編集長が語る!講義の見どころ
野田佳彦氏が総理として実感した国家経営の要諦とは?【テンミニッツTV】

2024/09/10

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。

自民党総裁選と立憲民主党代表選が注目されていますが、本日は、立憲民主党代表選に出馬された野田佳彦先生の講義を紹介いたします。

この講義は、本年4月18日に早稲田大学政治経済学部で行なわれたものです。ご自身が卒業された大学の現役学生へのお話しということで、まことに率直なお話しぶりです。

印象深い部分を、紹介いたしましょう。本日(9月10日)時点では、まだ配信していない第6話の質疑応答編(9月13日配信予定)で、学生からの「野田先生は総理に就かれる前に財務大臣などを歴任されていますが、大臣のときに見えていた総理の職と、実際に総理に就かれてからの職務を比べて、予想できなかったところ、違ったところがあれば教えてください」という質問に、こんなお答えをされています。

《総理になって見えてきた風景は、それまでとは全然違います。(たとえば公用車で交差点を過ぎるようなときに)見えてくる人々の表情がとても気になるのです、とっても。これは総理のときだけなのです。例えば、元気のないサラリーマンの憔悴した姿を見るじゃないですか。そうすると「私のせいかな」と思うのです。「どうしてかな。景気が悪くて会社の調子が悪いのかな。肩たたきでもされているのかな」と思うのです。

 元気のない女性が、買い物袋などをぶら下げて立っていたとするじゃないですか。「家計のやりくりが大変なのかな。私のせいなのかな」と思うわけです。それはご主人が浮気しているとか、個人的な事情かもしれませんけれど、不幸そうに見える顔が見えたときに、ものすごく切ない。それは、単なる国会議員のときや他の大臣のときではなくて、やはり1億2000万人の命、暮らしの最後の責任者だという気持ちの表れだったのではないでしょうか》

なるほど、総理になるとそのように感じるのかと、感慨がしみじみ伝わってくるお話です。

講義タイトルは「総理として実感した国家経営の要諦」ですが、はたしてどのようなことを話しておられるのでしょうか。

◆野田佳彦:総理として実感した国家経営の要諦(全7話)
(1)なぜ政治家を志したか
政治は命がけ、実はジャーナリスト志望だった元総理の転機
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5445&referer=push_mm_rcm1

野田先生は、まず第1話で、とてもコンパクトにご自身の来歴を語ります。政治に興味を持ったのはなぜか。どうして松下政経塾に入ったのか。そのような話で飽きさせないのは、長年、街頭演説を重ねてこられたゆえでしょう。

第2話からは、総理を経験したことで、国家の経営について何を考えたのかについてお話しくださいます。もちろん大学生向けでもあり、とてもやさしいお話ですが、そのなかで本質が語られていきます。

第1は、国家経営の基本は、やはりクライシス・マネジメント(危機管理)であること。

第2は、財源の話、負担の話を先送りしないこと。

第3は、外交はトップの仕事だと思って対応すること。

第4は、領土・領海はしっかり維持管理し、守り抜くこと。

第5は、皇室を大切にすること。

それぞれ、まことにわかりやすく基本的なお話のなかから、真実がこぼれだします。

たとえば、「皇室を大切にすること」では、当時の皇后陛下(現在の上皇后陛下)のこんなお言葉をご紹介くださいます。

《「最初は、自分はお邪魔になるのではないかと思いました。野田さんたちには具体的な陳情があるでしょう。われわれにはないのです。ただ陳情がない分、ずっと胸の奥に秘めた悲しみや切なさをぽろぽろと吐き出される。『目の前でかわいがっていた孫が流されてしまいました』とか、『夫は消防団だったのだけれど水門を閉めに行ったまま帰ってきません』などです。そういった吐き出す言葉にしっかり耳を傾けて、受け止めるということが、象徴としての天皇のお勤めであるということを、確信を持って陛下が行っていらっしゃることに、自分も『なるほど』と思うようになって、確信を持って被災地に行くようになりました」というお話でした》

このような上皇后陛下のお言葉を紹介くださったうえで、《誰か見守ってくれて、耳を傾けてくれて、寄りそってくれる存在がいるということは、やはり地域社会の絆、国の絆になっていくのだろう。これは大事な仕事だなと。そう思いました》と語りかけるのです。

まことに、おっしゃるとおりでしょう。

これらの「総理としての国家経営の要諦」は、どの党であれ、いずれも共通する部分ではありましょう。それぞれの点をどう考えるか。政治を考えるうえでの様々なヒントが含まれています。今般の自民党総裁選や立民代表選を見るうえでも、一つの座標軸になるように思います。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆野田佳彦:総理として実感した国家経営の要諦(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5445&referer=push_mm_rcm2


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編集部#tanka
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