編集長が語る!講義の見どころ
中国共産党の「〇〇の壁」とは?(特集&橋爪大三郎先生)【テンミニッツTV】
2022/02/18
まさに北京五輪の真っ最中です。日本はじめ各国選手の活躍に胸を躍らせている方も多いと思います。
ただし、その一方で、国際政治の影響をさまざまなかたちで受けた五輪でもあります。ことに欧米諸国は、中華人民共和国における人権抑圧を、「ジェノサイド」という厳しい言葉で批判してもいます。
もちろん、このような欧米からの批判の背景には、西洋の「人権思想」があることは間違いありません。中国の人権侵害が「西洋の論理と東洋の論理」のような文脈で議論されることもあります。
東洋人である日本人として、それをどのように考えるのか。そもそも「人権」についてどのように理解しているのか。さらに、歴史的背景をどのように考えるのか。
この問題は、「自分自身の人権意識」がストレートに問われるものでもあります。きちんと物事の本質を理解しているかどうかが厳しく突きつけられる難問ともいえましょう。
■本日開始の特集:中国共産党の「〇〇の壁」とは?
本日開始の特集は、このことについて、様々な角度から考える内容です。現状分析、哲学や思想の背景の違い、歴史的経緯など、必須の視点を教えてくださる講座を集めました。問題の本質への洞察が深まり、理解度がグンと増すこと間違いありません。
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=155&referer=push_mm_feat
橋爪大三郎:10分でわかる「中国共産党と人権問題」
小原雅博:中国共産党…中央集権の弱点と底知れぬ巨大な腐敗
中西輝政:アメリカの過ちは冷戦の勝利で中国に幻想を抱いたこと
中島隆博:ルソー型かトクヴィル型か、迫られるデモクラシーの選択
■講座のみどころ:諸外国が指摘する中国の人権問題の本質とは?(橋爪大三郎先生)
本日紹介するのは、中国の人権問題の本質について真っ正面からご解説いただいた橋爪大三郎先生(社会学者/東京工業大学名誉教授)の講座です。
実情はどのようなものなのか。欧米諸国はどのような点を批判しているのか。そもそも「人権」の歴史的位置づけとは、などの論点について、快刀乱麻を断つがごとくご解説いただいています。頭のなかに、明確な座標軸が描かれること間違いなしの内容です。
◆橋爪大三郎:中国共産党と人権問題(全6話)
(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
10分でわかる「中国共産党と人権問題」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4296&referer=push_mm_rcm1
講座の第1話は、「10分でわかる」講義です。まずはここで、現在の状況をしっかり把握することができます。とりわけ、欧米が中国の人権侵害を「ジェノサイド」として糾弾していることについてのご分析や、「中国には中国のやり方がある」という中国共産党側の反論を欧米がどう捉えているかについてのご見解は必見です。
第2話から、深掘り講義となります。まず、中国共産党の位置づけをどう考えるかという重要事項についての議論が進んでいきます。
橋爪先生が指摘するのは「中華人民共和国の憲法の前文には中国共産党について書いてあるが、条文には共産党についての規定がない」ということです。
中国共産党は、入りたい人だけが集まっている任意団体です。しかし明確に、政府を指導し、人民解放軍を指揮しています。つまり「国家の上に党がある」という政治体制であり、中国共産党は、憲法によって縛られない超法規的な存在ではないか、ということです。
これが意味することは何か。ここで興味深いのは、橋爪先生の「大日本帝国憲法と比較すると、よくわかる」というご指摘です。
大日本帝国憲法には、天皇についての規定がたくさんありました。「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」ということも書いてありましたが、「天皇は憲法の条項によってその権限を行使する」ことや「内閣が輔弼と助言をして、政治責任は内閣が取って、天皇は責任を取らない」などということも書かれていた。
つまり、天皇は憲法に規定される存在だったのです。天皇は国家機関だとする「天皇機関説」が正しいとされていましたし、天皇ご自身もそう考えておられました。
しかし、1935年前後に「国体明徴運動」というものが起こり、「天皇を機関などというのは、不敬でとんでもない」という風潮になります。それによって誰も軍隊を止められなくなり、日本が暴走していったと橋爪先生はおっしゃいます。では、中国共産党は……。
まことに重要なご指摘でしょう。
さらに橋爪先生は、加えて、「中国」という概念そのものが、実は近代になって発明された考え方であり、だからこそウイグルやモンゴル、チベットなどからすると厳しい側面があるとご指摘くださいます。加えて、中国共産党のそもそもの「存在意義」や、中華人民共和国で行なわれている「洗脳プログラム」の実際についても詳細にご解説くださいます。ここも知っておかなくてはならない内容でしょう。
そして橋爪先生の講義は、第5話から「そもそも人権思想と憲法とは?」「西洋人は人権をいかに理解しているか」という議論に進みます。橋爪先生は、キリスト教思想から出てくる「人権」の考え方と、中国の儒教秩序の考え方の違いを、とてもわかりやすくお話しくださいます。
キリスト教の考えでは、「1.神様、2.人間、3.王様」の順番になる。それゆえ、神様が人間に与えた「権利」は王様が侵害できないという理屈になる。一方、中国の儒教的な考えでは「天が、人間に社会秩序を与えるよう皇帝に命じる」という論理なので、「1.天、2.皇帝、3.人間」となる。だから「権利」は皇帝がそれを認めたときだけに与えられるものになる。
この思想背景の違いをどう理解し、どう考えるべきか。中国と欧米のはざまで、日本はいかに行動すべきなのか。「中国が暴走しないように」することこそ中国のためだが、そのためにはどうすべきか。
それらについても、橋爪先生はご指摘くださいます。日本人として考えなければならない問題提起が満載の講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:中国共産党の「〇〇の壁」とは?
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=155&referer=push_mm_feat
◆橋爪大三郎:中国共産党と人権問題(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4296&referer=push_mm_rcm2
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「ポンペイ」についての問題です。ではレッツビギン。
ポンペイの遺跡に行くと、歩道と歩道の真ん中に( )があったりします。これらも結局、下を水が流れているから、渡るときにはそこを伝って次の通りに行くような工夫がされていた証拠です。
さて( )にはどんな言葉が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4350&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて昨日、3月の「おすすめプログラムガイド」のメールをお送りしましたが、20日期限のものとして、もう一つお伝えしていきます。
3日にメールでお伝えしました、今月の「プレゼント本」の応募締め切り日です。
<今月のプレゼント本>
『鎌倉殿と執権北条氏:義時はいかに朝廷を乗り越えたか』(坂井孝一著、NHK出版新書)
ご希望の方は以下よりご応募ください(応募締切は2月20日までです)。
https://10mtv.jp/?referer=push_mm_new_function
※応募方法は、トップページ内に表示されている「今月のプレゼント」からご確認ください(応募前の方のみ表示されます)。
以下、坂井先生の人気シリーズ講義もぜひご視聴ください。
◆坂井孝一:鎌倉殿と北条氏(全9話)
(1)北条氏はなぜ権力闘争を勝ち抜いたのか
10分でわかる「鎌倉殿と北条氏の関係」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4317&referer=push_mm_edt
現在第6話まで配信中で、このあと最終の第9話まで毎週日曜日配信予定です。
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