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民主主義は自由を守ることも抑圧することもある

横の民主主義と縦の民主主義

山田宏
参議院議員
情報・テキスト
今の日本に欠けているのは、何よりも「縦の民主主義」であると山田宏氏は喝破する。縦の民主主義とは何なのか。なぜ必要なのか。どのように行われるべきなのか。民主主義と自由の関係から、縦の民主主義の重要性が示される。
時間:12:36
収録日:2014/04/04
追加日:2014/07/10
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≪全文≫

●民主主義は自由を守ることも抑圧することもある


 山田宏です。今日は、民主主義の価値についてお話ししたいと思います。前回(参照:増税はなぜ問題なのか――貨幣と自由の関係論)は、自由が人類の歴史と共に広がってきたこと、人類の文明の発達が自由と密接に関係していること、そして自由の温床は経済的自由、特に私有財産が増える自由だというお話をしました。民主主義という制度も、実は自由を守るために生まれてきたのです。かつては王が重税などでさまざまな人の自由を奪っていました。それに対抗するために「マグナ・カルタ(イングランド国王の権限を制限した憲章)」が生まれ、民主主義がスタートしました。民主主義は本来、人々を重税から守るための政治制度、自由を守る手段なのです。

 しかし、民主主義が常に自由を守ってきたかといえば、そうではありません。あのアドルフ・ヒトラーも、民主主義によって選ばれています。最後は、議会がヒトラーに全権を委任することを決めました。民主主義は、自由を守る手段にも、自由を抑圧する手段にもなるのです。両面を持っているのです。ナチズムのように抑圧の手段として民主主義を使った場合には、一気に自由が失われてしまい、多様性や自由な討論といった民主主義の基本が民主主義によって崩壊していきます。民主主義は自由を守ろうとする限りでは有効ですが、時に自由を抑圧し、多様性を消し、独裁を生むのです。このことにはよく注意しなければなりません。

●過去や未来に耳を澄ます「縦の民主主義」も必要だ


 つまり、人々が一人1票を投票して、皆で政治家を決める体制だけでは危ういということです。私はこれを「横の民主主義」と呼んでいます。横の民主主義の危険性を排除するために、私は「縦の民主主義」も必要だと考えています。

 縦の民主主義とは、今までこの国を築いてきた私たちの祖先、あるいはこれから生まれてくる私たちの子孫の意見を心の耳でよく聞き、彼らだったらどのように考えるのかを皆で意識することです。横の民主主義だけでは不十分です。縦の民主主義も踏まえて、初めて過去と未来の結節点にいる自分の生き方がはっきりしてくるのです。

 経営においては、今の従業員の声だけでなく、その会社やお店の過去を築いてきた人々、自分たちの跡を継いで会社やお店を担っていく人々、会社やお店を大事にして下さるお得意様や消費者の人々ならどのように考えるだろうという気持ちを持つことが縦の民主主義です。縦の民主主義は、自分の心の中にあるのです。

●過去への感謝が、将来への責任感を生む


 このような縦の民主主義を考える癖をつけることがとても大事ですが、それには良い方法があります。過去の人たちに感謝することです。家なら先祖に感謝すること、会社ならこれまで会社をつくってきてくれた経営者や社員の人たち、その会社を育んでくれた取引先の方々、また商品を買って下さった方々に皆で手を合わせて「ありがとうございました」と言うことが大事なのです。国の経営も同じです。まずは、国のために命を懸けて戦ってくれた人々、日本の国を築いてくれた人々の歴史に手を合わせて感謝をするのです。

 家でも会社でもお店でも、そして国でも、過去の人々に心から感謝すれば、彼らがいたから自分がいるのだ、自分も将来の人たちに役立つことをしよう、自分も将来の人たちに感謝されるようにならなくてはならないという気持ちが自然に生まれてきます。過去への感謝が、将来への責任感につながるのです。

 将来への責任感が生まれたら、現在がいかに苦しい状況であっても、将来の人たちのために乗り越えようという元気が生まれてきます。あれやこれを誰かがしてくれないからうまくいかない、この人やあの人のせいでうまくいかないと思っている限りは駄目なのです。過去への感謝がスタートです。過去への感謝をしたら、将来への責任感が生まれて、現在にガッツが生まれるのです。このような心のあり方に多くの人が気付く必要があると思います。

●「ありがとう」から大人の道がスタートする


 ここまでお話ししてきたことを、私は杉並区長の時代にある場所で感じてきました。成人式の会場です。私は杉並区長として11回成人式に出席しましたが、必ず同じ話をしました。毎年お客様が違うから、それでよいのです。

 成人式では、「大人になるということは、過去に感謝できるようになることだ」という話をしました。子どもの時は、誰かにやってもらって当たり前、誰かに保護されて当たり前です。その当たり前が、実は当たり前ではないと感じ、過去に感謝することができて初めて大人といえるのです。最初に誰に感謝をしましょうか。当然、今の自分の命があるのは、両親がいたからでしょう。ですから、帰ったらご両親に「ありがとう」と言ってください。そ...
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