2022/08/19

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

「量子コンピュータ」という言葉をお聞きになったことのある方も多いと思います。

たとえば2019年10月には、各メディアが「スーパーコンピュータで1万年かかる計算を、量子コンピュータなら3分20秒でできる」と報じて、大きな話題になりました。グーグルなどの研究チームが「それを実証した」とする論文が、イギリスの科学雑誌『ネイチャー』に掲載されたのです。

では、量子コンピュータとはどのようなものなのでしょうか。そして新しいコンピュータ社会は、どのような可能性をもたらすのでしょうか。AIのインパクトとは。さらに、GAFAMなどの巨大テック企業をめぐる状況はどのようになっているのか。

本日紹介する特集では、その本質に、深く鋭く迫ります。

■本日開始の特集：AI・量子コンピュータ・巨大テックの未来

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=177&referer=push_mm_feat

・武田俊太郎：10分でわかる「量子コンピュータ」

・長谷川眞理子×松尾豊：知能と身体性は不可分なのか

・柳川範之×松尾豊：AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる

・島田晴雄：マイクロソフトを「公共企業」と語ったビル・ゲイツの実像


■講座のみどころ：本当によくわかる「量子コンピュータ入門」（武田俊太郎先生）

本日は、上記の特集のなかから、実際に量子コンピュータの研究開発に取り組んでおられる武田俊太郎先生（東京大学大学院工学系研究科准教授）の講座を紹介いたします。

量子コンピュータとは何なのか？……この講座では、武田先生が図や絵などを用いてわかりやすくご解説くださいますので、コンピュータの仕組みから量子コンピュータの仕組み、そして、現在の開発状況までを理解することができるようになります。

先端の話題をしっかり理解するためにも、ぜひ視聴しておきたい講座です。

◆武田俊太郎：本当によくわかる「量子コンピュータ入門」（全4話）
（1）量子コンピュータとは何か
10分でわかる「量子コンピュータ」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4544&referer=push_mm_rcm1

武田先生は、まず最初の「10分でわかる」講義で、次のようなよくある質問を提起くださいます。

・量子コンピュータを使えばあらゆる計算が速くなる？
・数年後には実用化される？
・将来は一家に一台、量子コンピュータがある時代が来る？

……さて、答えは？

正解は、ぜひ第1話の「10分でわかる」講義をご覧ください。ここでは、これらの正解に関係のない大事な部分を、1つだけピックアップしましょう。

《単に皆さんが普段使っているスマートフォン、パソコンの性能がよくなるだけではなく、国の産業構造を変えたり、安全保障にも影響を与えたりするので、今、世界各国で量子コンピュータの開発競争が激化しているのです》

この言葉からも、非常に大きな可能性を秘めたものであることが、ひしひしと伝わってきます。

さて、では量子コンピュータとはどのようなものか。

といっても、そもそも電子計算機やコンピュータがどのような仕組みで動いているかを知らない方が大半ではないでしょうか。

武田先生は、第2話で、ソロバンから機械式計算機、さらにトランジスタと順々に仕組みを概説くださり、現在のコンピュータの仕組みを解き明かしてくださいます。

これだけでも知っていると、大いに有益です。

それを学んでうえで、いよいよ第2話の後半から、量子コンピュータの話になります。「量子コンピュータ」という「概念」が提唱されたのが、1980年代のこと。1990年代には、量子コンピュータを使うと、ある種の計算が速くなることが発見され、多くの企業が開発に乗り出します。

では、量子コンピュータの原理とは？　ぜひ、第3話をご覧ください。武田先生は「2重スリットの実験」を教えてくださり、「量子を『波』と考えるとイメージしやすい」とおっしゃいます。

このことについても、武田先生が図解で教えてくださるので、イメージが頭にスッと入ってくること、うけあいです。「それにしても、よくまあ、このような原理を考えつくものだ」と、科学のおもしろさ、研究者の視点の柔軟さに、きっと感銘を受けることでしょう。

