資本主義の再定義…哲学で考える
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「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
資本主義の再定義…哲学で考える(6)「学ぶ」ことの本質と道徳の問題
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
AIや世界情勢の激変に直面する現代において、哲学という「概念の学」の重要性を提示する最終話。戦後80年間の日本の平和や国民皆保険制度などの価値を再認識・概念化し、世界へ発信していく必要性を訴える。また、古代中国思想を通して学ぶことの本質とは「誰かとともに思考し、自らを変化させること」だと説く。さらに米中などの大国に依存しない新たな世界秩序を提示するため、アカデミアや哲学者が連携して概念化する重要性を強調する。本講義終了後の質疑応答編後編。(全6話中第6話)
時間:16分30秒
収録日:2026年1月21日
追加日:2026年8月18日
≪全文≫

●日本を見直そう――ロバート・ベラー先生からの叱咤激励


【質問4】
以前、新聞に「日本の会社でも哲学科の学生を取り始めている」という話が載っていました。また、AIが入試を受けたら、学生が平均50何点のところを100点満点で受かったという記事も見ました。機械は体の代わりですが、AIによって脳も変わってしまったら、人間はどうなってしまうのか。そうしたときに、哲学が注目されているという話と今回の先生の話を聞いて、まさに哲学に帰るのではないかと思ったのです。でも、今の世界的状況を見ると、いったん世界は壊れるのではないかと。ただ、日本だけは壊れないでいると、日本を見直そうという動きが出てくる可能性があると思いました。そこで日本が範を示すことはできないだろうかと思ったのですけれど、そのあたりはどうなのでしょうか。

中島 日本もこれからどうなるかよく分からなくなってきましたけれど、私の友人で中国の方が不思議なことを言うのです。「日本には中国が持ちたかった過去がある。そして日本には中国が持ちたい未来もある」と。

 だから私は考え込んでしまったのです。例えば、京都や奈良は日本の古都だとみんな言うじゃないですか。でも、あれは長安ですよね。(モデルが)中国の都です。だから、日本ではない。ところが、その後、京都にしても、奈良にしても、独自の発展を遂げてきました。長安のその後の歴史と、京都・奈良の歴史は全然違うわけです。

 私はどちらが良いか悪いかということを言いたいわけではありません。日本は、(中国とは)全然違う発展の仕方をしてきた。中国の概念とか中国のパッションのようなものも含めて吸収して、それを自分たちなりに再解釈していったということです。

 近代になって、(日本に)欧米(の文化)がやってきて、いろいろなテンションの中で日本は20世紀に大失敗もしたわけです。そんな中でいろいろと反省もして、なんとか(戦後)80年ほど戦争をしていない国になりました。これはものすごく大きな意味があると思うのです。これだけの経済力があって戦争をしなかったのは。アメリカはしょっちゅう(戦争を)やっているでしょう。全然違うわけです。

 この秘密は何だったのだろうと。日本の中にはいろいろな矛盾もあるし、格差もあります。よくないところもあるけれど、それでも失われた30年間の中で「少しは社会を良くしていきましょうよ...

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