編集長が語る!講義の見どころ
今の「ファンド」の動きを解き明かす/ベインキャピタル・百瀬裕規氏【テンミニッツ・アカデミー】
2026/03/17
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
今、資本主義がどのように動いているのか。それを知るために、知っておかなければならないことの一つが「ファンド」の動きでしょう。
本日はそのことについて、ベインキャピタル・ジャパン・LLC共同会長の百瀬裕規氏にお話しいただいた講義を紹介します。百瀬氏は、大阪大学経済学部をご卒業後、1985年に野村證券に入社。同社大阪支店長、専務大阪駐在などを歴任された後、2019年に野村総合研究所取締役副会長に。そして2022年からベインキャピタルで仕事を進めておられます。
そもそも、プライベート・エクイティ・ファンドがどのようなことをしているのか。この講義によって、そのことがとてもクリアに理解できるようになります。
◆百瀬裕規氏:変化する日本株式市場とPEファンド(全3話)
(1)近年急増するPE投資
プライベート・エクイティ・ファンドとは何か…その手法は?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6140&referer=push_mm_rcm1
まず百瀬氏は、プライベート・エクイティ・ファンドには、投資対象となる企業の状況に応じて、4つのステージがあると説きます。
1つ目は、設立して間もないスタートアップや成長初期の未公開企業への投資を行なう「ベンチャーキャピタル」。
2つ目は、ある程度成長した企業の株式を取得して、経営に参画しながら企業価値を高めた後に、株式を売却して利益の獲得をめざす「バイアウトファンド」。
3つ目は、経営危機または経営破綻した企業に対して債権の買い取りや出資などを行ない、投資先の企業を再生させて、株式公開や株式譲渡によって利益の獲得をめざす「再生ファンド」。
4つ目は、破綻寸前または破綻してから経営再建を始める企業の債権や株式を取得して、再建させた後に企業価値が上がってから売却をめざす「ディストレスファンド」。
日本に来た外資のプライベート・エクイティ・ファンドで最初期に名を馳せたリップルウッド・ホールディングスは、長銀(日本長期信用銀行)をはじめ破綻した会社、あるいは破綻寸前の会社に対する「ディストレスファンド」的な投資を行ないました。そのため、「ハゲタカ」の名が一気に広がることとなりました。ただ、企業の状態に応じて、さまざまな手法があることは理解しておくべきでしょう。
次に百瀬氏は、ベインキャピタルの現状を解説されます。ベインキャピタルは、今、全世界で「28兆円」の投資をしており、そのうちの11パーセントがベンチャーキャピタル、43パーセントがバイアウトファンド、17パーセントがディストレスファンドや不動産や航空機などだといいます。
続いて、日本での投資状況の解説となります。日本で投資をはじめたのは2006年とのことですが、プライベート・エクイティ・ファンドの参入余地が日本はまだまだあるといいます。それはなぜかは、講義本編をご覧ください。
第2話では、会社に対する、日本とアメリカの基本的な考え方の違いが示されます。アメリカでは企業は「会社は生きるための道具に過ぎない」と考えられることが多い。一方で日本では、企業はあたかも「家」のように捉えられる。アメリカでは、会社に資産や含み益を持たせることはあまりしない。日本では会社の存続がトッププライオリティで、不測の事態に備えを最優先する。
このことを、赤穂浪士のたとえでお話しくださいますが、イメージが伝わってきます。そのような割合が日米欧でどうかということも紹介されますが、ここも興味深いデータです。
百瀬氏は、これはどちらが正しいということではなく、それぞれの歴史の過程で培われてきた価値観だといいます。しかし、米国流の株式市場での評価で見ると日本企業の価値は低く見積もられてしまうともいいます。
では、なぜ日本型が株式市場で後塵を拝してしまうのか。そのことが第3話では具体的な例を示しつつ語られます。ここは、米国流の「評価のされ方」がよくわかる部分です。
先ほどもあったように、これはどちらが良いということではなく、それぞれの価値観です。日本の合理が、アメリカでは非合理に映ることもある。しかし百瀬氏は、「東京証券取引所、または経産省、金融庁も、同じような米国化の動きを推進している」といいます。それはどういうことなのか。また、アクティビストといわれる人たちは何をしているのか。そのことも第3話でよく見えてきます。
どの価値観を大切にするのか。それは、それぞれの文化圏の企業や政府がしっかりと考えるべきことでしょう。しかし、現在の資本市場で何が起きているのかを知るためには、その考え方をしっておかなくては、そもそもの正しい判断や対処もできません。その知見を得るために、参考になる講義です。
(※アドレス再掲)
◆百瀬裕規氏:変化する日本株式市場とPEファンド(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6140&referer=push_mm_rcm2
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