編集長が語る!講義の見どころ
楽しく未来を生き抜く「戦略子育て」とは/三谷宏治氏【テンミニッツTV】

2024/03/26

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

いうまでもなく、「子育て」は考えれば考えるほどに難しいものです。さらに昨今は、社会がどんどん変化し、価値観も激変する時代でもあります。未来を生きていく子どもたちを育てるのは、ますます壁が高くなっているのかもしれません。

本日は、三谷宏治さん(KIT〈金沢工業大学〉虎ノ門大学院教授)が、「戦略的子育て」について語ってくださった講義を紹介いたします。

これからの時代を生きていく子どもたちの将来の幸福のために、どのような力を、いかにして育てていくべきなのか。そのことを、とてもわかりやすくお話しくださいます。

いま、まさに子育てをしている方はもちろん、お孫さんがいらっしゃる方、さらに若き部下の指導に直面している方にとっても、大いに参考になる内容が満載です。さらにいえば、そのような状況にない皆さまにとっても、現代と近未来の生き方を考えるうえでヒントが必ずや得られる講義です。

◆三谷宏治:楽しく未来を生き抜く「戦略子育て」を学ぶ(全2話)
(1)「3つの力」の伸ばし方(前編)
『戦略子育て』に学ぶこれからの世界で大切な「3つの力」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5246&referer=push_mm_rcm1

まず三谷さんは、印象深い写真を提示し、「この職業は何か?」を問いかけます。時代は1900年頃。1人の女性が街頭に立ち、細い棒状のものを口につがえて斜め上を向いている写真です。

百聞は一見に如かず。この興味深い写真と、さらにその答えは、ぜひ講義をご覧ください。

三谷さんが問題提起するのは「消えた職業」についてです。上述の写真の仕事は120年前のものですが、実は現在、金融のディーラーやトレーダーも激減して「ほぼ消えた職業」になっているといいます。

これからAIの社会実装がどんどん進んでいけば、ますます「消えた職業」は激増していくことでしょう。5年後、10年後にどうなっているのかは容易に想像できません。

そのような未来を生きていく子どもたちにとって、いかなる力が大切になるのか。

三谷さんは、「発想力」「決める力」「生きる力」だとおっしゃいます。さらに、そのための手法について言及していくのです。

三谷さんが実際にご息女たちを育てた経験も交えながらお話しくださるので、まことに具体的なイメージが浮かんできます。

たとえば、叱り方。けんかをして、しかも暴力に訴えてしまった。では、それをどう叱るか。

お子さんをお持ちの方であれば、必ずや直面するシーンでしょう。三谷さんの方法論は、まことに理詰めです。

さらに、成長されたご息女たちに「育てられた側の証言」を聞いていることも興味深いところです。子育てをされている方も、「子どもの声」を後になってから聞くことは、あまりない経験でしょう。

たとえば、こんなお話しがなされます。

《長女いわく、あるとき世界が変わって見えたと。今まで悪いことをした、自分でも「やっちまった」と思っている。そして叱られる。「うう」となって、ネガティブで終わる。ところが、いつもそうやって改善策を求められるから、楽しくなったらしいのです。失敗したことは次への改善策づくりへのスタートだ、というように世界が変わって見えたということを書いてくれました》

さて、では、どんな叱り方だったのか……は、ぜひ講義本編をご覧ください。

さらに三谷先生はおもしろい問いかけをされます。

《子育ては成功とか失敗が非常に難しいのです。何年後を測るのでしょうか。死ぬまでの合計なのでしょうか、累計なのでしょうか》

そう問われると、考え込んでしまいます。

そのうえで、鑑別所に入った非行少年の親たちにとったアンケートの話を紹介されます。昔は「放任」あるいは「育児放棄」の親が多かった。しかしそれが「過保護」になり、いまは「過干渉」になっている。

「過保護」はすべてを認めること。「過干渉」はすべてに対して手取り足取り干渉していくことです。

なぜ「過干渉」で育てられた子どもが非行に走ってしまうかといえば、干渉されるので自分で考える力を失ってしまい、リーダー格の存在に引きずられてしまうから。昨今の社会風潮を見るにつけ、大いに考えさせられます。

さらに三谷先生は、メルボルン大学の教員たちが、32年間、1000人の子どもたちを継続的に調査した結果もご提示くださいます。1000人について32年間の経過を調べつづけ、32歳になったときに「あなたはいま、幸せですか?」と聞き取り調査をしたというのです。

その結果、学力は幸福感にはあまり関係がなかったことがわかりました。幸せだと答える比率が高かったのは、「社会的つながりが強かった子どもたち」でした。また、大いに影響していえるのが「言語能力」でした。

そこで三谷さんが実際に展開しているのが「脱ワンワード」。

案外、会話が「無理」「イヤ」「靴!」などといったワンワードで終始しているケースも多いもの。三谷さんは、ご近所の小学校で、この「脱ワンワード」の活動を展開されているのです。1年生から6年生まで、さらにその親御さんにも取り組んでもらって、アンケートを取っていきます。

その結果、話し方が変わると行動も変わるという結果が表われてくるといいます。さらに、親は子の鏡ということも痛感されます。

さらに、「決める力」については、ご長女の就職活動の話をご紹介くださいます。ここも、実に考えさせるお話です。

子育ては、自分自身と向き合うべき機会でもあることを、あらためて痛感させられる講義です。ぜひご覧ください。

(※アドレス再掲)
◆三谷宏治:楽しく未来を生き抜く「戦略子育て」を学ぶ(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5246&referer=push_mm_rcm2


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編集部#tanka
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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3515&referer=push_mm_tanka


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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて本日は来月(4月)のおすすめプログラムを紹介いたします。

(プログラムガイド=講義ガイド)
https://10mtv.jp/program_guide/?referer=push_mm_new_function

<4月の特集ピックアップ>

【特集】人生の武器になる「経済学」
・経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか(柿埜真吾)
・差別価格の実例でダイナミックプライシングの真髄がわかる(伊藤元重)
・現在のグローバル経済をマルクス主義で見てみると?(橋爪大三郎)
・世界経済はどう動くのか…コロナ禍とIMFの分析(田中琢二)

いま何が起きているのか。これから何が起きるのか。どうすべきなのか――。「経済学」を学ぶと、現代を力強く生きていくための貴重なヒントが手に入ります。まさに「人生の武器になる経済学」。必見講義をピックアップしました。

【特集】春に「人間力」を高める(令和6年版)
・議論で和を実現せよ、怒りと執着を捨て凡夫の自覚を持て(頼住光子)
・本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎(板東洋介)
・道徳は違う側面から見ると異なって見える円柱だ(鄭雄一)
・「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ(中島隆博×納富信留)

様々な変化が訪れる「春」に、ぜひ自分の人間力を高める講座で学ぼう!大人気の「人間力」特集の令和6年版です。今回も様々な角度から刺激を与えてくれる講座をピックアップしました。

この他にも見逃せない特集が続きます。ぜひご視聴ください。

<4月の講義ピックアップ>

◆4月2日(火)配信予定:
橋爪大三郎:「みんなで決める=民主主義」ではない…法の支配の真意

◆4月3日(水)配信予定:
島田晴雄:躍進する「グローバル・サウス」77カ国が世界に与える影響

ほかにも気になる講義が続きます。ぜひお見逃しなく。

※頼住光子先生の「頼」は、実際は旧字体