編集長が語る!講義の見どころ
日本の古典を嗜む~『源氏物語』が読める!/特集&林望先生【テンミニッツTV】

2022/07/22

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

古典の名作は、味わえば味わうほどに、人生を豊かにしてくれます。とはいえ、古文を読むのは骨が折れるものですし、現代語訳だって挫折してしまうことも多く……。

しかし、そんなときこそ、テンミニッツTVの出番です。実際に、現代語訳や定番文庫版を発刊されるなど第一線で研究を重ねてこられた先生方が、その作品の妙味を存分に語ってくださっています。

なかには、林望先生の『源氏物語』講座のように、画面では古文(原文)を見ながら、耳では先生による現代語訳を聴けるものもあります。まるで原文をスラスラと読みながら、その極美の世界のなかに分け入ることができるのです。

また、第一人者ならでは、読解のポイントを的確に教えてくださるのも、これらの講座の魅力でしょう。いままでは気づかなかった深みを知る快感は格別です。


■本日開始の特集:日本の古典を嗜む(たしなむ)

色褪せない面白さがある日本古典の名作たち。ぜひ日本古典の美しい文章や奥深い内容に触れ、その魅力を堪能しましょう。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=120&referer=push_mm_feat

・林望:10分でわかる「源氏物語の基礎知識」

・兵藤裕己:『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学

・渡部泰明:『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎

・渡部泰明:ぬばたまの、あしひきの……枕詞は不思議な言葉

・上野誠:『万葉集』に収載されている聖徳太子の歌とは

・鎌田東二:『古事記』と『日本書紀』の大きな違い…その神話と構造


■講座のみどころ:『源氏物語』を味わう歓び(林望先生)

本日は特集から、林望先生(元東京藝術大学助教授)の『源氏物語』講座を紹介いたします。

実は林先生は『謹訳 源氏物語』(全10巻、祥伝社)という全文訳を発刊されています。注目すべきは、ネット書店などの書評に、こんなレビューがいくつも挙げられていることです。

「いままで名だたる作家の『源氏物語』の翻訳を読んだが、どれもすぐに挫折した。しかし、林望先生の謹訳で、初めて読了できた!」

「とても読みやすく、スラスラ入ってくる」

その理由の一端を、林先生はこの講座でも語ってくださっています。主語や述語をわかりやすく補い、まるで物語を読み聞かせるがごとく訳されているのです。さらに、有名な和歌などが「本歌取り」のように引用されている部分なども、的確に補足くださっているので、スッと理解することができます。

その特長が最大限発揮されているのが、今回のテンミニッツTVの講座です。上述のように、原文を目で追いながら、林先生の現代語訳朗読を耳で聴くと、おもしろいように読み解ける。ていねいな逐語訳でありながら、みごとに文学的である林先生の「謹訳」だからこそです。

折しも、2024年のNHK大河ドラマは『源氏物語』の作者である紫式部を主人公にした「光る君へ」であることが発表されたばかり。まさに必見の講座です。

◆林望:『源氏物語』を味わう(全8話)
(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
10分でわかる「源氏物語の基礎知識」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4503&referer=push_mm_rcm1

第1話は、「10分でわかる」講義。『源氏物語』のあらましや、その受容史(ここも現物を見せてくれるので興味深い!)、そして読み方をわかりやすくお話くださいます。この講義を視聴するだけで、『源氏物語』の深い世界の全体像をコンパクトにつかむことができます。

林先生は、『源氏物語』の楽しみ方を、こう語ります。

《『源氏物語』は、一筋縄ではいきません。いろいろな物語が混じっていますから。でもここでお願いしたいのは、漫画ではなく文章で読んでほしいということです。漫画やアニメだと一番大事なところがころっと落ちてしまいますし、イメージが固定されてしまいます。やはり一人一人のイメージは、読者が自分の心の中で作り上げることが望ましいと思います》

