編集長が語る!講義の見どころ
日本のリーダー選択を「独裁と民主政」で考える/本村凌二先生【テンミニッツ・アカデミー】
2026/01/23
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
高市早苗総理が、1月23日に衆議院を解散し、総選挙を実施することを表明しました(1月27日公示、2月8日投開票)。一方、立憲民主党と公明党の衆議院議員がそれぞれ離党のうえ「中道改革連合」を結党しました。
高市総理は「自民党が連立や政策を一新したことが国民に信任いただけるのかを問いたい。自分が総理で良いのか国民に決めていただく」と強い覚悟を示しました。
一方の野党第一党・立憲民主党も、これまで強くこだわってきた「安保法制の違憲部分廃止」や「原発ゼロ」の主張を全面的に放棄してまで新党結党に踏み切り、選挙に臨む構えです。
まさに「政権選択選挙」ですが、ここで重要なのは「時代を読む」ことでしょう。
いま世界はどのような方向に向かっているのか。そしてこの激動期に、日本は誰をリーダーとして、いかに立ち向かえばいいのか。
本日はそのことを考えるうえで、大いにヒントをもらえる本村凌二先生(東京大学名誉教授)の《独裁の世界史~未来への提言編》を紹介します。
この講義で本村先生がお話しくださるのは、「独裁、共和政、民主政」と「政体循環」という切り口からの現代社会分析です。
特に戦後の日本人は、「社会は『民主主義の完成』に向かって進歩していく」というイメージを抱きがちだったかもしれません。
しかし考えてみれば、歴史を振り返れば幾度も「民主政から独裁へ」という流れを繰り返しています。古代ギリシアも、古代ローマも、フランス革命も、19世紀以降の民主政治からファシズムや共産主義の流れなども、いずれもその象徴的な事例です。
このような「政体循環」論に、さらに「独裁、共和政、民主政」のバランスという視点を加えると、社会のあり方がよりクリアに見えてくるようになるのです。
現代社会の政治・社会の大激動の本質をより明確に理解するためには、むしろ単純な「進歩史観」に立脚するよりも、「循環論」的な見方をふまえたほうが良いのかもしれません。そうしたほうが、解決していくべき課題が、より明らかになるはずです。
いま日本のリーダーは誰がふさわしいのかをじっくり考える。そのためにも、ぜひ歴史から大局観を学んでみてはいかがでしょうか?
◆本村凌二先生:独裁の世界史~未来への提言編(全10話)
(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3725&referer=push_mm_rcm1
上述したように、本村先生は「独裁、共和政、民主政の政体循環」の視点から説いていきます。
このうち、「独裁」と「民主政」は日本人にもイメージが掴みやすいものですが、問題は「共和政」でしょう。日本語の「共和政」は多様な意味を帯びており(たとえば君主政でない政治体制を「共和政」と称することもあります)、どのようなことを指すか、イメージが分散しがちです。
本講義では、その点についても詳述いただいています。本村先生が立脚するのは、古代の共和政ローマのイメージです。ローマの元老院のイメージのように、独裁ではない「(貴族政的な)集団的な指導体制」で国家を運営していこうという考え方です。
では、なぜ「独裁、共和政、民主政」という枠組みで検討するのか。それは、人類が世界史で「民主政の失敗」と「独裁の失敗」を繰り返してきたからです。
本村先生の「独裁の世界史シリーズ」の「古代ギリシア編」で詳述されていますが、かの有名な古代ギリシアの民主政は、独裁政(僭主政)の苛政への反発から生まれたものでした。
しかし、その民主政の全盛期は、優秀な指導者ペリクレスが率いた前後の50年ほどしか続きませんでした。民主政は堕落し、再びアレキサンダーによる独裁政が出ることになります。
それに対して、古代共和政ローマの場合、独裁的要素、共和政的要素、民主政的な要素が実にバランス良く組み込まれていました。独裁的要素を担っていたのは、執政官(コンスル)、あるいは国の危機のときに任命される独裁官(ディクタトル)です。共和制的要素を担うのは元老院。さらに民主政的な要素は民会が担っていました。
ローマの歴史家・ボリュビオスが「この3つの要素のバランスが非常によく取れていたのが、ローマ国家が大国になっていった大きな要因だ」と主張していたことを、本村先生は紹介してくださいます。
この3つのバランスは、なにも古代ギリシアや古代ローマだけの話ではありません。トランプ大統領やプーチン大統領、さらに習近平主席の行く末を考えるうえでも大いに参考になります。
ところが、現代のように危機が高まる激動期には「独裁政のほうが機敏に対応できて優れている」という声が挙がります。コロナ禍の折などにも、中国などは「AIも駆使して厳重な監視・統制体制を敷いている自分たちの政体のほうが優秀だ」とプロパガンダを繰り返しました。
しかし、独裁の下では自由が圧迫されます。その失敗や弊害は、とても耐えられるものではありません。
そこで参考になるのも、古代ローマです。古代ローマの執政官や独裁官には明確な任期がありました。しかも任期中に独裁的な権力を用いて私腹を肥やしたり、自分のいいようにやったりした人物は、任期終了後に告発することができた。このような形で、権力の腐敗や濫用を避けていたのです。
かくして、人類が長い歴史のなかで積み重ねてきた「独裁、民主政、共和政」の問題は、まさに現代人にリアルに響くものとなったと、本村先生はおっしゃるのです。
さらに本村先生は、
●代議制と「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」
●日本の歴史を振り返って「共和政」的なものはありうるのか?
●欧米における「反独裁政」の意識はいかに培われたのか?
●共和政を支えた「父祖の遺風」を重んじる価値観をどう考えるべきか?
●本当に派閥政治は悪かったのか?
●ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の予言通り、これから時代はデジタル独裁へ進むのか?
などのテーマを次々に論じていきます。
さて、この講義を見たあとで、現代世界の混迷に対峙する日本のリーダーは誰が良いのかについて、はたしてどのようなイメージが浮かんでくるでしょうか。
なお、本村先生の《独裁の世界史》シリーズは、以下の講義シリーズで構成されています。こちらも具体的な歴史から同じ問題を論じていきますので、グッと理解が深まります。
ぜひ併せて、気になるものもご覧ください(URLは各シリーズの第1話です)。
《独裁の世界史》
◆ギリシア編 (全11話)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3235&referer=push_mm_rcm2
◆ローマ編 (全4話)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3363&referer=push_mm_rcm3
◆ヴェネツィア編 (全4話)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3405&referer=push_mm_rcm4
◆フランス革命編 (全7話)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3593&referer=push_mm_rcm5
◆ビスマルク編 (全3話)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3858&referer=push_mm_rcm7
◆ソ連編 (全4話)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3878&referer=push_mm_rcm8
◆ファシズム編(全7話)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3915&referer=push_mm_rcm9
(※アドレス再掲)
◆本村凌二先生:独裁の世界史~未来への提言編(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3725&referer=push_mm_rcm10
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