編集長が語る!講義の見どころ
トランプ2.0~「アメリカ第一主義」の逆襲とは?/東秀敏先生【テンミニッツTV】

2025/04/29

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

現在、テンミニッツTVでは、「第2次トランプ政権」に関連する緊急講義を集中的に数多く配信しております。「トランプ関税」をはじめ、これまでの常識やあり方を大きく覆すような政策を次々と打ち出しているだけに、その変化の本質がどこにあるかをクロスチェックする必要があるとの考えからです。

本日紹介するのは、東秀敏先生(米国大統領制兼議会制研究所=CSPC上級フェロー)の講義です。

東先生は、アメリカの政治史に通暁され、さらに「MAGA(Make America Great Again)派」といわれるトランプ支持派にも深い人脈を築かれ、その論理にも間近に接しておられます。

先般、《トランプ政権の対ロシア戦略の裏側(全2話)》というテーマでも講義いただきましたが、今回は、「アメリカ第一主義(アメリカファースト)とは何か」を深くえぐり出していただきました。

◆東秀敏:トランプ2.0~アメリカ第一主義の逆襲(全3話)
(1)アメリカ第一主義の歴史
100年ぶりのアメリカ第一主義とトランプ新政権3つの焦点
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5774&referer=push_mm_rcm1

東先生が強調するのは、まさに講義タイトルのように、いま眼前で起きているのは「100年ぶりの米国第一主義の逆襲」だということです。

東先生はこれまでの講義でも、アメリカの「制度サイクル」と「社会経済サイクル」についてご指摘くださっています。

制度サイクルは大きく80年周期で動いています。建国前後から南北戦争まで、フロンティア開拓とプランテーション(大規模農園)で社会を拓いていった「フロンティア時代サイクル(1787年~1865年」。南北戦争以後、工業化を推し進めていく「工業化時代サイクル(1865年~1945年」。第二次世界大戦後、エリート専門家集団が軍産複合体ともいわれる国家づくりを進めていった「テクノクラシー時代サイクル(1945年~2025年)」です。

社会経済サイクルは、50年周期で動いています。建国以後、13州と欧州との貿易で成り立っていた「ワシントン・サイクル(1783年~1828年)」。西部開拓を進めていく「ジャクソン・サイクル(1828年~1876年)」。全土の工業化を進める「ヘイズ・サイクル(1876年~1929年)」。準社会主義的なニューディールに象徴される「ルーズベルト・サイクル(1932年~1980年)」。規制緩和とグローバリズムで経済を拡大した「レーガン・サイクル(1980年~2030年)」です。

2025年は、この2つの波(「テクノクラシー時代サイクル」と「レーガン・サイクル」)がほぼ同時に終焉を迎える時期になると東先生はおっしゃいます。では、この後、どうなるのか。

ここで東先生がおっしゃるのが、次の視点です。

●制度サイクル⇒テクノクラシーから「国家リバタリアニズム」になる。

●社会経済サイクル⇒グローバリズムから「アウタルキー(自立型経済)」になる。

●そしてそのうえで、対外関係サイクルは「介入主義」から「撤退主義」になっていく。

それぞれ、どういうことか。

「リバタリアニズム」については、テンミニッツTVでは柿埜真吾先生に《日本人が知らない自由主義の歴史~後編》講義の第5話で詳しくご解説いただいていますが、個人の自由を最重要視し、政府からいかに個人の自由を守るかを主眼とする考え方です。
※参考サイト:
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5000&referer=push_mm_rcm3

つまり、エリート主義的で統制的なテクノクラシーへの強烈な反発と否定です。

一方、「アウタルキー」はアメリカ国内で一大経済圏を形成しようという「脱グローバリズム」です。それゆえ、必然的に対外政策は「介入」ではなく「撤退」になっていきます。

そのような方向性の先にトランプ派がめざしているのが「アメリカの黄金時代(ゴールデンエイジ)」。それこそ、「アメリカ第1主義」が思い描くイメージとなります。

歴史をさかのぼれば、これまでアメリカには2度の黄金時代があったといいます。「第1次黄金時代=1870年代~80年代の南北戦争後に全土の工業化を進めた時代」、さらに「第2次黄金時代=第二次世界大戦後の1950年代に国内インフラを徹底的に開発し、科学技術を大きく進め宇宙開発を進めたアイゼンハワー大統領の時代」です。

とりわけトランプには、後者の第2次黄金時代の記憶が色濃くある。それもあって、地球からは撤退していくけれども、アメリカ国内のハートランド(中西部)のインフラ再開発を進め、AIやブロックチェーンなどの再先端技術開発を進め、さらに宇宙のフロンティアをめざして宇宙の覇権を握ることをめざしていくというのですが……。

それぞれの詳細は、ぜひ講義本編をご覧ください。いまのアメリカを動かす大きな底流について、深く思いを巡らせることができる講義です。


(※アドレス再掲)
◆東秀敏:トランプ2.0~アメリカ第一主義の逆襲(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5774&referer=push_mm_rcm2


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