編集長が語る!講義の見どころ
和のこころ~忘れてはならない日本の美学/特集&大久保喬樹先生【テンミニッツTV】
2024/03/29
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
日本文化について、ぜひ色々知っておきたい……。そのような方も多いのではないでしょうか。テンミニッツTVには、日本文化やその美の本質を、色々な角度からお話しいただいた講義が多数あります。
日本文化、そして日本精神の根底には、何があるのでしょうか。芸術から、思想、美、食まで、さまざまな角度から光を当てることで、日本の「深い魅力」が浮かび上がってきます。
和のこころ、和の美学を理解し、味わいつくすために必見の特集です。
■特集:和のこころ~忘れてはならない日本の美学
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=76&referer=push_mm_feat
・大久保喬樹:岡倉天心の『茶の本』…世界に向けた日本伝統文化の発信
・佐藤康宏:日本美術の特徴を示す矛盾した2つの要素とは?
・川嶋渉:日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
・渡部泰明:『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
・頼住光子:議論で和を実現せよ、怒りと執着を捨て凡夫の自覚を持て
・板東洋介:本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
・小泉武夫:日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
■講義のみどころ:岡倉天心『茶の本』に日本文化の真髄を学ぶ(大久保喬樹先生)
岡倉天心が書いた『茶の本』を、皆さまご存じのことと存じます。
原題は『The Book of Tea』。ボストン美術館中国・日本美術部長を務めた岡倉天心が英文で書き、1906年にニューヨークの出版社から出版したものです。
この『茶の本』で岡倉天心が説いたのはどのようなものだったのか。
テンミニッツTVでは、大久保喬樹先生(東京女子大学名誉教授)が、この『茶の本』の精神を全6回でわかりやすくご解説くださった講座を配信しております。
岡倉天心の『茶の本』は、茶道の手引き書ではなく、茶道を通して日本あるいは東洋の世界観や自然観を、非常に幅広く説く内容でした。日露戦争で日本が勝利した直後に、英文で発刊されたこともあり、大きな反響を呼びました。
西洋人の日本文化イメージ、ひいては東洋文化のイメージを形づくるのに大きな影響を与えた一冊でもあります。まさに新渡戸稲造の『武士道』(1899年に英文で発表)と並び立つ書ともいえましょう。
そんな『茶の本』を概説いただいた本講座をご覧いただくと、日本人としてぜひとも知っておきたい日本ならではの世界観、美学を、わかりやすく理解することができます。
◆大久保喬樹:岡倉天心『茶の本』と日本文化(全6話)
(1)岡倉天心の生涯
岡倉天心とはどういう人物だったのか?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2216&referer=mof_mail&referer=push_mm_rcm1
大久保先生は、岡倉天心のこんな言葉を訳出してくださっています。
《茶道は雑然とした日々の暮らしの中に身を置きながら、そこに美を見出し、敬い尊ぶ儀礼である。そこから人は純粋と調和、互いに相手を思いやる慈悲心の深さ、社会秩序への畏敬の念といったものを教えられる。
茶道の本質は不完全ということの崇拝、つまりものごとには完全などということはないということを、畏敬の念をもって受け入れ処することにある。不可能を宿命とする人生の只中にあって、それでもなにかしら可能なものを成し遂げようとする心、優しい試みが茶道なのである》
まさに、いまこんな時代にこそ読みたいメッセージです。
また、大久保先生は、岡倉天心が「お酢は酸っぱいか、苦いか、甘いか」というたとえ話で、老荘思想をベースとした茶の湯の心を説いた話を紹介されています(第3話)。
お酢をなめた仏教の僧侶は「苦い」といった。儒教の達人は「酸っぱい」といった。老荘思想の達人は「甘い」といった……。
つまり、仏教は現世の苦の世界からの離脱を説くのに対して、老荘思想では、「世の中は、ありのままに受け入れていけば、そこに心の平和が訪れる」と説いている。実は、一杯の質素なお茶も「甘いもの」「天上の滋味」として味わうのが老荘思想の極意だというのです。
孔子が説く人間社会は非常に小さいものにすぎない。老子はそれを超える自然、宇宙に重点を置いた。そして、お茶のなかには、実は人類をも超える宇宙の摂理が実現されている。それはたとえば、「数寄屋建築」のあり方から見えてくる……そんな岡倉天心の話を大久保先生は紹介してくださいます。
さらに大久保先生は、岡倉天心が『茶の本』の第五章、六章で、「相手が人間である場合にせよ、自然である場合にせよ、相手に自分を預けて委ねることが非常に大切なのだ」と強調していることもご紹介くださいます(第5話)。
たとえば、日本のお茶における花の扱いでは、花に敬意を払うことが大切にされます。人間が花を余計に切り刻むようなことは許されない。それゆえ岡倉天心は、花を自分勝手に切り刻んで造形する西洋のフラワー・アレンジメントは最悪だとし、自然のままに花を置いておくことが大切だと喝破するのです。
そして、ある夏の暑い日の茶会で床の間に生けられていた一輪の百合についての、次のような言葉が紹介されます。
《露に濡れたその花の様子は、人生の愚かしさに微笑んでいるかのようだった》
なんとも謎めいた言葉ですが、はたして、その意味とは?――これについては、ぜひ講座本編でご覧ください。
大久保先生は、岡倉天心が『茶の本』で挙げた「たとえ話」をいくつもご紹介くださり、それをわかりやすくご解説くださいます。まさに、岡倉天心が説いた東洋思想の真髄が、必ずや見えてくる絶品講義です。
(※アドレス再掲)
◆特集:和のこころ~忘れてはならない日本の美学
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=76&referer=push_mm_feat
◆大久保喬樹:岡倉天心『茶の本』と日本文化(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2216&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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わが罪を隠さんがため人詰るそれが総理というも哀しき
岸田総理の裏金問題での安倍派幹部聴取。でも、岸田派の問題隠しのための他派攻撃で、自党の足元を崩しているようにも…。では、勝てるリーダーとは? ぜひ田口佳史先生の講義で。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4326&referer=push_mm_tanka
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