編集長が語る!講義の見どころ
「日本」の枠組みを超えて「経済」を考えてみる/柳川範之先生【テンミニッツTV】
2023/11/21
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
世界的にインフレ危機が高まるなか、デフレが続いてきた日本でも物価上昇の流れとなりました。しかし、よく見てみると、世界とは状況が異なっていることも事実です。
とかく日本では、どうしても「日本」という枠組みのなかだけで、経済のあり方や経済政策について考えてしまいがちです。しかし、その視点に限界だけでは、あまりに捉えきれないことが多いのではないでしょうか? 国という「枠」を外してみると、見えてくるのはどのようなことなのか?
本日はその視点から、縦横無尽に柳川範之先生(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)にお話しいただいた講義を紹介いたします。まさに目からウロコのお話が次々と飛び出します。
【……と、その前に】
現在、会員アンケート企画「戦争をなくすために必要なのは何だと思いますか?」を実施中です。おかげさまで、多くの皆さまからお声を寄せていただいています。この機会に、ぜひご参加いただき、この問題について考えてみてはいかがでしょうか?
https://pr.imgs.jp/r.php?Hqprfadz6M
テンミニッツTVトップページの最上部からも、アンケートに飛べます。
アンケートの締切は11月24日(金)まで。
結果は12月6日(水)の編集部ラジオで発表いたします。
【……柳川範之先生の講義紹介に戻ります!】
◆柳川範之:経済と社会の本質を見抜く(全6話)
(1)世界的インフレと労働市場の影響
インフレ激化の真実…デフレ脱却を困難にした日本の労働市場
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5112&referer=push_mm_rcm1
最初に柳川先生がお話しくださるのが、世界的なインフレ激化についてです。実は柳川先生は、子どもの頃に、ハイパー・インフレーションが吹き荒れていたブラジルで生活をされたご経験をお持ちです。今回の講義ではそのことに触れつつ、実感としてのハイパー・インフレ―ションの怖さをご指摘くださいます。
ただし、現在はかつてとは違って、相当に仕組みがわかってきてはいるので、簡単にハイパーインフレになるわけではありません。一方、日本の場合は諸外国と異なり、30年近く、デフレの状況を続けてきました。
なぜ、日本だけそうなったのか。
柳川先生は、実は労働市場環境が大きなポイントになったのではないかと指摘されます。インフレがどんどん止まらなくなるのは賃金が上がるからですが、日本は逆にほとんど賃金が上がらなかった。それは、終身雇用で安定的に給与を維持することを第一にやってきたから。それが、世界との大きな差を生んだのではないか、というのです。
これまでのことを振り返る意味でも、今後のあり方を考えるうえでも、とても興味深いご指摘です。
第2話と第3話は、「国」という枠組みで経済政策などを考えることの限界性です。いまや、様々なデータを細かく取れるようになりました。そして、それに応じて政策を打てるようになってきています。しかし、その一方、世界経済のなかで、「国」という単位で考えることの限界もある。
たとえば、世界の所得分布を見てみるとどうか。日本は圧倒的に富裕層が少ない国です。そのような実態を把握したうえで物事を進められているかどうかが問われるのです。
柳川先生は、「国」という枠組みだけでなく、一方では「世界」全体から考えて、そしてもう一方では「地域」の単位で見ていくことが大切だとおっしゃいます。いろいろなデータが集まるようになったからこそ、そうすべきだと。
これも、まことに重要な視点といえましょう。
そのうえで、AIの発達など社会の急激な変化にいかに対応し、いかにチャレンジをポジティブに評価できる社会にしていくか。ここも現在の後ろ向きな日本を脱却するために、大切なことでしょう。
第4話は、「コンプライアンス」についてです。
ここで柳川先生は、次のように、とても重要な指摘をされます。
《「欧米は」というと少し紋切り型で言いすぎではあるのですけれども、コンプライアンスのところとか、あるいはリーガルなところは、1つの割り切りとして「最終的に裁判で勝てればいい」という話です。だから、ゴーサインを出せるか出せないかは、裁判で勝てるかどうかなのです。
でも、日本は裁判を起こされたら終わりです。裁判を起こされるどころか、その手前で、SNSで炎上したら終わりです。いろんなものをやるときに、この差は相当大きいわけです》
これも、まことに核心をついたご指摘です。社会のあり方の根本が違うのに、安易に仕組みや制度を導入したらどうなるのか。その弊害が象徴的に、この問題にも表われていることを痛感させられます。ここはよくよく考えておくべき問題でしょう。
第5話は、アメリカでMBAの学位を取得することの意味です。日本では、「MBAを取ったのに活躍できない」「いや、取っても意味がないのだ」などともいわれます。はたして、どうなのでしょうか。
ここでも柳川先生は、明快なお答えを提示されます。「要するに、だいたいにおいて、アメリカの弁護士資格もそうですけど、最低条件をクリアしているだけなので、それで将来を保証するというものではない」というのです。
にもかかわらず、やはり取得する意味は大きい。その理由は……。ぜひ講義本編をご覧ください。
第6話は、日本では給与水準の問題もあり、政府や日銀など公的部門で優秀な人材を採用できづらくなっているのではないか……という問題です。
これは、日本という国の舵取りを考える場合、まことに由々しきことといわざるをえません。では、諸外国の事例はどうなのか。日本はどうすべきなのか。
この点も、ぜひ講義本編をご覧ください。
視点を変えることで、物事の本質がスッキリと見えるようになる。そのことを、しみじみ実感できる講義です。経済への理解が一段と深まること、間違いなしです。
(※アドレス再掲)
◆会員アンケート企画「戦争をなくすために必要なのは何だと思いますか?」
https://pr.imgs.jp/r.php?Hqprfadz6M
◆柳川範之:経済と社会の本質を見抜く(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5112&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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