編集長が語る!講義の見どころ
新機能!学習データ&世界で最も悲劇的な「北欧神話」/鎌田東二先生【テンミニッツTV】
2023/10/31
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
■(1):新機能の紹介!「学習データ」をご活用ください。
新しい機能として、皆さまの「学習継続日数」や「修習講義数」などがひと目でわかる「学習データ」を実装しました(一部の導入法人の受講者の方は除きます)。
トップメニューの「マイデータ」⇒「学習データ」
と進むとご覧いただくことができます。
https://10mtv.jp/pc/content/learning_data.php?referer=push_mm_new_function
◎入会以来の学習継続日数
◎視聴した修習講義数
◎教養の歩み(自己ランク)
◎ジャンル毎の学習進捗度
◎ジャンル毎の未視聴講義
をわかりやすく表示。皆さまの学びの進捗を応援します。
なお、この「学びのデータ」で表示される講義数は、「講義動画」をご覧いただいて「お客様が学習された」とシステムが判断した講義の数です。動画をしっかりとご視聴いただくと増えていきます。また、データの更新はリアルタイムではなく、翌日早朝5時になっています。
ぜひ学びの参考ツールとしてご活用ください。
■(2):世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な「北欧神話」に迫る(鎌田東二先生)
各国、各地域の神話を知ると、それぞれの場所で生きてきた人々の世界観や文化について深く知ることができる。テンミニッツTVで展開している、世界の神話シリーズ。いよいよ今回紹介するのは、「北欧神話」です。
北欧神話? あまり印象がないけれども……。そのように思われる方も多いことでしょう。
しかし、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、アイスランドなどに広がる北欧神話は、ゲルマン神話とも類縁性があり、ヨーロッパ文明に多大な影響を与えてきました。たとえばリヒャルト・ワーグナーの壮大な楽劇の重要なモチーフにもなっています。
しかも、その北欧神話は、世界のなかでも飛びぬけて悲劇的で、ニヒリスティックな世界観だというのですが……。
はたして、どのような神話体系なのでしょうか。
◆鎌田東二:北欧神話の基本を知る(全2話)
(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5106&referer=push_mm_rcm1
鎌田先生は、講義の冒頭で、こうおっしゃいます。
《私が知る限り、北欧神話が一番深刻です。救いがないというのか、閉ざされてしまうというのか。人類史が考えた、人類あるいは神々の物語の中で、もっとも悲壮美、悲劇性を持っているのが北欧神話です。
そういった意味では北欧神話は、ギリシア神話が1つの明るい地中海的な能天気の神話の極=南極であったとするならば、北極の一番深刻でシリアスの極みのような、そういった世界です。終末論や神々の黄昏、世界の破局、人類の破局を予言しているといったようなものが北欧神話です》
こう聞くと、その内容に興味を覚えてしまうのが人情というものでしょう。その物語紹介は、ぜひ講義本編(第1話)でご覧ください。
鎌田先生は、ギリシア神話の解説講義で、ギリシア神話も黄金の時代から銀の時代、鉄の時代、銅の時代へと、どんどん世界が悪くなっている下降史観だと教えてくださいました。しかし、北欧神話はそれよりも先へ進んで「この先の未来も本当に破局を迎える」というところまで行き着いているといいます。
なるほど、そういえば地球温暖化問題について、十代の頃からの劇的な抗議活動で世界的に有名になったスウェーデン出身の環境活動家もいますが、もしかするとこのような神話の世界観が、暗黙のうちに、なにがしかの影響を与えているのかもしれないと、ふと思えてきます。
第2話で語られるのは、北欧神話における「人間の始まり」、そして「安らぎのない死後の世界」です。
北欧神話には、いくつかの「人間の始まりの伝説」が描かれているといいますが、そのなかには、3神が木の幹から人間をつくったという伝説もあるとのこと。3神が、人間の3つの特性を与えたというのです。
鎌田先生は、この「3」という数字は、普遍的な1つの思考方法であり、たとえばプラトンの「魂の三部分説」などともつながるような思考の仕方だとおっしゃいます。このあたりは、納富信留先生のプラトン『ポリテイア(国家)』講義などと併せて学ぶと、いろいろ興味深い気づきもあるかもしれません。
(参考)
◆納富信留先生:プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(9)魂の三部分説
理性・気概・欲望…ポリスとの類比でわかる「魂の三部分説」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4709&referer=push_mm_rcm3
さらに「安らぎのない死後の世界」です。北欧神話では、「ラグナロク」という最終戦争が起こるとされています。それに備えて、主神オーディンが強い死者たちを集めている。それゆえ、強い死者たちは天国に来て、最終戦争に備えることになりますが、それ以外の「藁(わら)の死」を迎えたものは、地獄のニヴルヘルに行って酷使される……。
それこそ、ワーグナーが楽劇「ニーベルングの指輪」で描く世界に、このような物語が描かれますが(ワルキューレの役割など)、なんとも壮絶な世界観です。
このような設定は、まるでゲームの世界のようだと鎌田先生はおっしゃいます。いろいろなゲームに神話的なアイテムが使われているのも、故なきことではないのです。
鎌田先生は、日本神話の「天壌無窮(この世界がずっときわまりなく続く)の世界観」と、北欧の「黙示録的な世界観」とを対比させつつ、しかし北欧神話のような物語が、「神々も人間も滅んだら、その後に何が起こっていくのかについて考えさせてくれる」とおっしゃいます。
やはり、様々な国や地域の神話を知ることは、まことに興味深いと、しみじみ実感できる講義です。ぜひ、ご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆鎌田東二:北欧神話の基本を知る(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5106&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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