では、量子コンピュータが得意なのは何か？

「素材・薬の開発分野の計算」などは、その最たるものだといいます。量子コンピュータを使えば、非常に変換効率の高い太陽電池や、低エネルギーコストの超伝導の材料や、特効薬などが生み出されるかもしれない。

さらに、たくさんある候補のなかでどれがベストかを探る「最適化」、また、「人工知能」の分野でも、大きな可能性があるといいます。

そして第4話では、「開発の現状」をご紹介くださいます。まさにいま、研究が大きく進行中であることが伝わってきて、開発現場を垣間見させてもらっているようで、とても興味深い部分です。

実は、冒頭で紹介した、2019年にグーグルが発表した「量子コンピュータ」は、まだ、まったく実用的な計算ができるレベルのものではないといいます。

なぜか。実用化に向けて潰しておかなくてはいけないことは、何なのか。このようなことも、研究開発の基本を知るうえで、とても参考になります。

そして最後に、武田先生は、ご自身の実験装置の写真をご紹介くださりつつ、こうおっしゃいます。

《量子コンピュータの開発が、いかに泥臭く、非常に労力のかかるものであるかを想像いただけたのではないかと思います》

このようにお話しをうかがっていくと、ますます興味が湧いてくるから不思議です。

最先端の科学知識を、とてもわかりやすく学べる、テンミニッツTVならではの講座です。ぜひご覧ください。


（※アドレス再掲）
◆特集：AI・量子コンピュータ・巨大テックの未来
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=177&referer=push_mm_feat

◆武田俊太郎：本当によくわかる「量子コンピュータ入門」（1）
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4544&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン！ 穴埋め問題
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今回は「古代ギリシアの民主政」についての問題です。ではレッツビギン。

混乱もあり、民主政のリーダーたちがかなり合して、民衆の喜びそうな意見や方針を出していきます。
そこから悪い表現ですが、「衆愚政」という言葉が生まれました。現在、日常的に使われている言葉では（　　　　）だと思います。
衆愚政という言葉には「愚か」という価値観が入っていますから、学問の世界ではあまり使わないようにしています。

さて（　　　　）には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3725&referer=push_mm_quiz


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☆編集部からのお知らせ
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今回は来月（9月）のおすすめプログラムを紹介いたします。
9月に配信を予定している特集と講義は以下になります。

＜9月の特集ピックアップ＞

■上質な教養としての「読書論」

・橋爪大三郎：将棋と本は似ている。定跡を超えたプロの話が参考になる
・山内昌之：書物こそ永遠に尽きることのない知恵を与えてくれる友
・中島隆博：「本質主義」に陥らないよう、いかにして日本を語るのか
・楠木建：上質なスローメディアを教材に経営のセンスを磨く

書物は親友にもなれば、悪友にもなる。いずれにしても「永遠の友」であることは間違いないだろう。そんなかけがえのない友との上手なつきあい方とは？　「上質な教養」を得るための読書について、この機会にじっくりと考えてみようではないか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
＜その他の主な特集予定＞

■不思議な「東京大学」物語

■日本経済の「壁」はどこにあるのか


＜9月の配信講義ピックアップ＞

◆9月1日（木）配信予定：
鎌田東二：プロメテウスの物語で重要な「火」と日本神話との違い

◆9月6日（火）配信予定：
桑原晃弥：「マスタープラン2」でテスラが自動車業界の覇者になる

このほかにも気になる特集、講義が続きます。ご期待ください。

なお、今月（8月）の配信予定は以下から確認できます。

＜今後の配信予定＞
https://10mtv.jp/pc/content/release_schedule.php?referer=push_mm_new_function

最後に。
毎月発行している「プログラムガイド」の無料郵送についてお伝えいたします。

明日（8月20日）までにお申し込みいただければ、翌月より「プログラムガイド」を毎月郵送いたします。
ご希望の方でお申し込みがまだという会員の方は、いますぐ以下をチェックください。

＜プログラムガイド無料郵送のご案内＞
https://10mtv.jp/program_guide.php?referer=push_mm_new_function