編集長が語る!講義の見どころ
紛争が絶えない世界で、私たちは何ができるのか/小原雅博先生【テンミニッツTV】
2024/11/26
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
ウクライナやパレスチナが象徴的ですが、現在も大きな国際紛争が続いています。さらに日本の安全保障の危機も、引き続き高い厳しい状況下にあります。
このようなとき、「個人」にできることはあるのでしょうか。
本日は、そのことについて小原雅博先生(東京大学名誉教授)にお話しいただいた講義を紹介いたします。小原先生は東大教授になる前は外務省にいらっしゃいましたが、無償資金協力課長もお務めになって数多くのNGOとの仕事もされ、また、日本のNGOが発展するための仕組みづくりにも携わっていらっしゃいます。
そのようなご経験から、今回の講義では、まず国際紛争がなくならない要因をお話しくださった後、「人間の安全保障」という観点から、個々人ができることをお話しくださいます。
一方、ヨーロッパのシンクタンクが出している「人助け指数」調査によれば、日本は世界でワースト2位ともいわれるとのこと。西洋社会に奉仕やチャリティの文化が根付いているのと比べ、日本はその面で大きく後れているのです。
この世界的な危機を、個々人はただ傍観するしかないのか。できることは何なのか。そのことについて、しっかりと考えることができる講義です。
◆小原雅博:紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(全6話)
(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5470&referer=push_mm_rcm1
小原先生はまず、現在の国際紛争の背景をお話しくださいます。冷戦が終了した後、アメリカ一極主義ともいわれる体制になりますが、その強大な力に対して、世界各地でテロで応えていくような情勢になる。その象徴が9.11事件でした。
さらに、世界の一極として国際紛争への介入をくり返すなかでアメリカが疲弊していく一方、中国やロシアとアメリカとの対立が強まり、パワーバランスの崩れから、新たな緊張関係も生まれてきています。
なぜ、「紛争が止まらない」のか。小原先生は「国際社会」と「人間の本性」という2つのキーワードを挙げます。国内であれば、国家が警察や軍隊などによって「正当に暴力を独占」して国内で暴力事件が起きないよう抑止し、起きた場合には鎮圧します。それによって平和が保たれるわけですが、国際社会にはそのようなものはありません。つまり、一種の無秩序状態でもあるわけです。
このような状況で、「暴力はいけません!」と述べたところで、暴力が止まることはありません。では、どうするか。
ここで小原先生は「集団安全保障」や「集団的自衛権」などについてご説明くださったうえで(第2話)、「人間の安全保障」という考え方を提示します(第3話)。
これをひと言でいえば、「国境を超えて個人の自立や尊厳を大事にしていくこと」。紛争、地球温暖化、武器や薬物つの拡散、感染症の拡大などといった脅威に対し、国家、国際機関、NGO、市民社会などを巻き込む「参加型アプローチ」で対処し、危機や恐怖を緩和させていこうというのです。
そのために、どのような活動がなされるべきなのか。そのことについて、小原先生は多くの事例をご紹介くださいますが、それはぜひ講義本編をご覧ください。
しかし一方、何らかのNGO活動に協力しようと思っても、そのNGOの政治や思想の背景は大丈夫かと心配になるケースもあります。また、日本のNGO自体も弱体でした。そこで「ジャパン・プラットフォーム」という組織もつくられました。さらに「海外協力隊」などに参加する手段もあります。また「国際機関」で活動する道もあります。
小原先生は、そのような参加手段を詳しくご紹介くださったうえで、その課題についてもお話しくださいます。
そのような話のなかから、「何ができるのか」「何をすべきなのか」が明確に浮かび上がってきます。ただ、傍観するのではなく、何らかの貢献をしていくための端緒がわかる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆小原雅博:紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5470&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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