編集長が語る!講義の見どころ
一流アスリートだからわかる「自分の力を高め発揮する方法」(テンミニッツTVメルマガ)

2021/03/16

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
自らの学びを深めるとき、あるいは、仕事でのプレゼンテーションなどの折、「いかにすれば、自分の全力を出せるか」と考える方も多いのではないでしょうか。その点で参考になるのが、アスリートの方々の考え方です。世界最高峰の大会で、メダルを懸けて争う一流のアスリートは、「自分のベストパフォーマンス」を発揮するために、どんな発想をし、いかなる準備をしているのか。

そのことを為末大さんにうかがった、とても興味深い講義を本日は紹介いたします。為末さんは、皆さまご存じのとおり、陸上の400メートルハードルで、2001年世界陸上エドモントン大会と2005年世界陸上ヘルシンキ大会で銅メダルを獲得されました。これは、スプリント種目の世界大会で、日本人初のメダルでした。さらにオリンピックには2000年シドニー、2004年アテネ、2008年北京の3大会連続で出場されています。

為末さんの本講義を視聴すると、「一流のアスリートは、ここまでのことを考えているのか」と、圧倒されます。スプリント種目での初のメダリストである為末さんは、圧倒的に強い海外の選手たちと次々と戦ってきたわけで、その経験に裏打ちされた深い洞察は、胸に響くものばかり。

きっと、今後のスポーツ観戦でも、見る眼がガラリと変わることでしょう。

「『ここぞ』という場で、100%の力を出すのは難しい……」。ほとんどの方が、そう思っていらっしゃることと思います。ぜひ、為末さんの本講義をお聞きください。思ってもみなかった数々のヒントを得られること、間違いありません。

◆為末大:本番に向けた「心と身体の整え方」(全8話)
(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3846&referer=push_mm_rcm1

質問に対して、的確に次々とお答えになる内容は、まさに圧巻。日頃から深く考えていないと、色々な角度からの質問に対して、ここまで具体的に答えられないはずです。

たとえば、第1話で出てくる為末さんのお話しを1つだけご紹介しましょう。

《(本番でベストな力を発揮するために)事前準備である身体の反復に加えて、頭の中に具体的な細かいディテールをイメージしていきます。例えば、観客がどこにいて、自分の母親はどこで見ているか。風がどう吹いているか。ゴールした瞬間にインタビュアーはどこにいるか。何秒後にインタビュアーはこちらに来るか。マイクは何色か。どのタイミングで自分は泣くのか。そういうのを全部やっていきます。身体の動きのシミュレーションはすぐに済むのですが、心の中の、情動の部分、感情がどう動くかということも一緒にイメージをしていきます》

まるで、競技場に立つアスリートの姿まで目に浮かんでくるようなお話です。このような深い洞察に基づいた具体的な方法論や考え方が、以下のような数多くのテーマについて展開されていきます。

●本番で力を発揮するために
●試合で崩れるパターン
●集中のスイッチを入れる方法は?
●火事場の馬鹿力はあるのか?
●記録では絶対に負ける格上の相手と戦うときの心の整え方
●「奇声」を上げる観客などに意識が取られた場合は?
●そもそも「ピークを合わせる」とはどういうこと?
●本番のプレッシャーにいかに打ち克つか
●良い自信、悪い自信
●「場数」によって勝ちやすさはどう変わるか?
●どうすれば「大舞台」を楽しめるのか
●「周囲からの期待」との戦い方
●「限界」と「可能性」をいかに見極めるか
●岩盤にぶつかったときの考え方
●プロと素人の「見る目」はどこが違うか?
●「スランプ」の抜け出し方
●「違う刺激を入れてみる」と「迷走」の違い
●コーチと選手の望ましい関係性は?
●「自分の強み」で勝てなくなったときの発想法
●失敗を生かせる人と、潰れてしまう人の違い

この講義を視聴したかしなかったかで、もしかしたら人生が変わるかもしれません。世界の第一線で強豪たちと真剣勝負を重ねてきた方の考え方を学ぶのは、なんと贅沢(ぜいたく)なことだろうと、しみじみ実感できる講義です。

