編集長が語る!講義の見どころ
「習1強」体制の本質とは?/特集【テンミニッツTV】
2022/10/28
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です
10月16日から中国共産党大会が開かれ、10月23日に新しい中国の最高指導部が発表されました。この経緯を受けて、各メディアは「習1強体制」という言葉で、一斉に報じました。
テンミニッツTVでは、9月6日(火)に、小原雅博先生による《2024年危機…米中関係の行方:米中間選挙と中国共産党大会も念頭に置いて》というウェビナーを開催しておりました。ここで小原先生は次のようにおっしゃっていました。
「李克強さんが残るのか、残らないのか。新しく政治局常務委員会に入ってくる人たちがどういう世代で、習近平さんとの関係がどうなのかが、1つの見どころになると思います」
中国共産党の中枢は、政治局委員(これまでは25人、今回から24人)の上に、政治局常務委員会のメンバー7人が位置づけられるピラミッド構造です。
小原先生が注目されていたのは、当時の政治局員のうち「第6世代」とされる1960年前後生まれの4人=丁薛祥、李強、陳敏爾、胡春華の各氏がどうなるか、でした。
ちなみに、前者3人が「習近平派」とされる人々、胡春華副首相が李克強首相に近い「共産主義青年団派」です。
今回、この4人のなかで昇格したのは李強氏、丁薛祥氏の2人。一方、胡春華副首相は政治局委員にも再選されず、降格となったのは、皆さまご存じのとおりです。
また、李克強首相が最高指導部から引退となったこと、また前国家主席である胡錦濤氏(共産主義青年団派)が不自然に途中退席したことなども、多くの論議を呼んでいます。
■本日開始の特集:「習1強」体制の本質
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=155&referer=push_mm_feat
かくして発足した「習1強」体制。習近平国家主席とはいかなる人物で、「習近平思想」とはどのようなものなのでしょうか? 現在、中国共産党が直面している課題や状況とは? また、そもそも歴史的に見て、全体主義、独裁、民主主義をどのように考えるべきなのか? 多面的に「習1強」体制の本質を考えます。
・橋爪大三郎:国家の上に存在する中国共産党はどのような組織なのか
・小原雅博:10分でわかる「習近平政権」
・小原雅博:習近平思想の内容とは…本当に「思想」と呼べるものなのか
・白石隆:中国が進める「帝国的ルールメイキング」とは何か
・本村凌二:独裁・共和政・民主政――繰り返されてきた世界の歴史
・川出良枝:ルソーの「一般意志」「特殊意志」「全体意志」の違いとは
・岡崎久彦:21世紀の毛沢東と周恩来を目指しているのか?
・中西輝政:中国が各国の政治を内側から侵食し始めている
■講座のみどころ:特集内の各講座を解説
本日は、この特集の各講座を紹介いたしましょう。
◆橋爪大三郎:中国共産党と人権問題(全6話)
(2)中国共産党は超法規的存在?
国家の上に存在する中国共産党はどのような組織なのか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4297&referer=push_mm_rcm1
よく知られているように、「中国共産党は、国家の上にあって、党が国家を指導する」存在です。橋爪大三郎先生は、このような中国共産党の本質を、大日本帝国憲法における天皇の位置づけと比較することで浮かび上がらせます。
大日本帝国憲法では「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」とされていましたが、一方で、天皇についての権限規定もたくさんありました。つまり憲法制定段階では、憲法に縛られる存在として構想されていたといえます。しかし、中華人民共和国の憲法には、前文には中国共産党が出てくるものの、条文の規定はないのです。そのことから見えてくるのは、どのようなことなのでしょうか。
◆小原雅博:習近平―その政治の「核心」とは何か?(全6話)
(1)習近平政権の特徴
10分でわかる「習近平政権」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4155&referer=push_mm_rcm2
(4)独裁の危険性と習近平思想
習近平思想の内容とは…本当に「思想」と呼べるものなのか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4210&referer=push_mm_rcm3
習近平国家主席の来歴や、権力獲得への道、さらに習近平思想の内容や中国共産党の現在地について、非常にわかりやすくご解説いただいているのが、この小原雅博先生の講座です。
第1話では、「10分でわかる講義」で概説をいただいています。第2話以降は「深掘り講義」ですが、この特集でピックアップしたのは「習近平思想」について取り上げた第4話です。日本人にはわかりづらい「習近平思想」の内訳。その正味をわかりやすくお話しくださいます。なお、講座全話をご覧いただければ、「習体制」についての理解がより深まること、うけあいです。
◆白石隆:米中戦略的競争時代のアジアと日本(全7話)
(3)「中国の夢」と自力更生
中国が進める「帝国的ルールメイキング」とは何か
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4355&referer=push_mm_rcm4
この講義で白石先生は、米中にはルールメイキングにおける違いがあり、中国は現在、帝国的ルールメイキングのやり方をしていると指摘されます。
帝国的ルールメイキングとは「帝国として、自分たちで法律を使ってルールを作って、それを周りの国に押しつけていく」こと。一方、アメリカはまだしも、「多くの国が集まって決める“Multilateral”なルールメイキング」をしているといいます。
