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親切が第一! 初代社長の手紙に残る経営理念の原形

TOTOの北九州発グローバル戦略(4)TOTOを鍛えたカリフォルニア州の規制とコアバリュー

成清雄一
西日本工業大学常務理事・副学長/元TOTO株式会社取締役常務執行役員
概要・テキスト
TOTOは、あることをきっかけにして、アメリカで有名になったという。これがターニングポイントとなって、今や海外で成功を収めている。それは何か。なぜだったのか。TOTO株式会社のコアバリューや先人の言葉と併せて、同社取締役常務執行役員・成清雄一氏が語る。(全5話中第4話目、インタビュアー:大上二三雄氏/エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役)
時間:10:58
収録日:2014/09/18
追加日:2015/01/22
≪全文≫

●6リットル規制により、アメリカで注目された


大上 もう一つ、TOTOはコアバリューが強い会社だという印象があります。そこで今度は、TOTOのコアバリューのお話を聞かせていただけませんか。

成清 われわれが海外で成功するに至ったターニングポイントは、アメリカ、特にカリフォルニア州など西海岸の水不足でした。アメリカは1994年に、トイレを1回洗浄する際の水量を6リットル以下にしなければならないと法で定めました。そこでわれわれは6リットルできちんと流れるトイレの開発を目指しました。かなり難しいテーマだったのですが、日本の開発陣が頑張って何とか発売したのです。

 しかし、6リットル規制はしたけれども、アメリカで当時販売されていたトイレが6リットルでは十分流れないというクレームが多く、アメリカの住宅産業協会がトイレを集めて、本当に6リットルで全部流せるかどうかをチェックしたら、たまたまわれわれの商品が流れの良い製品トップ3の1、2、3位に並んだのです。

 2000年頃に、そのことが全米でニュース番組にもなりました。「このトイレは流れるけれど、このトイレは流れない」などとトイレをテストするのは、ニュースとしても面白かったのでしょう。非常に大きなインパクトがありました。

 私も海外で営業をしていましたが、海外ではバスルーム商品のデザインを重視して、機能をあまり見ない傾向があります。日本の場合、家の中で水を使う所は、トイレと洗面所とキッチンとお風呂の4カ所です。これを私たちは「4部位」と呼びます。ところが、日本以外の国は、基本的にキッチン以外はバスルームにオールインワンです。業界では、「キッチン・アンド・バス」、略して「KB」と言います。

 欧米のバスルームは日本のトイレに比べて広く、視線が行きますから、トイレもデザインはかっこいい方が良いと考える人が多いのです。一つのベットルームに、必ず小さなバスルームが付いているのが当たり前ですから、友達が遊びに来ても、トイレを借りるとバスルームそのものを見るという構造になっています。そうすると、デザイン性が大事になります。

 しかし、そのニュース番組が流れたおかげで、今までデザインにフォーカスしていたアメリカのお客さまたちが、「トイレは機能も大事なのだ」と思うようになりました。特に、環境問題に興味のある高感度層が皆、...
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