資本主義の再定義…哲学で考える
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
2.「共生」の本当の意味とは?…人間はHuman Co-becoming
2026年8月4日配信予定
3.強欲資本主義は死んだ…他者を助けることのできる他者を助ける
2026年8月10日配信予定
4.利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
2026年8月11日配信予定

5.企業が「CPO=最高哲学責任者」を置く時代…人間の知性とは?
2026年8月17日配信予定
6.「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
2026年8月18日配信予定
講義一覧を見る▼
これからの資本主義はどうなるのかを、哲学的に考えていく講義シリーズ。まず、私たちは社会全体が資本主義に覆われていると錯覚しがちだが、実際には医療や教育など資本主義に還元できないシステムが多数存在しており、資本主義はその構成要素の一つにすぎない。また、資本主義は市場経済のことで、アダム・スミスの「見えざる手」のように市場には自己調整機能が効いていると誰もが考えがちだが、それは幻想で、放っておけば機能するものではない。そこで注目すべきは、アダム・スミスが『道徳感情論』で提起した感情の問題である。いったいどういうことなのか。哲学者マルクス・ガブリエル氏の著書『倫理資本主義の時代』(ハヤカワ新書)を切り口に考えていく。(全6話中第1話)
時間:12分30秒
収録日:2026年1月21日
追加日:2026年8月3日
≪全文≫

●社会には資本主義に還元できないシステムがたくさんある


 中島です。今日は「哲学と資本主義」と題して、(はじめに)お話を30~40分ほどさせていただいて、(その後)なるべく質疑応答(の時間を取りたい)ということですので、そちらに時間を割きたいと思っています。

 さて、マルクス・ガブリエルという、今日本でも非常に活躍をしている、ドイツ・ボン大学の哲学の教授がいます。彼はドイツの歴史の中では最も若くして教授になった先生といわれています。非常に才気煥発なのですが、座持ちもいいといいましょうか、話が面白いのです。

 彼の哲学のバックグラウンドはドイツ観念論です。それとアメリカの分析哲学です。ドイツ観念論と分析哲学が一緒になったことが新しいところだと思います。それが評価されているわけですけれど、資本主義の問題とか民主主義の問題、そうした私たちにとって喫緊の社会課題にも積極的に発言をしている人です。

 私は(彼と)共著を出したことがありました。『全体主義の克服』(マルクス・ガブリエル著、中島隆博著、集英社新書)ですが、アメリカのプラットフォーマーを問題にして、ある種のテクノ全体主義というのでしょうか、それをもっと真剣に考えたほうがいいと述べたもので、非常に面白い対談になりました。

 その彼が2024年に『倫理資本主義の時代』(マルクス・ガブリエル著、土方奈美翻訳、斎藤幸平監修、ハヤカワ新書)という本を出したのです。私たちは、倫理と資本主義の関係はそう単純ではないということは理解しているわけです。ただ、後でも触れますけれど、日本では、渋沢栄一などが典型的ですが、倫理と資本主義を結びつける動きは(以前から)結構あったのです。実はそれをヨーロッパの学者たちは今、非常に参考にしています。だから、(その様子を見ると、こうした動きは)日本だけなのかなと思ったら、どうもそうではないということが最近よく分かってきました。

 この『倫理資本主義の時代』の中で、ここ(スライド)に書いてありますけれど、資本主義は社会の一つのシステムであるということを強調するのです。

 私たちは資本主義に全部が覆い尽くされたような気持ちで生きていて、社会自体がもう資本主義社会になったと思いがちです。ところが、そうじゃないと。資本主義のシステムもあるけれど、例...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(25)《老子の神髄》を学ぶ
【10min解説】田口佳史先生×堀江重郎先生《老子の神髄》
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(4)決断のかげにあった深い葛藤
情報を基にいかに決断するか…その深い葛藤と「南泉猫を斬る」
門田隆将
日本の財政の真実を検証する(6)「経済成長3つの源泉」の具体策
現代日本で「経済成長3つの源泉」の具体的プランを考えると?
宮本弘曉
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(7)始皇帝を支えた家臣たち
始皇帝を支えた家臣たち…史実からいかに実像を描いていくか
鶴間和幸
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(6)陰謀論とユダヤ人
ユダヤ人を巡る「陰謀論」の裏を読む…ロシア革命とユダヤ人
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二