しかし白石先生は一方で、「中国の夢」を実現しうる時間は、せいぜい20年ほどしかないとも指摘します。少子高齢化の未来が待っているからです。そのような背景も含め、中国の戦略の真相に迫ります。
◆本村凌二:独裁の世界史~未来への提言編(全10話)
(1)国家の三つの要素
独裁・共和政・民主政――繰り返されてきた世界の歴史
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3725&referer=push_mm_rcm5
本村凌二先生にはテンミニッツTVで「独裁の世界史」講座シリーズを講義いただきました。古代ギリシア、古代ローマ、ヴェネツィア、フランス革命、ビスマルク、ソ連、ファシズムと総覧いただく内容ですが、本日はそのまとめともいえる「未来への提言編」を紹介します。
この「独裁の世界史」講座では、世界の歴史で繰り返されてきた、共和政(貴族政)、独裁政、民主政の「政体循環」のあり方を解説いただいたわけですが、「未来への提言編」では、「ホモ・ルーデンス=遊ぶ人」としての自由の意味や、江戸幕府とローマ元老院の比較から見える「共和政」の意味、さらに欧米における「反独裁政」の伝統や、集団合議制の重要性についてご言及いただいています。
たとえば、「独裁者が権力を延長したいのは、報復を恐れるから」という本村先生の喝破など、いろいろ考えさせられることも多く……。
◆川出良枝:『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(全11話)
【質疑篇】(3)「一般意志」と全体主義
ルソーの「一般意志」「特殊意志」「全体意志」の違いとは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3629&referer=push_mm_rcm6
中国共産党は「自分たちは民主だ」「欧米型の民主主義には失敗もある」と主張しています。これは、民主主義への理解にも関わる問題です。
この川出先生の講座では、「権力分立」で民主主義を構想したモンテスキューと、「普遍的ですべての国民が納得する『一般意志』」の存在を前提に民主主義を構想するルソーの違いについて、詳しく解説いただいています。民主主義を根本から考えたいときに、ぜひ学ぶべき講座です。
◆岡崎久彦:習近平の野望~中国の権力闘争
21世紀の毛沢東と周恩来を目指しているのか?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=312&referer=push_mm_rcm7
この講義は、長らく外交官として活躍され、2014年に逝去された岡崎久彦先生によるもので、2014年8月に収録されたものです。すでにこの時点で岡崎先生は、当時の反腐敗闘争について「習近平の独裁体制をつくるための権力闘争なのではないか」「あれは毛沢東のような人ではないか」と喝破しておられました。どのような点に注目していたのか、必見です。
◆中西輝政:インテリジェンス・ヒストリー入門(全11話)
(5)中国の影響力
中国が各国の政治を内側から侵食し始めている
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2195&referer=push_mm_rcm8
この講義では、中西先生が中国やロシアがいかに各国の政治に情報工作を行なっているかを、(当時の)具体例とともに解説くださっています。もちろん、現在も同じ環境にあると考えたほうがよいのでしょう。実際に、何が行なわれているのか。日本人として、ぜひとも知っておくべきことでしょう。
以上のようなラインアップの今回の特集で学べば、現下の問題について、多くの角度から考えることができます。ぜひ気になる内容の講座からご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:「習1強」体制の本質
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=155&referer=push_mm_feat
※編注:白石隆先生の「隆」は、実際は旧字体
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「火山災害」についての問題です。ではレッツビギン。
噴火すると噴煙がもくもくと成層圏まで上がっていったり、あるいは噴煙の一部が崩れて火砕流になったりします。
その噴煙と同時に、噴煙から火山灰が降ってきます。「火山れき」といいますが、少し大きくなると、「れき」という大きな塊が空から降ってくることがあるのです。それと同時に火口から直接石が、大砲の弾でも撃ったかのように飛び出してくることもあります。そうしたものは現在、気象庁では( )と呼ばれています。
さて( )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2659&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて本日(10月28日)は ビル・ゲイツ氏の誕生日だそうです(1955年10月28日生まれなので、67歳になったということですね)。
マイクロソフトをつくった彼ですが、その経歴や人物像について知らない方もいらっしゃると思います。
テンミニッツTVでは、島田晴雄先生(慶應義塾大学名誉教授)が以下の講義でその解説を行っています。非常に分かりやすくコンパクトにまとまっているので、ご興味のある方はぜひご視聴ください。
マイクロソフトを「公共企業」と語ったビル・ゲイツの実像
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4456&referer=push_mm_edt
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