編集長が語る!講義の見どころ
第2回投稿入選発表と第3回募集!&「続・認知バイアス」特集/鈴木宏昭先生【テンミニッツTV】

2023/04/14

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
本日は、第2回の「学びの投稿」入選発表と第3回募集、さらに「認知バイアス」特集のお知らせです。いずれも、自分の見方・考え方に大きな刺激を与えてくれる内容です。

■(1)第2回「学びの投稿」入選発表と、第3回募集!

さて、3月14日から募集いたしました「第2回・学びの投稿アカデミア 【テーマ:テンミニッツTVのおすすめ講義とその理由】」にも、数多くのご投稿をいただきまして、本当にありがとうございました!

「こういう捉え方があるのか」「この講義がこう響いたのか」と、いろいろな見方を教えていただけるものばかり。今回も、まことに悩ましい選定を経て、入選投稿を決定させていただきました。

◆第2回・学びの投稿アカデミア 入選発表
・PCでご確認いただく場合
https://10mtv.jp/new_page.php?hash=RVQa8UIL4y&referer=push_mm_new_function
・スマホでご確認いただく場合
https://10mtv.jp/new_page.php?hash=A4Pi7NF0RT&referer=push_mm_new_function

いろいろな意見に学ぶことは、本当に素晴らしいと実感できます。ぜひ、ご覧ください。

ご入選された皆さまには、「図書カードNEXTネットギフト」(2000円分)をメールにて拝送申しあげます(拝送は5月上旬となります)。あらためまして、ご投稿いただきました皆さまに、心より御礼申しあげます。

また、第3回の投稿も、本日より募集を開始いたします。第3回のテーマは「わたしの1冊」です。

人生を変えた一冊、心に残り続けている一冊、世界の見方を変えてくれた一冊……。テンミニッツTVにご出講の先生方の書籍にかぎりません。広くご投稿いただければ幸いです。もしかすると、ご投稿をきっかけに、何らかのかたちで講座とすることもあるかもしれません!?

今回の投稿期間は4月14日(金)~4月30日(日)までです。今回も、皆さまのご投稿を、心よりお待ちしております。

◆第3回・学びの投稿アカデミア「わたしの1冊」投稿募集
https://10mtv.jp/review/?review_id=3&referer=push_mm_new_function


■(2)続・認知バイアス~罠に陥らないための教養/特集&鈴木宏昭先生

自分は正しく認知しているはず。正しく思考しているはず……。そう思っていたのに、知らず知らずのうちに、何らかの「バイアス(偏り、偏向)」にとらわれてしまっている。

そんな「認知バイアス」の特集を、昨年(2022年11月)に組んで、大変ご好評をいただきました。今回、ご好評にお応えして、鈴木宏昭先生の続編講義を配信スタートしましたので、それを組み込んだ「認知バイアス特集」をあらためて紹介いたします。

■本日開始の特集:認知や思考のバイアス~罠に陥らないために

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=185&referer=push_mm_feat

・鈴木宏昭:非合理なのに誰もがハマる「概念のバイアス」とは

・鈴木宏昭:誰もが陥る「認知バイアス」とは何か

・佐宗邦威:妄想から始まる「ビジョンドリブン」で創造的な社会をつくる

・曽根泰教:「先端を伸ばす」と「全体を解決する」ではビジョンが違う

・為末大:「自分らしさ」の発見は、型にはまってみることから始まる

・為末大:限界か、スランプか――伸び悩んだときに見るポイント

・楠木建:『逆・タイムマシン経営論』が訴える「同時代性の罠」とは


■講座のみどころ:誰もが陥る「認知バイアス」とは?(鈴木宏昭先生)

今回も特集のなかから、鈴木宏昭先生(青山学院大学教育人間科学部教育学科教授)の講座をピックアップします。

鈴木先生は前回の《認知バイアス~その仕組みと可能性》講座で、「『創造』するときのバイアス》と「他者との『共同』の折のバイアス」についてお話しくださいました。

今回は、「確証バイアス」と「原因推定のバイアス」についてお話しくださいます。確証バイアスとは「自分の信じていることが間違いであるかもしれない」こと。原因推定のバイアスは、文字通り、物事の原因を推定するときに陥りがちなバイアスです。

いずれも事例を聞くと、身につまされるものばかり。まことに興味深い講座です。

◆鈴木宏昭:〈続〉認知バイアス~その仕組みと可能性(全5話)
(1)概念のバイアス〈前編〉
非合理なのに誰もがハマる「概念のバイアス」とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4877&referer=push_mm_rcm1

まず第1話で、「概念・カテゴリー化における認知バイアス」について、鈴木先生は次のような問題を挙げられます。

《「リンダは独身で31歳の率直な女性である。彼女は大学で哲学を専攻して、社会正義の問題に関心がある」
1.リンダが銀行員である確率?
2.リンダがフェミニストの銀行員である確率?》

この1と2のいずれの確率が高いかという問いなのですが、皆さんの答えはいかがでしょうか?

