編集長が語る!講義の見どころ
画家の考え方を知れば、絵画鑑賞はもっと楽しくなる(テンミニッツTVメルマガ)
2020/10/06
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
気がつけば10月、まさに芸術の秋の真っ只中……ではありますが、今年はウイルス禍で、音楽会や展覧会などにも、なかなか足を運びにくいかもしれません。
このようなときには、ぜひテンミニッツTVで芸術について学んでみてはいかがでしょうか。本日紹介するのは、川嶋渉先生(京都市立芸術大学 美術学部日本画研究室教授)に、日本画家が何を考え、どのような視点で描いているのかを、わかりやすくご解説いただいた講義です。これを知っているかどうかで、絵の見え方はまったく変わってきます。絵画鑑賞の深さも段違いになりますし、絵を見る楽しみや味わいも、ぐんと増します。
◆川嶋渉:日本画を知る(全3話)
(1)写実・写意・写生
日本画で「写意」を表現するための「写生」とは?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2010&referer=push_mm_rcm1
まず川嶋先生は、日本画の世界でとても大切にしている言葉として、「写意」や「写生」をご紹介くださいます。
「写生」という言葉は、たとえば学校の美術の授業などでも「写生大会」などとして広く使われていますが、実は本当の意味はもう少し深いところにあるのだと、川嶋先生はおっしゃいます。
川嶋先生曰く、「写生」とは、「そのときに風が吹いていたとか、いい花の香りがしたね、といったことまでもしっかりと記憶にとどめ、ただ記憶だけではなく、画中にどうやって入れていこうか」と考えて描いていくことです。
たとえば、絵を描こうとして「きれいな花」を見たとき、近くに空き缶が落ちていても、気にならないことも多いことでしょう。これは、「美しい花を見つめる感動」を心に抱きつつ、視線が花に集中しているからです。あるいは遠景に電信柱があっても、それは描かないかもしれません。しかし写真で撮ると、空き缶や電信柱が写り込んでいることが目につきます。
あるいは、スマホで写真を撮って花を拡大しても、花は香りません。しかし、写生するときには、花をよく見ようと近づくと、花の薫りも記憶に残ります。このようなことが「写生」においては大切だというのです。
川嶋先生は、「学生には、鉛筆を使わせず、筆と墨液で描かせるようにする」ともおっしゃいます。鉛筆は消せますが、当然、筆と墨液で描く場合は消せません。すると、学生たちは対象を真剣に見るようになる。そのことがとても大切で、「見ることのできない人は絵かきにはなれない」そうです。
また、絵の中に「隙」があるかどうか、ということも川嶋先生は教えてくださいます。余白なく、絵を情報で埋め尽くすと、見る側は、画家が見たものをそのまま強制的に見せられることになる。一方、隙を作ると、見る側の気持ちがすっと寄り添えるようになる。そのために、10割を描くのではなく、だいたい6割くらいを描くようにする……。このようなご指摘も、「なるほど」と心に染み込んできます。
このほかにも川嶋先生は、「タイトル」の重要性、「画家の目線」とはいかなるものか、などについて語ってくださいます。これまでとは違った「視点」を持てるようになる講義です。ぜひ、楽しみながらご視聴くださいませ。
(※アドレス再掲)
◆川嶋渉:日本画を知る(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2010&referer=push_mm_rcm2
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☆今週のひと言メッセージ
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「ノーブレス・オブリージュがないが故に、良質な指導者にならない」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=169&referer=push_mm_hitokoto
「公のために自分を殺すような精神構造」が指導者の条件
齋藤健(衆議院議員)
日本にも、このノーブレス・オブリージュがかつてはあったのに、今や崩れましたね。人材が出てこなくなったのは、そこが原因でしょう。能力や教育環境については、今のほうがずっといいかも知れません。ただ、ノーブレス・オブリージュがないが故に、良質な指導者にならない。
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今週の人気講義
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実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3527&referer=push_mm_rank
無名候補ハーディングが大統領選に勝利した100年前との共通点
東秀敏(米国安全保障企画研究員)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3546&referer=push_mm_rank
劇的な米中対立の深まりには大統領選挙より大きな要因がある
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3634&referer=push_mm_rank
日本は今まさに大転換期の真っ只中にいる
田口佳史(東洋思想研究者)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3312&referer=push_mm_rank
AIやビッグデータを活用した車が自動運転の中心になる
加藤真平(東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2415&referer=push_mm_rank
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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。
さて、本日は先月から始まった<人間力を磨き高める「デジタル寺子屋」>特集について少々。
いずれも人間力を磨き高めるうえで貴重な講義なのですが、今回注目したいのは上甲晃先生(志ネットワーク代表)の講義のなかにでてくる“底力”のお話です。
「真理は平凡の中にある。だから一番大事なことは、誰でもやっている当り前のことを誰よりも徹底してやるということだ。それが“底力”だ」
特に「誰よりも徹底してやる」というところです。誰もやっていない特別なことをやろうとするのではなく、誰もがやっている当り前のことを“誰よりも徹底してやる”ということで、個人的にですが、ここに大いに気づきを得ました。
毎週メルマガをお届けするのは当り前のこととして、それを“徹底してやる”ことがテンミニッツTVの“底力”になる。これからも皆さんのためになる、楽しく面白い講義をお伝えしていきますので、ご期待ください。
<今回ご紹介した講義はこちら>
感動した言葉は野球部監督の「あいさつは野球より難しい」
上甲晃先生(志ネットワーク代表)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=674&referer=push_mm_edt
<『人間力を磨き高める「デジタル寺子屋」』特集はこちらからご視聴いただけます>
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=101&referer=push_mm_edt
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