第2話では、光源氏をめぐる魅力的な女性たちを紹介くださいます。

第3話は、『源氏物語』の繊細な表現のおもしろさです。たとえば、子供のような弱々しいかわいさを表わす「らうたし」と、完全無欠な完成された美しさである「うるはし」の違い。
また、「きよら」と「きよげ」の違い。それらの意味の違いを踏まえて味読すると、読む楽しみはさらに増すのです。

第4話は、色恋とエロス。エロスといっても、『源氏物語』では「実事」を具体的に描写するわけではありません。そのことを読者に存分に想像させるのです。一例として林先生は、紫上がついに光源氏との初夜を迎えたときのことを挙げます。

《いかがありけむ、人のけぢめ見たてまつりわくべき御仲にもあらぬに、男君はとく起きたまひて、女君はさらに起きたまはぬ朝(あした)あり》

この部分の林先生の謹訳朗読も、まさに聴きどころ。はたして、どのような意味が込められているのかは、ぜひ講座本編でお楽しみください。

第5話は、脇役として登場する人物の描写のみごとさです。1人ひとりを描き分けていく紫式部の才能や力は奇跡に近いと林先生はおっしゃいます。そして、その一例として、明石の入道の人物像の描き方を朗読くださいます。まさにその場に居合わせたかのように感じる名解説です。

第6話は紫式部のユーモア小説作家としての一面が垣間見える「末摘花」。多くの方がご存じのように、「普賢菩薩の乗物=象」のような鼻と描写され、着るものも「おどろおどろし」と書かれる女性です。この人物像を、紫式部がいかにユーモアあふれて書いたのか。そして、その気の毒な姫君の面倒を一生見たという光源氏の物語が残す余韻についても語ってくださいます。

第7話は「紫上の救済」。やはり光源氏の最愛の女性は紫上です。しかし数多くの女性と浮名を流す光源氏に泣かされることも多々ありました。その紫上がいかに救済されていくのか。その様々なシーンが印象深く紹介されます。

第8話では、その紫上の臨終のシーンを、長めの朗読とともにご紹介くださいます。「こんな幸いな死に方をした女性は、他には1人も出てきません」と林先生はおっしゃいますが、それはどのような描写なのか。まさに『源氏物語』の世界に入り込む歓びを満喫できる箇所です。

ぜひとも知っておきたい『源氏物語』。じっくりとお楽しみください。


(※アドレス再掲)
◆特集:日本の古典を嗜む
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=120&referer=push_mm_feat

◆林望:『源氏物語』を味わう(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4503&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「星の種類」についての問題です。ではレッツビギン。

星には2種類あることはご存じの通りです。一つは太陽のように自分で光を出して輝く星で(     )といいます。
もう一つは、自らは光を出さず、恒星の光を反射して輝くもので、「惑星」や「衛星」などがこれに当たります。
天文学では、何もいわずに星といえば恒星のことを指します。

さて(    )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2650&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて昨日、鎌田東二先生のウェビナーが開催1週間(開催日は7月28日)に迫ったということで、改めて詳細をご案内しました(申し込み締切り:7月26日)。
https://10mtv.jp/seminar/202207/index.php?referer=push_mm_new_function

振り返れば、先月(6月29日)開催された小宮山宏先生と長谷川眞理子先生の対談ウェビナーからもうすぐ1か月ということで、時の経つ早さに驚いている今日この頃です。

小宮山先生はウェビナーのなかで「知仁勇(智仁勇)」という言葉を挙げてお話をされていたことを思い出しました。
「知仁勇(智仁勇)」とは論語の三徳のことで、なかでも「知」という側面での役割を担っているであろうテンミニッツTVとしては、仁・勇という側面でも貢献できるよう、今後いろいろとチャレンジを重ね、率先垂範していきたいと考えております。

ちなみに、小宮山宏先生と長谷川眞理子先生の対談ウェビナーの模様は、後日配信予定です。詳細については改めて、当メルマガでもお伝えしていきますので、ご期待ください。