編集長が語る!講義の見どころ
「老子の神髄」を語りつくす/田口佳史先生×堀江重郎先生【テンミニッツ・アカデミー】
2026/07/20
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
本日は、田口佳史先生、堀江重郎先生のご対談で『老子』についてご解説いただいた講義を紹介いたします。
『老子』をひもとかれた方は共感いただけると思いますが、『老子』はなかなか読解に骨の折れる書籍です。
そこでおすすめしたいのが、今回の田口先生、堀江先生の講義です。両先生がそれぞれの実体験に立脚しつつお話しくださるので、老子のメッセージがとてもわかりやすく胸に響いてきます。
もちろん、そのような講義ですから、『老子』の字句解釈をしていく講義ではありません。ここで展開されるのは、両先生が『老子』のメッセージについて交わしていく自由な対話です。
だからこそ、『老子』の「こころ」を知る講義として、あるいは『老子』的な「人生の知恵」について深く考えをめぐらせる講義として、直感的にお役立ていただける内容となっています。
今回のメールでは、この講義でどのようなメッセージが語られているかを、いくつかピックアップして紹介いたします。ぜひこの講義で語られる「名言」から、老子の神髄に触れていただければ幸いです。
◆田口佳史先生×堀江重郎先生:老子の神髄(全9話)
(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6284&referer=push_mm_rcm1
『老子』がブームのように取り上げられる場合、「気安く、気楽に生きたらいいんだよ」「ロハス」などの文脈で語られることが多々あります。しかし、それは違うのだと田口先生はおっしゃいます。
老子が求めているのは「絶対自由の境地」なのです。
では、「絶対自由の境地」とはいかなるものか?
それは、アスリートや達人が到達する「ゾーンの境地」なのだといいます。すなわち集中力が極限まで高まって、思考抜きで身体が理想的に動いていく境地です。
あるいは、園芸で夢中で土いじりをしていて「あ、もうこんな時間か」と気づくような境地。さらにあるいは、我を忘れるほどにボーっとするような「日向ぼっこの時間」。そのような境地が「無為」に近いのだといいます。
そのように説明いただくと、実感的に「絶対自由の境地」を把握することができます。
ところで、どうすればそのような「ゾーンの境地」に達せられるのか。
脳には「島皮質(Insular Cortex)」と呼ばれるところがあり、ここが熱くなってくると、トレーニングで「ゾーンの境地」になりうるのだといいます。逆に、日常的な、いわゆる煩悩みたいなものを考えている脳が「前頭前野」であり、ここが忙しく働いていると、そういう境地にはならないそう。
少し意外なのが、認知症の人は、「ゾーン境地」にはならないのだということです。認知症の人の脳の動きは、実は忙しいそう。没我的な「ボーっとする時間」が脳の機能としてどのようなものかを考えるうえで、ハッとさせられる話です。
続いて、『老子』の中で「柔らかいのが良い」といわれることが、医学的な見地から語られていきます。
「柔らかいのが良い」「硬くなると駄目」といえば、人間の場合は40歳くらいから血管などをはじめ「硬くなる時期」だといいます。男性の場合は、だいたい40歳から42歳ぐらいから硬くなっていく。そこは女性はもう少し遅い。やはり、女性のほうが柔らかいのです。
いろんな意味で、40歳は肉体と精神が均衡するときだといいます。だから40歳以降には、精神のお世話をやらないと肉体も落ちてしまうのだといいます。では、どうするか。自分の心の支えになるような『古典』を読むべきだと田口先生はおっしゃいます。ここも、ぜひ心したいところです。
さて、「柔弱」といえば、その極致は「水」だといわれます。形あるものは崩れてしまう。しかし水は崩れているから良いのだと。
ここで、このような「水の柔弱」は、ナシーム・タレブ(レバノン系アメリカ人の作家、思想家)のいう「アンチ・フラジャイル(反脆弱性)」に通じるのではないかという議論がなされます。
「アンチ・フラジャイル」とは、ストレスなどの衝撃を力に変え、かえって強く成長する性質のこと。なるほど、そのような性質に至るには、水のごとき「しなやかさ」や「したたかさ」が好適ということでしょう。
さらに、「道」とは何かという問いに対して、「肝っ玉母さんのようなもの」という話も飛び出します。驚くべき喝破ですが、とても興味深いお話ですので、ここはぜひ講義本編をご覧ください。
また、「無為」について別の定義も提示されます。「無為」とは「緊張感を持って見つめていること」だというのです。
これはたとえば、「歩き始めた子供を後ろから見守るようなこと」だといいます。なるほど、そのたとえで「緊張感を持って見つめる」ということが、よく見えてきます。
この話の流れから、医者は「一人ひとりを把握すべき」だという議論へ進んでいきます。
今、多くの医者が、医学知識をただ公式のように当てはめていく。「あなたはコレステロールが高いので、薬を飲んでください」などといったようにです。しかし実は、コレステロールを下げる薬を飲んで本当にメリットになる人は、20人に1人ぐらいしかいないということがわかっているそうです。にもかかわらず、値が高ければ薬が処方されるのです。
そうではなくて、医者は一人ひとりの状況を個々に把握して対処すべきこと、患者の価値観を毀損しないことが医者として大事であることなどが語られていきます。
これは医者に限らず、すべての分野においていえることでしょう。とかく日々の仕事や暮らしのなかで、安易な「エビデンス・ファースト」に埋没してしまうことは、ままあるものです。
そうではなく、真のプロフェッショナルとは「見えないところが見えること」であり、それが老子的な「玄人」なのだという話もなされます。ここも心したいところです。
加えて、「反は道の動、弱は道の用」という言葉から、柔弱、柔らかさを保つ方法論として、「喜怒哀楽も自分でコントロールする」というエピソードも語られます。喜怒哀楽で失敗してしまうこともよくあることですが、人間である以上は「喜怒哀楽」はなくてはならぬもの。ただ、鍛錬によって、喜怒哀楽はどんどん短い時間で済ませることができるのです。
はたして、その方法は――それについても、ぜひ講義本編をご参照ください。
多くのエピソードが飛び出して、まことに様々なことに気づける講義です。ぜひご覧ください。
(アドレス再掲)
◆田口佳史先生×堀江重郎先生:老子の神髄(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6284&referer=push_mm_rcm2
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