編集長が語る!講義の見どころ
Microsoft製品にAIが導入されると社会はどうなる?/特集&渡辺宣彦氏【テンミニッツTV】

2023/10/06

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

マイクロソフト社が「生成AI」の製品への導入を発表しています。

9月26日から、Windows11の無償アップデートの一部として、生成AIであるCopilot(コパイロット)の初期機能が展開されたほか、11月1日からは、Microsoft365(ワード、エクセル、パワーポイント、アウトルック、チームズなどが統合された月額利用のソフト)に生成AIを搭載した「Microsoft365 Copilot」が企業向けに提供開始されます。

今年、ChatGPTが脚光を浴びて「生成AI」が大いに話題になりましたが、いよいよ圧倒的な数の人々が使っているマイクロソフト社の製品に搭載されれば、社会へのAIのインパクトは、ますます大きくなることは間違いありません。

「生成AI」が仕事や社会をどう変えていくのか? 一方で、AIの問題点もいろいろと指摘されていて……。AIの能力は、人間を超えるのか? はたしてどのような未来がくるのか? そして人間が考えるべきこととは?

マイクロソフト社の渡辺宣彦氏に、生成AIを搭載したソフトを実際にデモンストレーションしていただきながらご解説いただいた講義を筆頭に、テンミニッツTVのAI関連講義を集めてみました。


■特集:ChatGPT:AIと人類の未来

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=201&referer=push_mm_feat

・渡辺宣彦:「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長

・西垣通:ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは

・中島隆博×納富信留:シンギュラリティ後の世界を見据え、古典の役割を問う

・長谷川眞理子×松尾豊:AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?

・柳川範之×松尾豊:AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる

・橋爪大三郎:AIに本は書けるのか~AIと人間の違いを考える


■講座のみどころ:Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(渡辺宣彦氏)

本日は、特集のなかから渡辺宣彦氏(日本マイクロソフト株式会社・執行役員常務エンタープライズ事業本部長)の講義を紹介します。

前述しましたように、この講義の最大の特徴は、マイクロソフト製品に生成AIを搭載した「Microsoft365 Copilot(コパイロット)」が、実際にどのように動くかを、デモンストレーション映像で示しながら、ご解説いただいているところでしょう。

Copilot=コパイロットとは、副操縦士のこと。つまり、ソフトを使う人の「副操縦士」のように、的確な判断・アシスタント・サポートをしてくれるということです。

百聞は一見に如かず。その機能を見ると、AIを用いた仕事がどうなるのかを、とても具体的に理解できるようになります。まったく驚くべき機能の進化です。

◆渡辺宣彦:Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(全7話)
(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5086&referer=push_mm_rcm1

講義の第1話で、渡辺さんは、生成AIの技術進歩がどのような道のりをたどってきたのかを概説くださいますが、まず注目すべきは、講義の冒頭画面として渡辺氏が示す「絵」でしょう。

実はこれは、渡辺さんが、マイクロソフト社が提供しているBingイメージクリエイターというソフトで、「アニメ監督の新海誠さん風」と指示して、自動で描いてもらった絵だというのです。新海さんといえば、『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締り』などでご存じの方も多いでしょうが、たしかにいわれてみれば渡辺さんにご用意いただいた絵はその雰囲気が漂います。

さらに渡辺さんは、とても興味深いデータを提示されます。

《そのテクノロジーシフトが一定の規模(1億ユーザー)にまでなるのに、どのくらいの時間がかかったか。携帯電話が16年、インターネットが7年、SNSが4.5年です。ChatGPTは昨年の11月末にリリースされたわけなのですけれども、3カ月で1億ユーザーに到達したということで、どれくらいのスピード感で人々の注目を集めることができているのかということをよく表現しているのではないかと思っています》

その後の第1話、さらに第2話の説明を視聴すれば、「生成AI」とはどのようなもので、いかなる流れで発展してきたかが、とてもよくわかるようになります。

たとえば、いまのChatGPTにつながるAIは、2018年に「GPT1」という形でリリースされましたが、当時、そのGPT1が処理していたパラメータ数は1億2000万個、学習したデータ量が4.5GBぐらいだったそうです。それが、いまどうなっているか。そのあたりの具体的な数字も、まさに見所です。

第3話、第4話では、ワード、パワーポイント、エクセル、アウトルック、チームズなどに生成AIが搭載されると、具体的にどのようになるのかを知ることができます。

そのアシスタント能力は、本当に驚くばかりです。色々な指示を「通常の言語」でしてあげると、ソフトの側で考えて色々なことをしてくれるのです。

文章を考えてくれたり、要約してくれたりするばかりでなく、文章を伸ばしてくれさえもする。

「画像を入れて」と指示すると、ふさわしい画像を選んで勝手にプレゼンテーション資料をつくってくれる。

「グラフにして」というだけで、グラフもつくってくれる。希望に応じてデータをピックアップしてくれる。

重要なメールを振り分けてくれたり、返事を書いてくれたりする。しかも学習して、どんどんそのユーザーらしいメール文にしてくれるようになる。

オンラインミーティングで、参加しておいてと頼んでおくと、様子を録画してくれるのはもちろん、会議の流れを要約してくれさえする……。

さらに、企画を練り上げるときのアイデア出しなど「壁打ち」役になってくれる。これまでただただ社内や組織内で死蔵されるだけだった「日報」や「報告書」などのデータも、必要なものを取り出して、活用できるようになる。顧客ユーザーサポートを効率的にやってくれるようになる……。

渡辺さんは、生成AIの技術革新は、過去と比較すれば、たとえば活版印刷の発明や、蒸気機関、飛行機、化学肥料などと匹敵するのではないか、とおっしゃいます。

たしかに、それは間違いないかもしれません。しかし一方で、これが導入されたら、たとえばアシスタント的な仕事をしていた人の仕事が、どんどん不要になってしまうことも、容易に想像できます。

となると、これまで「下積み的なことをやりながら、仕事を覚えていく」といった流れでやっていたものが、大きく変わっていってしまうかもしれません。

また、下積みから仕事をして感覚をつかめた世代(いまの世代はそうでしょう)は、まだしも仕事の勘所を自分自身でつかんでいるので、うまくAIを使いこなすこともできるかもしれませんが、そのような経験なしに、いきなりAIでのアシスタントを経験した世代は、仕事の「本質」を理解できるのか否か……。

そのようなことも、第5話以降の講義で深掘りしていきます。

渡辺さんが印象深いエピソードをご紹介くださいます。いろいろなアイデアを山ほどAIが出してくれるようになって、人間は最後の判断だけをするようになる。そうなると、人間に残されるのは「真善美」に関わることではないか、というのです。

では、「真善美」を深めるために、どのような考え方が必要になるのか。それについては、講義の第7話をご覧ください。

眼前に迫った「AIの時代」を知るために、必見の講義です。


(※アドレス再掲)
■特集:ChatGPT:AIと人類の未来
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=201&referer=push_mm_feat

◆渡辺宣彦:Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5086&referer=push_mm_rcm2


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編集部#tanka
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アメリカのデモクラシーの魂はいずこにありや秋深まりぬ

アメリカ下院議長解任。日本人の常識では、アメリカの政治をまるで理解できないことを痛感します。こういうときこそ知っておきたい米国の真の姿。ぜひ曽根泰教先生の講義で。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3644&referer=push_mm_tanka