編集長が語る!講義の見どころ
総選挙の結果をどう読む?得票数推移でわかる核心【テンミニッツTV】
2021/11/02
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
第49回衆議院議員総選挙が、10月31日に行なわれました。結果は自民党が261議席を獲得し、選挙前の276議席から減らしたものの、自民党単独での「絶対安定多数」を確保。公明党も32議席を獲得して、選挙前の29議席から議席を増やし、与党の勝利となりました。
(※絶対安定多数=衆議院で17ある常任委員会のすべての委員長ポストを独占し、さらに委員の過半数も確保できる議員数。自党の意に沿う円滑な議事運営が可能となる)
一方、立憲民主党は、共産党と閣外協力の合意も行ない、他党に働きかけて候補者調整を進めて「政権交代をめざす」としましたが、96議席に終わり、選挙前の109議席から13議席も減らす結果となりました。共産党も選挙前から2議席を減らして10議席という結果です。
一方、日本維新の会は41議席を獲得して、選挙前の11議席から大躍進。また国民民主党も11議席を獲得し、選挙前の8議席から3議席伸ばしました。
この選挙結果をどう考えるのか。1つの視点として、これまでの選挙の流れと比較してみると、大きな気づきを得ることができます。
ここで興味深い講座を紹介いたします。曽根泰教先生(慶應義塾大学名誉教授)のお話です。曽根先生は、日本の選挙分析に、とてもわかりやすい指標を提示されます。それは「衆院選や参院選で、与党、野党がそれぞれ何千万票とったか」というものです。
通常は、得票率などパーセンテージで分析されることが多いですが、曽根先生は小選挙区と比例代表のそれぞれで「2000万票」を1つの指標として置き、政党がどのくらいの票数を得てきたかを分析していきます。そのくらい大づかみでの分析のほうが、かえって情勢がよくわかると、曽根先生はおっしゃいます。55年体制から現在まで、政党がいかに力を得ていったか、あるいは力を失っていったかが、おもしろいほど一目瞭然にわかるのです。
この講座は2019年に収録・配信したものですが、この内容と、今回の総選挙の各党の獲得票数と比較すれば、マスコミの選挙報道では見えてこない、政治の真実の姿が見えてくるはずです。
◆曽根泰教:政治学講座~選挙をどう見るべきか(全9話)
(1)選挙の意味
55年体制期、政権を争う選挙を行わなかった日本の特殊性
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3173&referer=push_mm_rcm1
政治学は、本来的には間違いなく「生きた学問」です。いかなる政策を追求するのか、それをどのようにして実現させるのか、あるいは阻止するのか。それは、選挙結果や権力闘争の結果次第です。そんな「生きた政治学」を、曽根先生に大きな構図で教えていただいたのが、本講座です。
この講座で曽根先生は、2000万票という数字を基準として置きつつ、かつて「55年体制」と呼ばれていた時代はどうだったのかから、民主党政権はなぜ失敗したのかまで、幅広く議論を展開されます。
実は、野党の立候補者数をすべて足しても過半数に達しなかった「55年体制」。そこからいかにして1993年の政権交代、さらに2009年の民主党政権の誕生に至ったのか。「参議院選挙がきっかけで政権交代が行なわれる」といわれたのは、実際にはどのような姿だったのか。日本の選挙制度の問題点はどこにあるのか。最盛期に3300万票も獲得した民主党が、いかに失敗したのか。
そのような問題点が、得票数の推移を通して見ると、とてもクリアに見通せるようになります。さらに、曽根先生のお話は、政策実現過程の問題から、選挙戦略のイノベーションにまで進んでいきます。
長年、政治の第一線に迫ってこられた曽根先生ならではのエピソード(曽根先生が実際にご見聞された話)も、ふんだんに盛り込まれ、政治の本質がどんどん見えてきます。
ちなみに、先の10月31日の総選挙、「比例代表」での各党の得票数は次の通りでした(※新聞報道値の合計ですので、最終とは異なるかもしれません)。ぜひ本講座で出てくる数字と比較してみてください。
自民党1991万票、公明党711万票、日本維新の会805万票、立憲民主党1149万票、共産党416万票、国民民主党259万票、れいわ新選組221万票、社民党101万票。
日本の現代政治史や政治過程論の流れを整理して理解するうえでも、非常に有益な講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆曽根泰教:政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3173&referer=push_mm_rcm2
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☆今週のひと言メッセージ
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《人間の本性は変わらない》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3931&referer=push_mm_hitokoto
本性主義の経営――コロナ禍でも人間の本性は変わらない
楠木新(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 教授)
コロナのような外的な大きなショックが広まると、不確実性は一気に高まります。誰も未来は予測できません。ただし、先ほどの本質の話でも指摘した通り、人間の本性は変わらないのです。すると、本性を基軸に判断することが、最も頼りになるのではないかと思います。
「コロナで世の中は一変するか?」という話も盛り上がっています。もちろん、変わることも多々あるでしょうが、いわれているよりも元通りになる可能性が高いのではないかと考えています。というのは、ここでも逆・タイムマシンの発想で、かつてのパンデミックを人間がどのように受け止めて、その後何が起こったのか振り返ってみましょう。
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今週の人気講義
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実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3527&referer=push_mm_rank
定年後、順調にいっている人たちの共通点とは何か
楠木新(神戸松蔭女子学院大学教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4184&referer=push_mm_rank
認知症にも影響する脳のグリンパティック・システムとは
西野精治(スタンフォード大学医学部精神科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4158&referer=push_mm_rank
「くらげなす漂える島」日本は「吊り橋国」である
鎌田東二(京都大学名誉教授/上智大学大学院実践宗教学研究科特任教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4174&referer=push_mm_rank
「紅二代」の思い――中国共産党を再生しなければいけない
小原雅博(東京大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4209&referer=push_mm_rank
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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて本日は、渡部玄一先生(チェロ奏者)のシリーズ講義「渡部昇一の『わが体験的キリスト教論』」を紹介したいと思います。
すでに先週土曜日(11/30)に2話目が配信されましたのでご存じの方も多いと思いますが、この講義は渡部昇一氏が若き頃に留学したドイツでの体験を記した『ドイツ留学記(上・下)』の下巻が『わが体験的キリスト教論』というタイトルで復刊されるにあたり、長男・玄一氏に父の著書にまつわるお話をうかがったものです。
3話目以降も、終戦後ドイツの復興を支えた教会の話、プロテスタントとカトリックの違い、三十年戦争の悲惨、バッハと「受難の典礼」など興味深い話が続いていきます。毎週土曜日配信予定です。ぜひシリーズを通してご視聴ください。
◆渡部玄一渡部玄一:渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(全6話予定)
(1)古き良きキリスト教社会
幻の名著復刊、渡部昇一の『わが体験的キリスト教論』とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4218&referer=push_mm_edt
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熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部