編集長が語る!講義の見どころ
習近平政治と中国の本質(特集&小原雅博先生)【テンミニッツTV】
2021/11/19
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
習近平、そして中国共産党についての報道が、途絶えることがありません。
たとえば、11月11日に採択された、中華人民共和国建国以来3回目となる「歴史決議」。これについては、《建国の父である毛沢東、「改革・開放」政策で経済成長の基礎を築いたトウ小平に並ぶ権威を手にしようとしている》(『日本経済新聞』11月12日社説)とも報じられています。
さらに、《双方の隔たりの大きさが露呈した》(『朝日新聞』11月17日社説)とされるバイデン米大統領とのオンライン首脳会談。ささやかれる国内統制の強化。前副首相との不倫を11月初旬に告白して以来、消息不明になったといわれるテニス選手。そしてウイグルなどでの人権問題……。
■本日開始の特集:習近平政治と中国の本質
はたして、習近平とはいかなる人物で、何に直面し、何をめざしているのか。中国はどこに行こうとしているのか。本日はそのことを学べる特集と、そのなかから小原雅博先生(東京大学名誉教授)の講座を紹介します。
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=142&referer=push_mm_feat
小原雅博:10分でわかる「習近平政権」
中島隆博:習近平政権が語る世界構想は、西欧社会を超えられるか
中西輝政:日本人に理解しにくいのは米中の裏にある「机の下の関係」
曽根泰教/小原雅博:習近平的な価値観からいえば、中国は「民主」である
■講座のみどころ:習近平―その政治の「核心」とは何か?(小原雅博先生)
本日は、特集より小原雅博先生の講座をピックアップいたします。
この講座は、最初に「10分でわかる」概略講義、続いて「深掘り講義」が語られる構成になっています。最初の概略講義で、まずイメージをつかむ手もありますし、逆に「深掘り講義」で知りたいテーマを学んでみても良いかもしれません。
◆小原雅博:習近平―その政治の「核心」とは何か?(全6話)
(1)習近平政権の特徴
10分でわかる「習近平政権」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4155&referer=push_mm_rcm1
まず、小原先生が強調するのは、習近平の政治の特徴は「領導(リンドウ)=強制力を伴った指導」であることです。つまり、党が国家を裏から統治し、すべての分野において決定権を持って政治を進めていく「党国体制」です。
中国共産党には9500万人の党員がいますが、いまや習近平が「党の核心」となり、権力が習近平に集中しています。よく知られているように、習近平に権力が集中する大きな契機は「反腐敗闘争」でした。
中国の腐敗は、想像を絶するレベルに達しており、習近平の前任の最高指導者である胡錦濤(こきんとう)が「この腐敗を放っておけば国が滅ぶ」と語ったほど共産党内に広がっていました。それを習近平が潰していったわけですが、同時にそれは権力闘争の側面もありました。その内実については、ぜひ講座の第2話から第3話をご覧ください。
また、第4話では、なぜ中国共産党の「反腐敗」が権力闘争のような強権的アプローチになっていくのかについて、民主主義諸国の権力分立との比較で語られます。つまり、権力分立をとっている国と比べ、いかに腐敗しやすく正されにくい体質に陥りがちかということです。
もちろん、権力が集中することにはメリットとデメリットがあります。メリットは、新型コロナのような疫病の折に、いざ動き出せば、極めてスピーディーに強権的な封じ込めができることがあります。中国は、武漢での感染を封じ込めたとする実績を強調し、「自分たちの体制は、世界のなかでも優れている」と呼号しました(最近では、東北地方などで再びコロナ感染が拡大しているとも報道されていますが)。
しかし権力の集中は、トップが判断を間違えたとき、大きな悲劇を招きかねません。文化大革命(一説には犠牲者は数千万人)は、その象徴的な例でしょう。
とくに中国共産党では、党内で出世するためには中央の覚えがめでたくならなければなりませんから、皆が上(中央)だけを見て仕事をしがちです。
その出世のあり方がどのようになっているのか、弊害がどのように現われるのか。中央が「裸の王様」になってしまう危険はないのか。そもそも、中国でいう「民主」とはどのような概念なのか。それらの点は、ぜひ本講座の第3話から第5話をご覧ください。
そのような権力集中のなかで、強調されているのが「習近平思想」です。では、「習近平思想」とはいかなるものなのか。
小原先生は、「中身を見ていくと、本当に思想なのかという疑問があります」と問題提起しつつ、その中身を解説くださいます(第4話)。小原先生がそうおっしゃるように、なかなか内容が把握しづらいものですから、この講座でその特徴を学ぶことは重要な機会となるはずです。
習近平は、「強国強軍」をめざし、「中華民族の偉大な復興」を唱えて愛国主義をかきたて、2049年の中華人民共和国建国100周年には「総合的な国力と国際的な影響力が先頭を走る国家」となるのだと訴えています。その主張から、米中対立も激しさを増すこととなりました。
それがどのようなもので、アメリカと中国の対立の「抜きがたいトゲ」がどこにあるのかについても、小原先生はお話しくださいます(第6話)。ここは、今後を展望するときに、とても大事な論点でしょう。
物事を判断するときには、個々の現象を見るのではなく、その本質を洞察しなければならない。それはすべてのことに共通することでしょう。小原先生の本講座は、「習近平政治」の本質を見極めるうえで、大いに参考になるものと存じます。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:習近平政治と中国の本質
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=142&referer=push_mm_feat
◆小原雅博:習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4155&referer=push_mm_rcm2
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「不便益デザイン」についての問題です。ではレッツビギン。
「素数ものさし」は、京都大学の生協で2013年から売り出してもらっています。単なるものさしがこれまでに( )本も売れ、今では定番のお土産になっています。
さて( )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3972&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて皆さま、サントリー学芸賞をご存じでしょうか。
https://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_ssah/
「広く社会と文化を考える、独創的で優れた研究・評論を行う個人を顕彰」ということで、創設が1979年ですから40年以上続いている伝統ある賞です。
今月(11月)11日に第43回サントリー学芸賞が発表になったのですが、なんとテンミニッツTV講師でもある川瀬慈先生(国立民族学博物館人類基礎理論研究部准教授/総合研究大学院大学准教授/映像人類学者)の著書『エチオピア高原の吟遊詩人――うたに生きる者たち』が「芸術・文学部門」での受賞となりました。
『エチオピア高原の吟遊詩人――うたに生きる者たち』(川瀬慈著、音楽之友社)
https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=135710
大変名誉のある賞ですので、テンミニッツTVの講師が受賞されるのはスタッフとしてとても嬉しい限りです。
そこで最後に、川瀬先生のシリーズ講義を紹介して終わりたいと思います。
エチオピアに関してご興味があるという方はぜひご視聴ください。
◆川瀬慈:映像で考えるエチオピア(全5話)
(1)映像人類学という手法
エチオピアの子供たちとの対話映像から見える課題
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2423&referer=push_mm_edt
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テンミニッツ・アカデミー編集部