(※アドレス再掲)
◆為末大:本番に向けた「心と身体の整え方」(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3846&referer=push_mm_rcm2


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☆今週のひと言メッセージ
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「われわれは生きることで死ぬことを乱され、死ぬことで生きることを乱されている」

https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3744&referer=push_mm_hitokoto

歴史はファクトフルであると同時にパストフルである
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 教授)

当時、コロナどころではない、ペストの時代のヨーロッパを生きたモンテーニュは、フランスのモンテーニュ村にいて、いよいよ自分の村にもペストが来たとなったとき、ヨーロッパ中でバタバタと死んでいるわけですから、初めはちょっと動揺する。ただ、彼が村を散歩していたら、全くいつもと変わらないように農夫が農作業していた。それをぼんやり見ながら彼が考えたのは、「われわれは生きることで死ぬことを乱され、死ぬことで生きることを乱されている」ということだったそうです。

つまり、いつも心は乱されているので、落ち着いて考えなくてはいけないと思ったと書き残しているわけです。

だから、人間誰しも、変わらない軸となるものを確立する必要がある。教養といってしまえばそれまでですけど、歴史的な事実を知るのは非常に有効だと思いますね。


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今週の人気講義
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「戦狼外交」――中国が香港・台湾に強硬な姿勢を取る理由
島田晴雄(東京都公立大学法人理事長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3896&referer=push_mm_rank

怒りを抑えるために効果があるという「再評価」とは
川合伸幸(名古屋大学大学院情報学研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3904&referer=push_mm_rank

70歳を過ぎた渋沢栄一が中心的担い手となった「国民外交」
渋沢雅英(渋沢栄一曾孫/公益財団法人渋沢栄一記念財団相談役)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3876&referer=push_mm_rank

東日本大震災の8年前から釜石で防災教育を行ってきた理由
片田敏孝(東京大学大学院情報学環 特任教授/群馬大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2682&referer=push_mm_rank

V字回復のためには社員に「個人の痛み」を迫る覚悟を持て
三枝匡(株式会社ミスミグループ本社シニアチェアマン、第2期創業者)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3882&referer=push_mm_rank


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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。

ところで皆さん、テンミニッツTVをどれくらいのペースでご覧になっていますでしょうか。
毎日? 二日おき? 1週間に1回? それとも…いずれにしても、人それぞれの視聴タイミングでご覧になっていると思います。
テンミニッツTVは基本的に1話10分ですので、1日10分程度の時間があれば視聴できます。言われてみれば、それくらいならそんなに難しくなく、いつでも空けられると感じるのではないでしょうか。

では、それを毎日続けるとなると、どうでしょう。

少しハードルが上がるかもしれませんね。でも、実はそこが教養を身に付けるためのポイントの一つだと個人的に感じています。

つまり「習慣化」です。

例えば、読書の場合だと、1日1ページでもいいので読む習慣が重要だと聞きますし、仕事でもなんでもそうですが、続けてやったほうがいいことをためておく、つまり先延ばしすると、いろいろとリスクが高まっていき、しかもストレスも高まるという話を聞いたことがあります。

振り返って考えてみても、学生の頃、テスト(受験)勉強もそうでしたし、日記もですし、ダイエットも運動も同じでした。
毎日少しずつでも続けていたら、いつの間にか続いていましたし、それが習慣になると成果が目に見えて分かってきます(実際にテストの点数も上がりましたし)。

逆に三日坊主とか、あるいはやらずに先延ばししていたら、結局ギリギリになってあたふたして焦ってしまい失敗したりと、いいことはほとんどなかったなと感じています。
つまり、だからこそ教養は習慣化だなと強く感じている今日この頃です。

ちなみに、三日坊主については、島宗理先生(法政大学文学部心理学科教授)が興味深いお話をされているので、興味がある方はご視聴ください。

◆島宗理:人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(4)三日坊主
三日坊主で達成できないという問題には二つ要因がある
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2897&referer=push_mm_edt