実はこの問いを見せた場合、ほとんどの場合、「2>1」、つまり多くの人が「リンダはフェミニストの銀行員である確率が高い」と考えるといいます。

しかし、これは間違いです。講義中では鈴木先生が図で示してくださるのでわかりやすいですが、「銀行員」という円と、「フェミニスト」という円が重なった部分が「フェミニストの銀行員」ということになり、《その“部分”になっている確率がそれを完全に包含している「銀行員」である確率を超えるというのは、非合理的といわざるを得ない》からです。

実は人間は、情報を与えられたときに、「カテゴリー化(カテゴリゼーション)」して判断しています。犬の写真をみて「犬」だと判断し、時計の絵を見て「時計」だと判断するのも、そうです。

カテゴリー化できるのは、経験を通して「概念」を持っているからです。

たとえば、犬であれば、これまでたくさんの犬を見ているので、「これは犬だ」という判断ができます。しかし、大量の経験を重ねていないものはどうでしょうか?

人間には「自分自身では多くの経験を重ねていない」ケースが、数多くあります。その場合、「代表例」を基準として判断することになります。それを「代表性ヒューリスティックス」といいます。

しかし、これが「認知バイアス」になってしまうことがある。先ほどの「リンダ問題もそうだ」と鈴木先生はおっしゃいます。

その象徴的なケースが、メディアによってイメージをつくってしまう場合です。一例として、鈴木先生は「イタリア人に対して持つイメージ」のケースを例に出します。

たとえば、イタリア人の友達が500人いるような日本人は少ないはず。にもかかわらず、イタリア人に特定のイメージを持ってしまっているとしたら、それはなぜか?

これは「ステレオタイプ」のイメージを持ってしまっているということです。しかし、それが差別や偏見の温床となることはないのか……。

あらためてそう問われると、まことに恐ろしくなるような話です。

鈴木先生はこうおっしゃいます。

《イメージを生み出した代表例がメディアに依存したものだったとすると、メディアに出てくる人などは大変にとがった人、例外的な方が多いわけです。ですので、そういうものをベースにした代表例、そこからつくりあげるイメージというものは相当割り引いて考える必要があるのではないかと思います》

まさにご指摘のとおりでしょう。

第4話以降では、鈴木先生は「演繹推論に潜む認知バイアス」についてお話しくださいます。そう聞くとなにやら難しそうですが、鈴木先生は多くの例でご説明くださるので、心配ご無用です。

鈴木先生がご提示くださるのは、有名な「ウェイソンの選択課題」です。

《4枚のカードがあります。このカードの片面には数字、そしてもう片面(裏)には平仮名、あるいは片仮名が書かれています。さてこのカードは片面が奇数だったらその裏は平仮名になっています。そういうふうに作られているといわれています。本当にそうなっているかどうかを調べるためにはどのカードを裏返してみる必要があるでしょうか?》

この問題は、文章で例題を読むより、実際の課題を見てみるにかぎります。その答えあわせも、まことに興味深いもの。ぜひ講義本編をご覧ください。

続けて第5話で取り上げるのは「アブダクション(仮説推論)」です。これは問題の原因を想定するときの認知バイアスの問題です。

ここで鈴木先生がお示しくださるのが、下記の問題です。

《40代の女性の乳癌の比率は1%である。乳癌を持つ人にマンモグラフィー検査を行うと、80%の確率で乳癌であるという結果が出る。一方、乳癌でないとわかっている人に同じ検査を行うと、9.6%の確率で乳癌であるという結果が出ます。擬陽性ということです。ある40代の女性がこの検査で陽性、つまり乳癌であるという結果が出たのですが、この人が実際に乳癌である確率はどれほどか?》

おそらく、この答えを聞くと、多くの人は自分のイメージとあまりに違う結果で、驚かれるはずです。

この問題も、設問だけを聞くと難しげに思えてしまいますが、講義では鈴木先生がわかりやすく解説くださっているので、思わず膝を打ちたくなること、うけあいです。

また、鈴木先生は「プロ野球選手の2年目のジンクス(=1年目で活躍した選手は、2年目の成績が1年目ほどではなくなってしまう)」についてもお話しくださいます。はたして原因は、慢心なのか、肉体を酷使してしまったからのなか、それとも……?

この問題も、鈴木先生がご自身の調査結果もふまえてわかりやすくご解説くださいますので、正解はぜひ講座本編をご覧ください。

日常生活のなかにも、このような認知バイアスは数多くあります。いろいろなことが思い当たり、多くのヒントをいただける講座です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆特集:認知や思考のバイアス~罠に陥らないために
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=185&referer=push_mm_feat

◆鈴木宏昭:〈続〉認知バイアス~その仕組みと可能性(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4877&referer=push_mm_rcm2