資本主義の再定義…哲学で考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
現代の世界的な哲学の最前線では、中国古典などの思想資源の再解釈を通じた資本主義の再定義が進められている。マルクス・ガブリエル氏は「道徳的事実への共感」を「見えざる手」と定式化し、これからの企業活動における道徳的ふるまいの重要性を説く。また、東アジアの文脈からは、何晏の「利とは、義の和である」という言葉が注目され、利益と倫理の融合が示されている。混迷する現代社会において、単に古典を読むだけでなく、それを現代の課題解決にどう生かすかが問われているのだ。(全6話中第4話)
時間:12分19秒
収録日:2026年1月21日
追加日:2026年8月11日
≪全文≫

●日本社会のレジリエンスを支えているのは横の関係


 もう一人、お目にかかったのはヒュー・ウィッタカー先生です。この方の“Building a New Economy”(邦題は『新しい経済のつくり方:「人間中心」の日本型資本主義へ』)という翻訳本がこの前(2025年10月)出ました。オックスフォード大学にいらっしゃった苅谷剛彦先生が監訳されたのですが、ウィッタカー氏はオックスフォード・ニッサン・インスティチュート(Oxford Nissan Institute:オックスフォード大学日産現代日本研究所)の先生です。1970年代、ニッサンにはお金もあったしビジョンがあったのですね。ちゃんとオックスフォードに投資をなさって、素晴らしい日本研究者をたくさん育てたわけですが、ウィッタカー氏はその一人なのです。

 (ウィッタカー氏は著書の中で)日本社会の持っているレジリエンスについて賞賛されているというか、それは「そこまでおっしゃっていいのかな」というところもあるわけですけれど、中根千枝先生――われわれ東洋文化研究所の大先輩で、東大で初めて女性の部局長をお務めになった方です――に『タテ社会の人間関係』という名著があって、日本がタテ社会だということで分析されたのですが、そのことに反論されているのです。

 「それ(日本社会はタテ社会)もありましょう。しかし、日本社会のレジリエンスを支えているのは、もっと横の関係だ。これが日本社会の強さなのです」と。

 ここではいくつか例が挙げられていますけれど、協同組合とか、NPOとか、そんなものがありますよね。タテだけではありません。

 いわれてみたら、例えば江戸時代を考えてみると、松尾芭蕉は『おくのほそ道』(で各地)を巡るわけですが、あれは別に無茶して旅行しているわけではなく、各地の連歌の仲間たちを頼って行っているわけです。場所場所で一緒に連歌を詠んだり、泊めてもらったり、ご飯を食べさせてもらったりしている。それは連歌を詠むためのアソシエーションです。水平的なものではないですか。タテもあったけれど、ヨコもあった。それが日本社会のレジリエンスなのではないですか。こういうことをおっしゃっているわけです。

 オックスフォードの先生たちが、はからずも渋沢...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「教養」と「リベラルアーツ」の違いとテンミニッツ・アカデミー
教養とリベラルアーツの違い…一般教養からWhy、Howへ
曽根泰教
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
編集部ラジオ2026(26)お盆とあの世を考える
【10min解説】特集で考える《お盆とあの世》の本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
資本主義の再定義…哲学で考える(3)害なき利とコミュニティの時代
強欲資本主義は死んだ…他者を助けることのできる他者を助ける
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(4)秦と周辺国の激烈な戦い
秦と周辺国の激戦の真実に迫る…各国の兵力と秦の戦略とは?
鶴間和幸
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(3)共産軍を殲滅――金門島での戦い
共産軍2万を金門島で殲滅…ただし一般人の命を守る軍人の本義を重視
門田隆将