編集長が語る!講義の見どころ
幕末維新の「本質」がよくわかる!(特集&島田晴雄先生)【テンミニッツTV】

2021/07/09

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
しょっちゅう本欄で言及するNHK大河ドラマ「青天を衝け」ですが、7月4日放送回では、いよいよ渋沢栄一がパリに向かいました。これから、明治維新に向けての動き、さらに明治維新で行なわれた諸々の改革(渋沢栄一がかなり関与しているわけですが)が描かれていくのでしょう。これまでも見事な視点で幕末史を描いてくれてきたドラマだけに、今後ますます楽しみです。

さて、ぜひこの機会に明治維新史を学び直してみてはいかがでしょう? 「いや、維新については何となく知っていますから」というなかれ。学んでみると、これまで知らなかった発見がいくつも出てくるものです。まるで新しい歴史を知るがごとき感動を覚えること、間違いありません。

■本日開始の特集:幕末維新を「体系的」に学ぶ

本日紹介するのは、時間を忘れさせてくれるような大作講義の数々です。しかしその分、受講し終えたときには、新たな知見と歴史に触れた感動で、胸が満たされているはず。ぜひ腰をすえて、ご受講ください。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=122&referer=push_mm_feat

島田晴雄:明治維新の事実を知ることに、どんな意味があるのか?
落合弘樹:ペリー来航!幕府衰亡の遠因は老中・阿部正弘の改革?
山内昌之:西郷隆盛や大久保利通など諸藩も優秀な人材育成を始動

■講義のみどころ:明治維新の「改革」の本質を見事に描き出す名講義(島田晴雄先生)

歴史を教科書的に理解していたとしても、歴史の実際については、なんにもわかったことにはならない。それは多くの方々の実感ではないでしょうか。もちろん歴史の教科書は、すべての人に端的な事実を伝えるには重要なツールですが、歴史の息づかいを伝えるには限界があります。年表に書き連ねられている事件の背後で、どんな人が何を考え、どのような汗や涙を流し、いかに凱歌を上げ、あるいは非命に倒れたのか……。それを知るためには、やはり「良き導き手」が必要でしょう。

本日は、明治維新についての「良き導き手」となる島田晴雄先生(テンミニッツTV副座長/慶應義塾大学名誉教授)の講義を紹介します。島田先生の講義は、テンミニッツTVでいつも大人気ですが、それは物事の本質をズバリと見抜き、それを明快に示してくださるからでしょう。

「神は細部に宿る」といわれます。物事の本質をえぐり出すには、どの細部に着目するかが重要です。その違いによって、物事の見え方はまったく変わってきます。島田先生は、常に的確な細部を、生き生きと描き出してくださいます。受講者が「わかった!」と感じられるゆえんでしょう。

明治維新についても、島田先生の講義を視聴すると、まさに、いままで知らなかった歴史を聞くがごとし。全22話の大作講義ですが、長さを感じさせません。維新の改革の裏で、実際には何が起きていたのかを、とてもわかりやすく示してくださいます。「なるほど、歴史はこうして動いていたのか!」と膝を叩くこと、うけあいです。

◆島田晴雄:明治維新から学ぶもの~改革への道(全22話)
(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新の事実を知ることに、どんな意味があるのか?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2587&referer=push_mm_rcm1

この講義の第1話で、島田先生は明治維新を見るうえでの「5つの歴史観」を示してくださいます。1つめは、薩摩藩や長州藩がなければ日本の近代化がなかっただろうと考える「薩長(官軍)史観」。2つめは、戦前の日本史を否定する「占領軍史観」、あるいはそれと瓜二つの「左翼史観」。3つめは日本民族のエネルギーを評価し、真っ正面から見つめて100冊以上の書物を著わした作家・司馬遼太郎さんの「司馬史観」。4つめは、「明治維新は失敗だった。薩長は見るべきものがない」と主張する原田伊織氏、鈴木荘一氏らの史観。5つめは、「後世の現代から歴史を批判するのはたやすい」として、当時の人びとの苦闘の跡を真摯に追おうとする「岡崎久彦氏の史観」。

島田晴雄先生は、「私自身は岡崎氏の歴史観が一番妥当かと感じています」とおっしゃりつつ、本講義については、次のようにおっしゃいます。

《私の講義では、「私がこう考えている。だから、こうだ」という言い方はほとんどしません。事実を知ってもらいたい。ここまで詳しく事実を語るケースは、ほとんど持たれたためしがないと思います。全般的に、例えば皆さんが明治初年の猪苗代や大坂にいたような、あるいはそれが目に浮かぶような話にしたいと思います。

 歴史を学ぶのは趣味ではなく、未来へのヒントを得るためだろうということです。明治維新については、いろいろな解釈や歴史観があります。それは、未来をどう考えるかという参考にするためです。ただ、「これで参考になるでしょう」という言い方は、私はしません。歴史観は一つの手掛かりです。あくまで事実を率直に振り返ってみて、その中から皆さんがどういう理解をするかがポイントだと思います。その上で、日本の未来への設計を考えたいということです》

まことに至言といえましょう。

そして島田先生は、上記のお言葉のとおり、「歴史が目に浮かぶような」お話をご展開くださいます。もちろん、皆さんがよくご存じの明治維新史ですから、島田先生の話の内容を詳細に紹介することはいたしません。しかし、日本の国内改革がどのように動いていったのかについて、ここまで細部にわたって、しかも大きな流れを見失わず端的に描き出した講義は、なかなかあるものではありません。

また、そのように全体を描き出していくなかで、第3話で「五箇条の御誓文」の重要性に着目されるのは、日本人として忘れてはいけない議論といえましょう。さらに、陸奥宗光と福澤諭吉の2人を大きくクローズアップしていることも、この講義の特長をなすものといえます。それがどのようなことか……については、ぜひ講義本編をご覧ください。

明治維新の「改革」の本質を見事に描き出していただいた、まさに必見講義です。

(※アドレス再掲)
◆特集:特集:幕末維新を「体系的」に学ぶ
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=122&referer=push_mm_feat

◆島田晴雄:明治維新から学ぶもの~改革への道(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2587&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は、「免疫」についての問題です。ではレッツビギン。

初めての感染が起こった際には、実はわれわれは常に存在する抵抗力、すなわち自然免疫を持っているので、これが一生懸命働いて病原体を排除しようとします。それがうまく働かなかった場合、今度は「    」が刺激されます。

さて「    」には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3461&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。

本日は、先週土曜日から配信開始となった頼住光子先生(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部倫理学研究室教授)の新シリーズ講義<【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編>を紹介いたします。

【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編(全3話)
(1)鎌倉仏教と専修念仏
「観想念仏」から「口称念仏」へ、法然の革命性に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4066&referer=push_mm_edt

<【入門】日本仏教の名僧・名著>シリーズでは、これまで総論をはじめ、聖徳太子、最澄、空海、源信と続いてきましたが、今回のシリーズから「鎌倉仏教」と呼ばれる時代に入り、以降、その時代の名僧・名著に迫っていくことになります。その第一弾が法然編です。

法然は非常に興味深い人物で、彼の教えは異端的だとして弾圧を受け、流罪となってしまいますが、彼は全くめげませんでした。なぜか。そこには、「非常に独自の信仰」といわれるその教え、思想に込めた彼の強い思いがあったということです。

では彼の教え、その思想とは何か。また、彼の行動、著作から何を学べばいいのか。現在2話目まで配信中で、3話目は来週木曜日(15日)配信予定です。ぜひシリーズを通してご視聴ください。

※本文の補足:頼住先生の「頼」は、実際には旧字体です