孟子の易姓革命論をいったん批判したうえで継承する

吉田松陰の思想(下)松陰の思想の中核(3)革命観と性善説 
吉田松陰は、たとえ聖人の書いた著作でもそれにおもねるなと言う。それは、孔子や孟子の生き方が、松陰なりの「忠」の考え方と衝突するからだ。東京大学東洋文化研究所教授・中島隆博氏が、中国と日本の違いを意...
収録日:2015/02/26
追加日:2015/08/06
中島隆博
東京大学東洋文化研究所長・教授

決断主義的な主権者性を天皇に期待していたことの矛盾

吉田松陰の思想(下)松陰の思想の中核(2)国体と天皇
吉田松陰の『講孟余話』は、孟子の革命観を否定しつつも、当時の徳川政権を批判する可能性を残していた。さらに松陰は、天皇に決断主義的な「主権者」像を提示した。守旧的な「国体」論者から積極的な政治的統治...
収録日:2015/02/26
追加日:2015/08/03
中島隆博
東京大学東洋文化研究所長・教授

「講孟余話」は安倍総理の愛読書

『歴史とは何か』を語る(7)記録から歴史へ~古今東西の歴史家の言説~
今回、山内昌之氏が語るのは、「歴史とは何か?」という、古来、人びとを悩ませてきた難問である。学としての歴史の発生と展開を、古今東西の歴史家の言説を通して俯瞰する。シリーズ第7回。
収録日:2014/10/21
追加日:2015/07/30
山内昌之
東京大学名誉教授

吉田松陰が導入した孟子の民本思想

吉田松陰の思想(下)松陰の思想の中核(1)『講孟余話』の挑戦
吉田松陰にとって、武家支配の正統性を危うくする危険思想だとされてきた『孟子』を読むことは、大きな思想的挑戦だった。『孟子』に通底する民本思想が、松陰の平等主義的な思想と響き合い、武家支配体制の批判...
収録日:2015/02/26
追加日:2015/07/30
中島隆博
東京大学東洋文化研究所長・教授