編集長が語る!講義の見どころ
古代ローマと江戸の比較が面白い!(特集&本村凌二先生)【テンミニッツTV】
2022/02/11
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
昨日より、本村凌二先生の最新刊『テルマエと浮世風呂』(NHK出版新書)が全国の書店で発売になりました。
2020年に、テンミニッツTVの「独裁の世界史」講座シリーズをまとめた新書が、同じくNHK出版新書から発刊されましたが、今回は第2弾。テンミニッツTVの「江戸とローマ」の講義シリーズをまとめたものとなります。
「江戸とローマ」シリーズは、現在、第2シリーズ「テルマエと浮世風呂」まで配信を進めております。順次、全10シリーズを配信していきますので、ぜひ末永くお楽しみください。
本日は、この発刊を記念して、ローマ史に学ぶ特集を紹介いたします。
■本日開始の特集:古代ローマ史から日本が学ぶべきこと
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=154&referer=push_mm_feat
古代ローマの歴史には「人類史の経験のほとんどがある」とさえいわます。さらに江戸と比較することで新たな気づきも。古代ローマを知れば、世界はもっとおもしろく、人生はもっと奥深くなります!
本村凌二:江戸とローマの共通項は?…比べるとわかる平和の核心
本村凌二:ローマ水道と江戸の上水、卓越した両者の水道システム
本村凌二×中村彰彦:なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二:ローマ人の宗教的な敬虔さはどこの民にも負けないーキケロ
本村凌二:カエサルの寛容―「敵を許す」ローマ人の精神性
■講座のみどころ:江戸とローマの比較から人間の幸福が見えてくる(本村凌二先生)
本日紹介するのは、このメールの冒頭でもお報せした本村先生の「江戸とローマ」講座シリーズです。
本村先生は、「現代日本人たちに古代ローマを理解してもらうにはどうしたらいいのだろうと考え、江戸と比較してみるのがいいのではないかと思いついた」とおっしゃいます。
なぜ、千数百年の時を隔て、またユーラシア大陸の端と端に位置する「江戸」と「古代ローマ」を比較するのか? それは、「パックス・ロマーナ」といわれる長期間にわたる平和と繁栄の時代と同様のものを日本に求めるなら、江戸時代が最適だからです。
この2つの文明を比較することで、「本当に幸せな社会」とはいかなるものか、「人間が望み求める幸福」とはどのようなものかが、自ずと見えてくるのです。
本日はこのシリーズから、まず第1シリーズ「花見と剣闘士」を紹介します。
◆本村凌二先生:江戸とローマ~花見と剣闘士(全7話)
(1)平和な100万人都市
江戸とローマの共通項は?…比べるとわかる平和の核心
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4258&referer=push_mm_rcm1
この第1シリーズで比較するのは、江戸の「花見」と古代ローマの「戦車競走と剣闘士」。いずれも、大流行した庶民の娯楽です。
江戸の場合、徳川吉宗が飛鳥山、隅田川、中野、小金井など、花の名所をたくさんつくったこともあり、庶民が花を愛でる文化が爛熟していきます。一方の古代ローマでは、戦車競走や剣闘士興業が大流行りでした。
ずいぶんとテイストの違う「娯楽」ですが、いずれも平和で安泰な時代が続いたおかげで花開いた文化だといえるでしょう。
ところで、古代ローマの戦車競走や剣闘士とは、いかなるものだったのでしょうか。
まず戦車競走ですが、映画でいえば『ベン・ハー』の有名なシーンを思い起こす方もいらっしゃると思います。現在でも、ローマには「チルコ・マッシモ」と呼ばれる古代ローマ時代の戦車競技場(キルクス)の跡が残っています。なんと、戦車競技が行なわれたときには、30万人~50万人の観客が入ったといわれます。
また、チルコ・マッシモの近くには、有名な「コロッセオ」がありますが、こちらは剣闘士興行が行なわれる場所で、5万人を収容できる大きさでした。
戦車競技場は、カルタゴやメリダ、アンティオキアなど人口規模が10万人を超えるような大都市でしか建設できないものでした。一方の剣闘士場はポンペイやロンドンなど、もっと小規模な都市でもつくられ、ローマ帝国内の各都市に常設のものが300くらいあったといいます。まさに古代ローマの人びとが熱狂した娯楽だったのです。
ローマでは、戦車競技は年に十数回、剣闘士興行は年に数十回開催されたといいます。真夏と冬の時期には行なわれなかったといいますから、それ以外の季節にはかなりの頻度で行なわれていたことになります。
それぞれの詳細については、本村先生が講座のなかで存分に語ってくださっています。戦車競技も、4頭立ての馬車を疾駆させるものでしたので、ずいぶん危険な競技でした。また剣闘士は、もちろん人と人が殺しあうもので、日本人からすれば残酷極まりないものでしたが、しかし、映画『グラディエーター』(2000年)で描かれているようなものではなかったといいます。実際にはどのようなものだったかについては、ぜひ講座本編をご覧ください。
江戸と古代ローマを比較していくと、図らずも現代の娯楽に通じるものも見えてきます。また、人間の喜怒哀楽や東西文化の違い、そして社会における娯楽の位置づけについても思いを馳せることができます。
教養としても、ぜひ古代ローマの戦車競走や剣闘士興行の実像は知っておきたいところ。さまざまな学びが得られる講座です。ぜひご覧ください。
また、第2シリーズ「テルマエと浮世風呂」の配信もスタートしています。こちらも、ぜひご覧ください。
◆本村凌二先生:江戸とローマ~テルマエと浮世風呂(全3話)
(1)卓越した水道システム
ローマ水道と江戸の上水、卓越した両者の水道システム
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4350&referer=push_mm_rcm3
(※アドレス再掲)
◆特集:古代ローマ史から日本が学ぶべきこと
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=154&referer=push_mm_feat
◆本村凌二先生:江戸とローマ~花見と剣闘士(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4258&referer=push_mm_rcm2
◆本村凌二先生:江戸とローマ~テルマエと浮世風呂(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4350&referer=push_mm_rcm4
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「悲劇」についての問題です。ではレッツビギン。
アリストテレスの定義にあるように、ギリシア悲劇は「人間の行為の( )」です。
さて( )にはどんな言葉が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4345&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて本日は、先月1月によく視聴されたシリーズ講義を2つ紹介いたします。
◆坂井孝一:鎌倉殿と北条氏 (全9話)
(1)北条氏はなぜ権力闘争を勝ち抜いたのか
10分でわかる「鎌倉殿と北条氏の関係」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4317&referer=push_mm_edt
◆長谷川眞理子:進化医学からみた現代の病気 (全3話)
(1)人類の進化と病気の関係
病気はなぜあるのか――進化医学から考える4つの原因
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4314&referer=push_mm_edt
いずれもシリーズを通して数多く視聴されているのですが、とくに坂井先生のシリーズ講義「鎌倉殿と北条氏」は現時点で5話目まで配信中なので、残り4話のことを考えると、さらに視聴が伸びそうです。
NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」同様、毎週日曜日配信予定です。今後もぜひ続けてご視聴ください。
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