資本主義の再定義…哲学で考える
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企業が「CPO=最高哲学責任者」を置く時代…人間の知性とは?
資本主義の再定義…哲学で考える(5)ホモ・サピエンスとしての役割
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
フェアな経済活動の実現に向けて倫理的インフラを構築するためにはどうすればいいだろうか。急速な寡占・独占が進む現代の資本主義に対し、CPO(最高哲学責任者)の設置や、グラスルーツ(草の根)での世界的連携によるガバナンス構築の必要性を提示する中島氏。自らの利のみを追求するホモ・エコノミクスではなく、知性を放棄せず道徳的進歩を目指すホモ・サピエンスとしての役割の重要性を説く。本講義終了後の質疑応答編前編。(全6話中第5話)
時間:9分07秒
収録日:2026年1月21日
追加日:2026年8月17日
≪全文≫

●「CPO=最高哲学責任者」…企業に必須な倫理的インフラ


【質問1】
問題解決への重要な貢献、ソーシャルインパクトとしては、そこに利が集まって、利と義が合一する世の中になってほしいと思いますが、一方で企業の経済活動を考えると、寡占・独占企業に利益が集まるから、資本もそこに集まって、グリーディな企業が勝つという仕組みになっていると思います。そういった意味でいうと、倫理的インフラを社会としてどう構築して、理想的な社会を実現するのか。その点についてお聞きできれば幸いです。

中島 日本だと「独占禁止法」と言うじゃないですか。でも、あれは競争法です。「正しい競争」をしていくこと。「条件を整えないと社会はおかしなことになりますよ」という発想です。だから、寡占・独占が起きるのは「条件を整えていない」ということ、それは社会の責任です。だから、早急に改めなければいけない。ガバナンスがちゃんと及んでいないということだと思います。

 それに役立つために、おっしゃるような倫理的なインフラは必須だと思います。今、いろいろな企業でいわゆる「CPO(Chief Philosophy Officer:最高哲学責任者)」というものを考えています。

 マルクス・ガブリエル氏自身も、自分で会社を作ったのです。哲学コンサルの会社を作って、世界的に展開し始めたということです。それによって、「倫理インフラのようなものを作るのに、そのサポートをしましょう」ということもやり始めているのです。

 だから、日本でもそういったことがもっと議論されていいのではないか。それによって、フェアな競争がなされて、グリーディなお金がただ集まるとかではない、そういう仕組みにしていくこと。これが絶対に大事だと思うのです。今はもうその「とば口」まで来ているという気がしています。


●私たちは知性を放棄しないほうがいい――人間の役割とは


【質問2】
国家内での競争と世界レベルでの競争とを考えたとき、それを一国内で競争を語っていいのかという問題があると思います。その点について世界レベルでどうガバナンスを効かせていくか。その点についての取り組みで、ガブリエル氏のほうで何かあれば教えていただきたいです。

中島 ガブリエル氏が(「ディープ・イノベーション・アカデミー:Deep-IN Academy for Deep Innovation GmbH」という組織を)インドに作ったのです。すでにインド...

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