編集長が語る!講義の見どころ
大奥の真実~その驚きの実像とは?/特集&堀口茉純先生【テンミニッツTV】

2023/10/20

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

NHKで放送されている、男女逆転のフィクションドラマ『大奥』が人気を博すなど、「大奥」はなにかと気を引く存在です。

しかし、その実像を知ると、「あることないこと」が描写されたドラマで見ているイメージとの違いに驚くことばかり。

たとえば、よく時代劇で語られる「女は男の政治の道具」などというステレオタイプなイメージとは、まったく違った側面が浮かび上がってくることも……。

今回の特集では、大奥について、様々な角度から歴史的に迫った講義をピックアップしてみました。

■特集:大奥の真実

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=215&referer=push_mm_feat

・堀口茉純:大奥のはじまり―天下泰平の実現に奔走した春日局の想いとは

・山内昌之:8代将軍・徳川吉宗はなぜ大奥で非常に評判が良かったのか

・山内昌之:徳川家斉はなぜ50年にわたる安定した長期政権を築けたのか

・高尾善希:忍者の末裔は江戸時代、大奥の事務官もしていた

・本村凌二:お妾さん文化、不倫騒動…時代で変わる価値観の多様性


■講座のみどころ:大奥の真実の姿に迫ると見えてくるものは?(堀口茉純先生)

本日は、特集のなかから堀口茉純先生(歴史作家/江戸風俗研究家)の講義を紹介します。

堀口先生は、ベストセラーとなった『TOKUGAWA15~徳川将軍15人の歴史がDEEPにわかる本~』(草思社)で作家としてデビューされ、その後も『EDO100;フカヨミ!広重『名所江戸百景』』(小学館)、『江戸はスゴイ』『吉原はスゴイ』『歌舞伎はスゴイ』『徳川家松平家の51人』(以上、PHP新書)など、次々と興味深い江戸本を発刊されているほか、テレビなど様々なメディアで江戸や歴史の魅力を紹介しておられます。

その堀口先生が語る大奥の真実とは?

◆堀口茉純:江戸時代を支えた大奥(全2話)
(1)生活空間としての大奥の確立
大奥のはじまり―天下泰平の実現に奔走した春日局の想いとは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5103&referer=push_mm_rcm1

大奥というと、ドラマなどでは淫靡でハーレム的な印象で描かれがちですが、実際の大奥はどのようなものだったのでしょうか。

まず、堀口先生は「空間としての大奥」という視点からお話しくださいます。江戸時代以前から、身分の高い人々の屋敷は「表」と「奥」を分けるつくりになっていました。

表は儀式などで使われるオフィシャルな公共の場。奥は、それ以外のプライベート空間です。そしてその奥を取り仕切るのが正室(正妻)でした。だから「奥方様」と呼ばれることになるのです(将軍家の正室は「御台様(みだいさま)」「御台所様(みだいどころさま)」と呼ばれました)。

かつて日本では、名前をそのまま呼ぶのはきわめて失礼だという考えがあり、だからこそ「場所の名」で読んだのです。現代日本では、妻君のことを「奥様」と呼ぶことに違和感があるという声が上がることもありますが、歴史的な意味を考えると、そこまで差別的な意味合いで使われていたものではないことが見えてきます。

では、江戸城において、大奥はどのくらいの広さだったのか。これは百聞は一見に如かず。講義では江戸城の絵図面でご説明いただいていますので、ぜひご覧ください。皆さまご想像のとおり、きっと驚くことになろうかと思います。

そして次に語られるのが、いよいよその歴史についてです。大奥の制度が整えられたのは、2代将軍・徳川秀忠の時代。その深い理由には、3代将軍となる徳川家光が「衆道」好みだったことがありました。つまり、同性愛です。

よく知られているように、戦国時代は衆道はある種、ごく普通のことでありました。しかし将軍家としては、お世継ぎが生まれなければ大変です。

そこで活躍するのが家光の乳母であった春日局です。春日局はどのような手を使ったのか。そしてそこにあった深い思いとは……。

この話を聞くだけでも、大奥に対するイメージが変わってきます。

第2話でまず語られるのは大奥の職制です。堀口先生は「大奥は江戸時代のキャリアウーマンの世界であり、最高峰の女性役人の世界だった」という点についてご説明くださいます。そして実は、「表の幕府の政治面」にも大きな影響を持っていたというのですが……。

様々な事例とともにご紹介くださいますので、歴史を見る目が少し変わってくること、うけあいです。

歴史を楽しむためには、現代的な価値観に立脚した興味本位の描き方も1つのあり方ではありましょう。しかし、実際の歴史を知ると、さらに愉しみは深くなり、むしろ現代にも参考になる様々な気づきも数多く得られるものです。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
■特集:大奥の真実
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=215&referer=push_mm_feat

◆堀口茉純:江戸時代を支えた大奥(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5103&referer=push_mm_rcm2


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編集部#tanka
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遠因は三枚舌と迫害とその悲しみにただ天仰ぐ

ハマス対イスラエル。その悲劇の遠因は第一次世界大戦時の英国の三枚舌と欧州古来のユダヤ人迫害だと……。祖国を失うとはいかなることか。これは決して他人事ではありません。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=274&referer=push_mm_tanka